■連載/あるあるビジネス処方箋
上司が、みんなに聞こえるような声でつぶやいている時はないだろうか。「忙しいな…」「ああ、まだできてないのか」「えっ!今から?」「そんなの聞いていないよ」。これらの独り言を観察していると、それぞれにじつは深い意味があることに気づく。今回は、上司が独り言をつぶやく理由について紹介したい。いずれも、私が取材を通じて、知り合った管理職などを観察していて感じとったことである。ぜひ皆さんの上司を思い浮かべながら、読んでいただきたい。
■忙しい「ふり」
じつは上司というものは、部下たちから常に高く評価されたいと願っている。プレーヤーとして仕事をたくさん抱え、マネージャーとして部下の育成をきちんとしていると思われたいのだ。だからこそ、忙しいふりをする。ヒマな姿を見せてしまうと、軽くみられると思い込んでいる。忙しい姿を演出するために「ああ、疲れた」「あれを終えないといけない」と独り言を口にする。本当に忙しい人は、こんなことは言わない。
上司が独り言を言った時は、部下なら「いつも、私たちのためにありがとうございます」と声をかけてみよう。上司は泣きたくなるほどにうれしいはずだ。ただ、頻繁にこんなことを言ってしまうと、勘違いして「自分は上司として優秀」と思ってしまうので、注意が必要。月に数回も言えば十分だろう。
■本当に疲れている
上司の中には、疲れている人もいる。疲れのあまり、人目もはばからず「あれもやんなきゃ…」「まだ、あの仕事を終えていなかった」とつぶやく。気の毒ではあるが、部下としてみれば、どうすることもできない。「手伝いましょうか?」と声をかけると、仕事が次々ふられてくる可能性がある。あなたに余裕があるのならともかく、自分の仕事をこなすことでいっぱいいっぱいなら、黙っていたほうがいい。
上司は毎月、管理職手当をもらっており、給料は部下よりも高い。賞与もはるかに高いだろう。仕事をする上での様々な権限も握っている。部下が同情しなくとも、自力で苦境を乗り越えることができるのが管理職だ。ただし、独り言を口にする上司の中には、本当に疲れている人がいるということだけは理解しておきたい。