■Project
プロジェクターを持ち込むなら、どんなコスプレスタジオでもいいかと言えば、そんなことはない。いくらプロジェクターの照度が高くても暗くならなくては鮮明な画像が得られない。スタジオに求める条件は下記の通りだ。
1.かなり暗く出来るブースがある
2.それが白ホリか黒ホリである
3.引きが2~3mはとれる
さらにプロジェクター撮影が許可されている。コンセントから電源が取れることも確認しておこう。プロジェクター撮影は時間がかかるので、できればブースを貸切にして占有したいところだ。理想の条件は黒ホリで投映部分に白いスクリーンが貼ってあること。撮影がカンタンなのは黒ホリで遮光さえできればあとは投映して撮影するだけだ。しかし、投映する面が黒いので白が映えずに全体として暗いトーンになる。白ホリは投映面が白いので、白が映え全ての色が鮮明に見えるが、投映面以外を遮光する必要があり、これがかなり面倒だ。カポックを立てたり、黒模造紙を貼るなどの方法が考えられる。今回は難易度を下げるために黒ホリで撮影している。ライティングはイラストのような配置にした。
まずプロジェクターを必要な画面サイズで投映できる位置まで下げる。距離はレンズの焦点距離で決まるので工夫のしようがない。プロジェクターの位置はできれば高い方がいい。正面からではなく斜めから投映して、プロジェクターの台形補正機能を使って画面の変形を抑える。プロジェクターを設置した反対側にレイヤーが立つ。投映画面に影が出ない位置まで下がってもらおう。これで背景画面に露出を合わせると当然、レイヤーが暗くなるため、レイヤー用のスポット照明を1灯追加する。位置はサイドから当ててプロジェクターの投映画面に光が当たらないようにする。ストロボとカメラが干渉する場合はイラストと逆向きから光を当てても良い。これで発光量を調整すれば完成だ。プロジェクターの明かりを活かすためにスローシャッターになり、カメラ位置はほとんど変更できないので三脚は必須である。
立ち入り禁止エリアに入ると投映面にレイヤーの影が出来る。撮影後の画像処理で消せる場合は入ってもいいが、原則として入らないようにする。グリッドは範囲を狭くすると影がキツくなる傾向があるので、何を使うかは悩ましいところだ
投映面が画面全体に入るぐらいの画角のレンズを使い、明るさを稼ぐためになるべく画面に接近して撮影した方がいいと思う。投映面積が狭い場合は望遠レンズで切り取るという方法もある
実践編に続く
(文/ゴン川野)
カメラ生活42年、小学生でオリンパスPEN-Fを愛用、中学生で押し入れ暗室にこもり、高校では写真部部長。大学卒業後、単身カナダに渡りアウトドアスクール卒業後「BE-PAL」を経て本誌ライターに。保有交換レンズ41本、カメラ28台(見える範囲で)。阿佐ヶ谷レンズ研究所もよろしく。