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【仕事の処方箋】脳梗塞から復帰した社員を待ち構えるもの

2016.03.15

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、脳梗塞になった社員が職場に復帰した時に、注意をすべきポイントを紹介したい。この病を患う人は通常、40代以上が多いのだが、最近は30代で患う人もいる。脳梗塞になると、脳の血管が詰まったり狭くなったりして、脳に栄養がいきわたらなくなり、入院などをして治療をする人も多い。一時期、職場を離れて、治療が終わった後に元の仕事に就こうとする時、特に症状が重かった場合、問題にぶつかることが多いと聞く。いざという時のために、そのことをあらかじめ心得ておくと、万が一の時の心の準備になるはずだ。

■部署を異動する可能性が高い

 うつ病になった社員は、職場に復帰した後、そのまま同じ部署にしばらく籍を置くことがある。一方で、脳梗塞から復帰した社員は、特に重い症状の場合、他部署に異動する可能性が高い。しかも、早いうちに異動になる傾向がある。5年ほど前、その理由を大企業の人事担当者の方々に取材で聞いたことがあったのだが、こう答える人が多かった。

「うつ病の社員にとって、人事異動は新たなストレスを引き起こすかもしれない。脳梗塞から復帰した社員は、病状にも左右されるが、以前の仕事をすることができない可能性が高い。したがって、早めに異動したほうが本人にとっても、同じ部署の部員たちにとっても好ましい」

 脳梗塞から復帰した社員が異動する部署は、新聞社などでいえば、新聞や本などの管理をする「書庫係」や「資料係」、総務部で簡単な事務をする「人事部付」などが多い。比較的、単純な作業の仕事をする部署に異動する傾向がある。他の業界も含め、私が取材した限りでは、「総務部」への異動が最も多かった印象がある。ただし、役職がなくなったり、降格となるケースは少なく、大企業やその関連会社では「解雇」されるといった話はほとんど聞かない。

■社内で孤立しやすい

 脳梗塞から復帰した社員は、他部署に異動した後、しだいに孤立していくケースが多い。これが大きな問題となる。異動先の部署でも、仕事をスムーズにできるとは限らない。かつて親しかったはずの同世代の社員たちとも、しだいに距離が生まれる。支援の手を差し伸べようとする社員がいるかもしれないが、けっして多くはない。

 そうなると、復帰した社員は皆に迷惑をかけていると思い、働く意欲がなくなり、滅入ってしまうことがある。私が会社員の頃、まさにこのような状態になった40歳前後の男性社員がいた。結局、彼は40代半ばで退職したが、最後は、自分で自分を追いつめてしまったように見えた。残念ながら会社もそれを気に留めているようには見えなかった。

 多くの場合、重い症状の脳梗塞から復帰した社員も、元の姿に早く戻って会社に貢献したいと思っているはずだ。だが、それはすぐにできるものでもない。本来なら、本人がそんな心理状態でいることを会社としてきちんとフォローすることが大切だが、十分にできていないケースが目立つ。

【仕事の処方箋】脳梗塞から復帰した社員を待ち構えるもの

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