◆老視のメカニズム
老視とは加齢に伴い目の中の水晶体が硬くなり、目のピント合わせの力が弱まることをいう。年齢と共に調節力が減退する一種の老化現象であり、誰にでもおとずれるもので病気ではない。近くが見えにくくなるのが特徴で、近視の人でも老眼になる。私の場合がまさにこれで、裸眼では遠方が見えないし、近視矯正用のコンタクトレンズやメガネだと近くのものが見えづらくなる。そこで遠近両用のコンタクトレンズや老眼鏡で矯正する必要が出てくるというわけだ。
遠近両用コンタクトレンズは種類によって仕組みが異なるが、「マルチフォーカル」は、レンズの光学部(近方と遠方の度数を配置した場所)の真ん中に近くのものを見る度数が入っており、その周辺に遠くのものを見る度数が入っている。遠くと近くが同時に見える「同時視型」と呼ばれるものだ。
「同時視とは、遠くと近くの情報が一緒に目に入ってきて脳に送られ、脳で自分が見たい情報をピックアップしてそちらを見るようにすること。同時視に慣れるには個人差があり、すぐになじむ人と、慣れるまで1~2週間かかる人もいる。早めの老視の段階のときに遠近両用コンタクトレンズで矯正した方が慣れやすい。
瞳孔の大きさは年齢や屈折度数(遠視や近視)で個々に異なり、瞳孔径とコンタクトレンズの光学部の大きさがぴったりと合ったときに一番はっきり見える。『マルチフォーカル』を処方した患者さんは、遠くも近くもすっきりと見えるという方が多かった。50、60代になって遠近両用のコンタクトレンズをしたいと来院される方は大半がコンタクトレンズの装用経験者だが、生まれて初めてコンタクトレンズを使う方もいる。そういう患者さんにも『マルチフォーカル』は処方しやすいという印象がある。近くのものが見やすい度数にすると遠くのものが見えにくいということがあるが、この遠近両用コンタクトレンズは、遠くの見え方が従来の近視用のコンタクトレンズとさほど違わない、質が落ちないという印象もある。他社製品で試してうまくいかなかった方がこのコンタクトレンズで成功することも多い」(小玉先生)
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