3.部署のことを正確に把握できていない
「俺が責任を取る」と言う上司は、得てして部署のことを普段から正確に、素早く把握できていないことが多い。大きな問題が生じたとしても、そのような状況になる前に、一定の時間があったはずである。しかも、その前兆があったのではないだろうか。本来、管理職ならば、その時点で何らかの手を打つべきだったはずだ。つまり、状況を把握する力や物事を決める力も弱い可能性がある。この手の人が管理職として部署を仕切ると、トラブルが発生しやすい。最悪なのは、トラブルになっていることすら理解できない管理職。こういう人物から「責任を取る」といわれても信じられるわけがない。
4.最後は、逃げる
「俺が責任を取る」と口にする上司は逃げ足も速い。最初に述べたとおり、会社員である以上、「責任」を取ることはできない。つまり、最後は逃げざるを得ない。例えば、部下の責任になすりつけたり、部署や会社全体の問題にしようとしたりする。部下は、いざという時、逃げる可能性があることをあらかじめ心得ておきたい。「俺が責任を取る」なんて言葉を真剣に信じてしまうときっと損をするだろう。その時、上司はあなたを守ってくれないかもしれないのだ。
最後に……。上司と部下の間には、本来は信用・信頼がなければならない。そうでなければ、レベルの高い仕事はできないし、よい業績は残せないだろう。しかし、信用・信頼の関係は、些細なことで壊れてしまうことがある。特に上司と部下は、会社というドライな組織の中での関係であるだけに、意外ともろい部分がある。だからこそ、上司と部下は互いに細心の注意を払い、関係を強固にする努力をしていく必要がある。そんな関係も築けていないのに、「俺が責任を取る」と軽々しく口にするような上司は、信用に値しない。社長ならともかく、管理職が口にする言葉ではない。心当たりのある方は、じっくり考えてみてほしい。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)、「悶える職場 あなたの職場に潜む「狂気」を抉る」(光文社)など、多数。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)も好評発売中。