小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

【社長の横顔】キリンビバレッジ代表取締役社長・佐藤章さん

2016.01.31

◎言いたくなることはいっぱいありますが、必死で待ちます

 そんな佐藤も社長になり、自分がつくるのでなく、社員たちに「つくってもらう」立場になった。最近、変化したことを聞くと、こんな答えが返ってきた。

「我慢強くなってきていますよ(笑)」

 佐藤を見ると、喜怒哀楽の「怒」だけが抜けたかのように天真爛漫だ。だが、それは社外向けの顔のようで、「もちろん怒る場面もありますよ」という。

「社員の人格は尊重します。でも、アイデアが浅いときはつべこべ言いますよ(笑)。考え抜いている深さを問います。もっといろんな角度から考えてくれたか? これがベストと決めつけてないか? と問います。そして、自分自身がいい案を決めてしまいたくなることもありますが、必死で部下からの回答を待ちます」

 自分がヒーローでは、部下が育たないからだ。

 そんな彼は、変わった習慣を持っている。アイデアが湧いたり、人から面白い話を聞いたりすると、それを紙に書き付ける。絵の場合もある。会社にも、自宅にも、書き留めたノートがあって、それは膨大な数に及ぶという。

 先に出てきた「自分でできるのは、情報を整理することだけ」という言葉は、この習慣があるから発せられたのだろう。

 そして彼は、この習慣を、会社単位で考え始めていた。

「例えば、オフィス用具を販売し、弊社商品も取り扱っていただいている企業があります。その会社の方から『インテリアとしても楽しめるパッケージの商品がほしい』『水は水でも、オフィスの中でこれは私の水、と一目でわかるデザインの水がほしい』と言われたんです。さすが、オフィス用具の企業だからこその発想ですよね。

 こういった情報は、活かさなければ機会の損失になります。しかし、流通の人は運べばいい、営業は売ればいい、と考えていたら、この情報は共有できません」

 この例であれば、営業が聞いてきた話が商品開発に伝わり、製造の人間を巻き込まなければ、実現できないことだ。

「チームワークがあれば、いい情報は必ず整理され、それは製品になって、世の中をよくするはずなんです」

 会社は、それを率いる社長以上の存在にはならない、と言われる。経営は、人格を投影する。

 巨大な「好奇心」や「愛情」という名の裾野を広げ、大きな山を作ろうとする。いつも、部下が動き、世の中が振り向いてくれるティッピングポイントを探し、商品や組織を作ろうとしている――。

 それが、社長・佐藤章の横顔なのかもしれない。

取材・文/夏目幸明

経済ジャーナリスト。1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店へ入社し、ジャーナリストに。経営者、マーケター取材を主に、現在、週刊現代「社長の風景」、ダイヤモンドオンライン「ヒット商品開発の舞台裏」などを連載。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。