2024年よりDIMEにて連載、先日完結した「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森 一弥です。本コラムは読者の皆さんにとって身近な生成AIツールや新機能を、実際に森が触ってみてご紹介するコーナー。今回はGoogleのWebブラウザ「Chrome」に搭載された「Gemini in Chrome」を試してみます。
前回のコラムでは、Googleスプレッドシートに搭載されたAI関数を使って、企業情報の調査やSNSへの投稿の分類などを試してみました。
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2024年よりDIMEにて連載中の「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森一弥で…
最近はChatGPTやGeminiなどのAIチャットだけではなく、普段使っているツールにもAI機能が搭載されることが増えていますよね。
そんな中、GoogleのWebブラウザ「Chrome」にもGeminiが搭載されています。
日常的に使っている方も多いChromeですが、ブラウザにAIが搭載されることで、どんなことができるようになるのでしょう?
今回は、そんな「Gemini in Chrome」を試してみたいと思います。
Chromeに搭載されたGeminiとは?
Googleは2026年4月から、「Gemini in Chrome」の日本でのサービス提供を開始しましたが、知名度から「ChatGPT」を使う人が多かったり、Gemini を使うにしても、Webサイトやスマートフォンのアプリから利用する人の方が多いのではないでしょうか。
「Gemini in Chrome」はChromeを起動したときに画面右上に表示される「Geminiに相談」というボタンから利用できます。
「チャットを開始」をクリックすると、ブラウザの右側にGeminiのチャット画面が表示されます。
見た目は普通のGeminiとあまり変わりませんね。ここから質問したり、文章を作成したりといった、一般的な生成AIの使い方ができますが、「Gemini in Chrome」はこれに加えて表示しているWebページをAIへの情報ソースとして利用できるという特徴があります。
例えば、Chrome上で長いニュース記事を読んでいるときに、リアルタイムでGeminiに「この記事を要約して」といった指示をすることができます。海外のサイトの内容を日本語に翻訳してもらうなど、便利に使えるシーンは色々とありそうですよね。
複数のタブをAIに読み取らせる
さらにChromeで調べ物をしていると、気になるページを次々と新しいタブで開いてしまうことってありませんか? 私も製品の仕様や技術情報を調べているうちに、タブがいくつか並んでいることがよくあるのですが、「Gemini in Chrome」では、こうした複数のタブをまとめてAIに参照させることができます。
チャットの入力欄に「@」を入力すると、参照させるタブを追加することができます。
例えば、複数のメーカーの製品紹介ページを開いて、仕様や価格を比較してもらうといった使い方が考えられます。ただ、これだけであれば普通のGeminiに「この製品を比較して」と聞いても、同じような結果が得られそうですよね。
そこで私が気になったのは、ログインしないと見ることができないような非公開のWebページでも、この機能を使えば、内容をAIに読み取らせることができるのではないか?という点です。
例えばSNSの自分の投稿や、Webサービスの管理画面などですね。 では実際に試してみましょう。
Xの投稿データを読み取ってみる
私は普段、生成AIなどの技術情報をXに投稿しています。Xでは、自分の投稿が何回表示されたのかを示す「インプレッション数」や、「いいね」の数などを確認できます。こうしたデータを集めれば、どんな投稿が多くの人に読まれているのか、傾向を分析できそうですよね。
以前のコラムでは、SNS投稿を管理する「Buffer」を取り上げましたが、今回はそれらを利用するのではなく、Xの画面から直接情報を取り出してみようと思います。
まず、ChromeでXにログインし、自分のプロフィールページを開きます。
そして、ChromeのGeminiから次のように指示してみました。
現在開いているXのページから、表示されている投稿の本文、投稿日、インプレッション数、いいね数、リポスト数を抽出して、一覧表にしてください。
読み取れない項目は推測せず、不明としてください。
すると、実際に投稿の内容を読み取り、一覧表にまとめてくれました。
自分で投稿内容や数字をコピーして表に貼り付ける必要がないので、これはかなり便利です。 ただ、よく見るとインプレッション数といいね数が逆になっている投稿がありました。
Xの画面では、それぞれの数値がアイコンと一緒に表示されていますが、Geminiがその対応関係を取り違えてしまったのでは?と考えて、間違っている部分を再度確認するように指示してみました。ところが、正しかった数字まで間違って修正されてしまいました。
AIの回答に間違いがあった場合、再確認をお願いすることも多いと思いますが、必ずしも正しい結果になるとは限らないということですね。情報を取り出すことはできても、正確に取得できているかは別問題のようです。
今回は無料版のGeminiで試しています。2026年10月から無料版では利用するモデルが自動選択されるようになり、軽量なモデルが優先されるようです。今回の誤認識もモデルの性能が影響しているのかもしれませんが、実際のところはわかりません。
スクロールして、さらにデータを追加してみる
また、一覧として取ることはできたものの、最初の指示では6件程度の投稿しか取得できませんでした。実際にはもっと多くの投稿があるのですが、Xは画面をスクロールすると追加の投稿が読み込まれる仕組みになっています。
Xの画面を下にスクロールして、別の投稿が表示される状態にしてそのままGeminiに次のように指示してみました。
ページをスクロールしたので、今読み取れる情報を先程の表に追記して全件表示してください。重複しているものはカットしてください。
すると、スクロール後に表示された投稿の情報を取得し、先ほどの一覧表に追加してくれました。最初に読み取った情報を保持したまま、新たに表示された情報を追加してくれたわけです。
もちろん、投稿が重複していないか、取得漏れがないかなど、完全に正しく処理できているかは確認が必要です。 ただ、自分でページをスクロールしながら、Geminiに情報を蓄積させていくという使い方はできそうです。
こうした操作は、Xに限らず、さまざまなWebサービスでも応用できるのではないでしょうか。
WebサービスのデータをAIで活用できる?
今回試したのはXですが、例えば、営業管理システムや顧客管理システム、勤怠管理システムなど、ブラウザで利用するサービスでも応用できそうです。
こうしたサービスでは、画面上に一覧表が表示されていても、その情報をExcelなどで集計するには、一度コピーして貼り付ける必要があることが多いです。もちろん、CSV形式でのダウンロード機能やAPIが用意されていることもありますが、サービスによってまちまちです。
そんなときに、今回のGemini in Chromeが役立つかもしれません。
例えば、画面に表示されているデータを読み取らせ、一覧表にまとめてもらう。さらにページを切り替えて追加のデータを取得したり、集めたデータをCSV形式に整形してもらったりといった使い方です。
実際、社内でも業務システムの画面からデータを取得する用途で試してもらったところ、なかなか便利そうだという感想が得られました。
ただし、今回のXでの実験でも数値の取り違えがあったように、まだまだ精度には課題があり、正確性には注意が必要です。大量のデータを正確に取得するなら、やはり専用のエクスポート機能やAPIのほうが向いているでしょう。
Gemini in Chromeは、そうした機能を置き換えるものではなく、普段の画面操作の中でAIを活用するための新しい選択肢と考えるのが良さそうですね。
まとめと注意点
さて、ここまで便利そうな使い方を紹介してきましたが、ひとつ注意しておきたいことがあります。今回のようにChromeからGeminiに情報を読み取らせるということは、表示しているWebページの情報をGoogleのAIサービスに渡すことでもあります。
特に気をつけたいのが、ログインして利用する業務システムです。自分に閲覧権限がある情報だからといって、外部のAIサービスに送信してよいとは限りません。また、Geminiには個人向けの無料版と、企業が契約するGoogle Workspaceなどで提供される環境があり、データの取り扱いも異なります。
今回のXの検証は個人の無料アカウントで行いましたが、社内で試してもらった際には、自社で契約しているGoogle Workspaceの環境を利用しました。最近は会社が許可していないAIサービスを従業員が業務で利用してしまう「シャドーAI」も問題になっています。個人情報や業務データの取り扱いには十分注意してくださいね。
森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。




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