2024年よりDIMEにて連載中の「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森一弥です。本コラムは読者の皆さんにとって身近な生成AIツールや新機能を、実際に森が触ってみてご紹介するコーナー。今回は、「Buffer」というSNS投稿をサポートしてくれるツールです。
現代社会においてネットやスマホは無くてはならないものになっています。そこに付随してくるものとして、欠かせないのがXやFacebookなどのSNS。スマホを持っていて何ひとつSNSを使っていないという人のほうが稀ではないでしょうか。もちろん個人で使うだけではなく、企業や団体のアカウントの管理をしているという方もいると思います。思いついたときにテキストや写真をを投稿することもありますが、事前に投稿を用意したり、投稿時間を読まれやすい時間帯にしたりと計画的に投稿することもあるでしょう。
そんなときに役立つサービスが今回ご紹介する「Buffer」です。
SNSに投稿するというだけだと生成AIは特に関係なさそうですが、この「Buffer」は「MCP」という機能を持っています。「MCP」はClaudeの開発元「Anthropic」が公開した、生成AIを拡張、連携するための業界標準の規格のこと。業界では生成AIの「USB-C」といった言われ方もしています。
今回は「Claude」から「Buffer」に接続し、AIを通じてSNS投稿をしてみようと思います。
「Buffer」とはどんなサービス?
改めて「Buffer」とは、複数のSNSアカウントをまとめて管理できるサービスです。X(旧Twitter)やFacebook、Instagramなどのアカウントを連携し、ひとつの画面から投稿の作成や予約、管理を行うことができます。
例えば、
● 来週公開予定の記事の告知を事前に予約する
● 複数のSNSへ同時に投稿する
● 投稿予定をカレンダー形式で確認する
● チームで投稿内容をレビューする
といったことが可能です。
個人利用では「思いついた時に投稿する」という使い方も多いかもしれませんが、継続的に情報発信をしていると、「平日の昼に投稿したい」「イベント開始直前に告知したい」といった場面も出てきます。そうした際に予約投稿機能は非常に便利です。
また、企業アカウントの運用では、担当者が毎回SNSへログインして投稿するのではなく、事前に複数の投稿を準備しておくケースも少なくありません。Bufferはそのような運用を支援するためのサービスとして、多くのユーザーに利用されています。
近年はSNS運用を支援するサービスも数多く登場していますが、Bufferは比較的シンプルな操作性が特徴です。個人向けの無料プランも用意されており、まず試してみたいという方でも始めやすいでしょう。
しかし、今回注目したいのは「予約投稿」機能そのものではありません。最近BufferはMCP(Model Context Protocol)に対応しました。これにより生成AIと連携し、AIが投稿文を作成するだけでなく、実際に投稿予約まで行えるようになっています。
これまでは、「AIで生成した投稿文をコピペして手動で投稿」としていたものが、「AIに投稿文の作成を依頼し、実際に予約投稿する」ところまで行えるようになりました。しかし、やはり誤情報や意図しない表現が含まれる可能性もあるため、投稿の最終確認だけは人の手で行う運用を筆者としてはおすすめします。
MCPって何?
さて、先ほどの解説で登場した「MCP」とは何なのでしょうか。
MCP(Model Context Protocol)は、生成AIとさまざまなサービスを連携させるための共通規格です。生成AI開発企業のAnthropicによって提案され、現在では多くのサービスやツールが対応を進めています。
公式のページでは「生成AI版のUSB-C」のようなものと書かれています。
少し技術的なので、Claudeでは「コネクタ」と呼んでいます。ChatGPTでは「アプリ」という名前でいくつか利用できますし、「開発者モード」にすると設定を入れて様々なMCPが利用できるようになります。
以前は、AIと外部サービスを連携させようとすると、それぞれ個別のプログラムや設定が必要でした。しかしMCPに対応しているサービス同士であれば、共通の仕組みで接続できるようになります。
例えば、今回利用するBufferのほかにも、
● Google Driveのファイルを参照する
● カレンダーへ予定を登録する
● メールを送信する
● データベースを検索する
といったことが可能になります。
これまでも生成AIは文章作成や要約などを得意としていましたが、実際に作業を実行する場合は、人間が手動で行ったり、別のアプリを開いたりする必要がありました。それがMCPを利用すると、AIが外部サービスと直接連携し、実際の操作まで行えるようになります。
最近は「AIエージェント」という言葉を耳にする機会も増えてきました。AIエージェントとは、単に質問に答えるだけではなく、目的に応じて必要な作業を実行するAIのことです。MCPは、そんなAIエージェントを実現するための重要な技術のひとつとして注目されています。
それでは実際にClaudeとBufferを接続し、AIからSNS投稿を行ってみましょう。
BufferのMCPを設定してみる
まずはBufferのアカウントを作成します。
Bufferのページへアクセスし、「Get Started for free」からアカウントを作成します。
メールアドレスとパスワードの一般的なアカウントですので、特に迷うこともないと思います。
いくつかの簡単なアンケートに答えると、メインの画面までたどり着きます。
続いて、投稿したいSNSアカウントを連携します。
BufferはX(旧Twitter)やFacebook、Instagram、LinkedInなど複数のSNSに対応しています。今回はXのアカウントを連携してみました。
Xのアイコンをクリックすると、X側の認証になります。「連携アプリを認証」すればBufferから投稿できるようになります。
連携が完了すると、投稿スケジュールを管理する画面が表示されます。カレンダー形式で投稿予定を確認できるほか、投稿の作成や予約もここから行えます。
次に、BufferをClaudeと接続し、AIから直接SNS投稿を行えるようにしてみます。
Claudeの設定の方に移ります。「カスタマイズ」から「コネクタ」「+」「カスタムコネクタの追加」と進んでいくとMCPが追加できます。
「名前」欄には「Buffer」、「リモートMCPサーバーURL」欄には「 https://mcp.buffer.com/mcp 」を入力しましょう。接続する際に自動的に開くBufferのページで連携を許可すれば完了です。
Claude以外でもMCPは利用できるので、Bufferの公式ページを参照してみてください。
AIにSNS投稿を作らせてみる
接続が完了したら、いよいよClaudeからBufferを操作してみましょう。まずはシンプルに、投稿文の作成から試してみます。今回は以下のようなプロンプトを入力してみました。
□Xでつぶやくための、生成AI関連のニュースを検索して投稿内容を考えてください。
□すると、Web検索して生成AI関連のニュースをを拾い、投稿ネタの候補を出してくれました。
ここから投稿ネタの候補を選んだり、文面を調整するような指示を出していきます。
投稿文が完成したら、続けて次のように依頼します。
□この内容を明日の12時にBufferへ予約投稿してください。
□するとClaudeがBufferへ接続し、投稿内容や投稿日時を確認したうえで登録を行います。
メール送信やSNS投稿など、MCP連携を設定した実際の操作を伴う処理については、人間が最終確認できる仕組みになっているので安心です。特に問題がなければ、許可して先に進みます。これでBufferを通じたXの予約投稿が完了しました。
時間を指定する方法にしましたが、あらかじめ読まれる時間帯をBufferに登録しておき、指定のタイミングで投稿するように頼むこともできますし、もちろんリアルタイムに投稿を依頼することも可能です。
技術的には投稿文の作成から予約投稿までを完全自動化することも可能ですが、企業アカウントや業務利用の場合は、誤字脱字や意図しない表現が含まれていないか、人間による確認プロセスを残しておく方が安心でしょう。
筆者としては、「AIが下書きを作り、人間が確認、推敲して投稿する」という形が、現時点では最も実用的な使い方ではないかと感じました。
まとめ
今回はSNS管理サービスのBufferとMCPを利用し、Claudeから直接SNS投稿を行ってみました。 MCPを利用することで、生成AIは単なる文章作成ツールから、実際にサービスを操作するアシスタントへと進化します。
今回のようなSNS投稿だけではなく、カレンダー登録やメール送信、ファイル検索など、さまざまなサービスとの連携も広がっています。
一方で、だからといって何もかも自動化すれば良いというわけではありません。企業アカウントや業務利用では特に、内容の確認や最終的な判断は人間が行うべきでしょう。生成AIに任せる部分と、人間が責任を持つ部分を切り分けることが重要です。
今回試したBufferとの連携は、設定も比較的簡単で、MCPやAIエージェントを体験する最初の一歩としてもおすすめできます。これまで「MCPは開発者向けの難しい技術」と感じていた方も、まずは身近なSNS投稿から試してみると、その便利さを実感できるのではないでしょうか。
森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。







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