今回の最新作でも新しい撮影技術の導入や入念な構図づくりに挑戦
映像作品は新しい機材を投入することで、製作自体に大きな変化が生まれる。そのため、本広監督は米国ラスベガスで毎年開催される撮影機材の見本市「NAB Show」に足を運んで、様々な新技術をいつも自身の作品に取り入れてきたという。
「僕が機材オタクというのもあるのですが(笑)、今回の劇場版でも、新しいレンズやドローンを多用しています。特に覚えているのが、地下鉄のシーン。ドローンが回転しながら進んでいくと、まるで青島が水中に潜っていくような感覚になる。そこへさらに音楽が加わり、本当にカッコいい映像になっていました」
ただし、撮影における技術がどれだけ新しくなっても、役者の素晴らしい演技をいかにして切り取るのか……ということを一番大事にしなければならないという。
「その点で言えば、カメラの構図にも、ものすごくこだわっています。最新作で注目してほしいのは、佐々木蔵之介さん演じる北丘雲斗と青島の2ショット。両者が並んで缶コーヒーを飲んでいる姿をいろんな角度から撮りました。〈カット割り〉と呼ばれる昔ながらの手法ですが、ところどころに斜めからのアングルを差し込むことで、画に厚みを出しているんです。しかも、被写体があのおふたりだから、どこから撮っても2対の彫刻が並んでいるようなカッコよさがある。ふたりが芝居で動くたびに、構図も変化させ、画面から感情が伝わってくるように演出しました」
青島と北丘の表情を際立たせたのは奥行きある〝画の厚み〟

青島の同期である北丘が『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』以来、23年ぶりに再登場。いつまでも〝現場の刑事〟にこだわる青島と交わす会話の内容は、最新作のテーマのひとつにもなっている。掛け合いの間やふとした時に見せる仕草など、ふたりの共演は深みがあり、重厚なシーンを演出している。
製作陣の知恵を結集した終盤と綿密に張り巡らせた伏線も最新作の大きな見どころ
14年ぶりの最新作は見どころが実に多く、その中でも演出面で最後まで頭を悩ませたのが青島の回想シーンだったそうだ。
「人間には楽しかった思い出だけじゃなく、忘れたい記憶だってある。それを、今までにない見せ方でどう表現していけばいいかという答えが、なかなか見つからなかったんです。君塚さんからも『演出はお任せします』と言われていましたし。最終的には助監督や技師さんたちにもアイデアを出していただき、なんとかひとつの形に仕上げたんです。完成版を見た君塚さんから『よくまとめたね』という感想をいただいた時はホッとしました(笑)」
また、『踊る』らしく、いくつもの伏線にも注目を。「君塚さんの切なる思いで物語の冒頭からいろんな映画のオマージュを詰め込んでいますが、それらも終盤に進むに連れて、伏線回収のように意味を持ち始めていく。何気ないシーンでも、先ほどの青島の回想につながるかもしれないので、ぜひ注意深くご覧いただければと。ひとつだけネタバラシをすると、すでにSNSなどで憶測が飛び交っているように、俳優・近藤芳正さんにもご出演いただいています。近藤さん演じる田中文夫はテレビドラマ第1話で柏木雪乃の父親を殺害した犯人として登場し、青島が湾岸署に配属されて初めて取り調べをした人物です。青島と田中が話すシーンには特にこだわりました。『踊る』のファンであれば、思わずニヤリとする場面になっていると思いますよ」
劇中の様々な”仕掛け〟が後々のシーンに深くかかわる!?


過去作品のオマージュや作中で描かれる伏線回収など、どこを切り取っても最新作は見どころばかり。青島が訪れる本庁のとある場所には懐かしい登場人物も。そこで開発されたアイテムも重要な〝鍵〟となる!?
取材・文/倉田モトキ 編集/田尻健二郎
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