一度は『FINAL』で幕を閉じた『踊る大捜査線』シリーズを再スタートした理由とは?
スピンオフ以外で『踊る』の劇場版が作られたのは、14年前の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』が最後だった。
「正直に言うと、僕も織田(裕二)くんも『どうしてタイトルに〝FINAL〟って付けちゃったんだろう?』と思っていました。映画の企画が立ち上がった当初はみんな『踊る4』と呼んでいましたし、君塚さんも終わりのつもりで書いていませんでしたから。ただ、その頃は『海猿』や『ALWAYS 三丁目の夕日』の各シリーズが次々にヒットし、日本映画ブームが起きていた。だから『踊る』もその流れの中で新作を発表すると同時に、これでシリーズを終わらせようという亀山さんの思いがあったのかなという気がします」
とはいえ、君塚さんには〝いつか室井さんの生き方をしっかりと成就させてあげたい〟という気持ちがずっとあったようだ。
「そこで生まれたのが『敗れざる者』『生き続ける者』でした。そしたら、今度は織田くんのほうから『俺にやれることはないですか?』と声をかけてきてくれて。結果、同作品のラストに青島が室井さんの家を訪ねるシーンを急遽作ることになり、それが今回の新作製作につながったわけです。結局のところ、織田くんをはじめ、誰もが『踊る』をやりたくてうずうずしていたんだと思います。その証拠に、今回もドラマの時とほぼ同じスタッフが集まってくれました。今やレジェンドクラスの技師さんたちがのびのびと現場を楽しんでいて、本当に幸せな気持ちになりました」
そのため、新作で何かを変えようとは思わなかったそうだ。
「青島も若作りはせず、織田くんには普段のままの姿で出ていただいています。年齢を重ね、少し和久(平八郎)さんらしさを感じさせつつ、時には年下の若手にも引っ張られる中年のおじさん。そんな理想の上司像を感じてもらえると思います」
『踊る』の最新作が作られたのは室井慎次のスピンオフ映画があったから

『敗れざる者』『生き続ける者』の隠居生活で室井が里親になった子供たちも新作に登場する。なお、同作品では青島が室井のもとに訪れるものの電話で呼び戻され、両者は会えずに終わった。そして画面には「THE ODORU LEGEND STILL CONTINUES」の文字が画面に表示され、今回の新作へとつながっていく。
最新作を監督したことで改めて実感した『踊る大捜査線』のすごさ
「歴史のある作品の強みと言えるかもしれませんが、『踊る』はロケ地がどこも協力的なんです。例えば、警視庁のシーンで出てくる階段のある建物。本来は撮影がNGなんです。でも『踊る』だけは信頼のもと、特別に貸していただける。そういったスポットがたくさんあり、いつも作品が持つ力に助けられています」
そんな『踊る』から生み出された〝フォーマット〟は汎用性が高く、本広監督がほかの作品を手がける際も活用してきたとか。
「2007年に『SP 警視庁警備部警護課第四係』というドラマの総監督をしたのですが、メインで活躍するふたりがバディのようでバディではない。この構図って『踊る』(の青島と室井)なんです。それにアニメの『PSYCHO-PASS サイコパス』を監督した際も、近未来のSFという設定でありながら、『踊る』のあらゆるノウハウを取り入れて作りました」
近年は、映画でもドラマでも、複数の脚本家が案を出し合って物語を作り上げるチームライティングが流行っているという。
「黒澤明監督でいうところの〈複眼〉ですね。実は、これに近いことを我々『踊る』の製作陣もやってきているんです。スピンオフ作品は君塚さん以外も脚本を手がけていますし、室井さんや真下正義、木島丈一郎といった、本来の主人公ではないキャラクターをメインにした作品でも成功を収めている。つまり、舞台が湾岸署じゃなくても成立する形を生み出しているんです。『北の国から』のような『踊る大捜査線』だって、やろうと思えば作れますから。そうやっていろんなアイデアを次々と取り入れていくことで、コンテンツとしての強さがより増していく。クリエイターにとって、これほど作っていて楽しいシリーズはないですね」
ロケ地の高輪ゲートウェイ側が積極的に撮影シーンを提案


東京の新名所「高輪ゲートウェイ」でも撮影を敢行。本広監督は当時のロケハンの様子を振り返り「現地の関係者がとても協力的で、『踊る』なら〝SATとかヘリコプターとか出ないんですか?〟と聞かれました」と笑う。「このシリーズは、そうしたいろんな人たちの思い入れや愛情があって成り立っているんだなと強く感じましたね」
新宿の名所を舞台にした大々的なロケ撮影を敢行

都庁前や歌舞伎町など、新宿のシンボリックな名所を青島が駆け抜ける大掛かりなシーンも見どころに。「普段は走る場面が少ない作品ですが、だからこそ、ここぞという時に青島が走ると、盛り上がりがすごい! 実はそこも計算のひとつです」
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