バブル崩壊後の景気低迷や就職氷河期──。ため息ばかりだった日本へ、1997年、ひとりの刑事が希望と興奮をもたらした。出世より現場。慣例より行動。根回しより正義感。当時、多くの共感を集めた青島俊作の姿は、今見ても驚くほど新しい。そして2026年、あの青島が帰ってくる!創刊40周年、彼と同じ時代を生きてきたDIMEでは、世代を超えて愛される『踊る大捜査線』シリーズの軌跡を総力取材。令和のビジネスパーソンに再び熱をもたらすヒーローの姿とは? 踊る旋風を見逃すな!
トレードマークのモッズコートを羽織り、颯爽とカメラの前に現れた織田裕二。約30年もの長きにわたり、メガヒット作の人気をけん引してきたオーラは健在!といったところだ。青島俊作とは同い年で誕生日も一緒。一心同体ともいえる〝彼〟と、14年ぶりに向き合うことになった胸中はいかなるものか。思いの丈を語ってもらった。

『踊る大捜査線』シリーズ 青島俊作役
織田裕二
1967年12月13日生まれ。神奈川県出身。1987年公開の映画『湘南爆走族』で俳優デビューし、数々の作品に出演。1997年より『踊る大捜査線』シリーズ(フジテレビ系)で主演の青島俊作役を務め、国民的人気を獲得した。2026年9月18日にはシリーズ最新作となる映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の公開を控える。
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和久さんの歳になったらもう一度やりたい
──前作の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』でいったん完結したかと思われましたが、再び『踊る』が復活すると知った時の思いを教えてください。
そりゃ、驚きましたよ。じつは、前作の時も最初「ファイナル」だと知らずにいたんです。台本にも終わるだなんてひとことも書いていないし、『踊る』は僕にとって大切な作品。青島って役も大好きで、「よっしゃ! 一生やりつづけるか!」みたいな覚悟を持っていたから、正直固まりましたよね。
もちろん、いろいろな事情があってのことで仕方がないんだけど、プロデューサーの亀山さんには「青島が和久さんくらいの歳になったら、もう一回やりたいね」って話をしていました。でも、それから長い月日が経って、とんと話がこないから「ああ、もうないんだな」と思っていた。これまで断っていたほかの刑事モノの役を解禁していたら、突然「あれ、やるよ」って言われて(笑)。
──14年ぶりに青島が帰ってくることは、当時の亀山さんとの約束が守られた形なんですね。
ある意味守られたし、ある意味驚いた。もっと言うと、いかりやさんが亡くなった時にシリーズ終了だと思っていましたから。それくらい和久さんに思い入れが強かったし、縦軸のコンビとしてとても大事なキャラクターだった。
青島と和久さん、デスクが隣同士じゃないですか。このままだと、撮影中に思い出してしんみりしちゃうよね……ってところから、湾岸署の引っ越しという設定が生まれました。『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』のエピソードです。和久さん不在の喪失感から解き放たれて、もう一回エンジンをかけよう、というつもりだった。今回は、さらにギアを入れ直した形ですね。
──実際、和久さんと同年代になって、モッズコートを着られた時の気持ちは?
コートねえ、さすがにボロボロだよね。いっそ着ない選択肢もあるのかな、そんなことを想像しなくもなかった。でも、最終的には、みんなこれを楽しみにしてくれているんじゃないかっていうところに落ち着きましたね。
──久しぶりに演じる青島はいかがでしたか?
いざ台本を読んだら、ずーっと走っているんですよ。「いやいや、こんな無理っすよ」って突っ込んじゃった。だって、青島も定年間近よ、相当くたびれているはず。それこそ、和久さんが走ってる姿、見たことあります? いつも腰トントンしていたじゃない(笑)。でも、展開は面白かったからダメとも言えない。じゃあ、どうしたら今の青島の年齢で〝走る〟シーンを成立させられるかを考えて、監督に「俺、カッコ悪く走るよ」って言ったんですよ。カッコつけて走ることもできるけど、ダサい走り方をしたほうがいいんじゃないかと思って。エッホエッホみたいな走り方(笑)。
──途中、電動キックボードを使っていましたが、あれは……!?
そう、あれも僕の提案。真面目に走りつづけているだけじゃつまんないからね。青島くんって、サボるところはサボるじゃない。どこかちゃっかりしている部分があるというか、ズルさも含めて憎めないヤツなんだけど、そういう匂いを含ませたくて。ちなみに、大阪府警では、電動キックボードを実際に取り入れているそうですよ。東京ではまだだけど、いずれ採用されるかもしれないし、全くのデタラメでもないっていうね。
──『踊る』らしさと令和とが融合した感がありました。
作中で青島が走る東京高速道路って、今は廃止されているんだよね。撮影時は整備の合間でしたが、東京都から撮影許可が出たんですよ。早朝にもかかわらず、大勢のエキストラが参加してくれた。みんな若いんだ。20代がメインだったんじゃないかな。連ドラの時にはまだ生まれていないはずだけど、配信などで見てくれているんです。自前の車で100台以上集まって、渋滞するシーンを作ってくれた。ファンに愛され、ファンに助けられている作品なんですよね、本当にありがたかったです。

今回の舞台は、巨大都市・東京(メトロポリス)。新宿、渋谷、池袋などで大規模ロケが敢行され、クランクイン時にはSNSの呼びかけに応じた400人のエキストラが集まった。雑踏の中に映し出される都市景観に注目したい。

電動キックボードで首都高を爆走するシーン。使えるものは何でも使う、青島のちゃっかり精神が垣間見える。しかし、こうも簡単に乗りこなせているところを見ると、もしかしたら普段から通勤などに利用しているのかもしれない……!?




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