プロジェクターで天井や壁に絵本を投影し、読み聞かせをしながら親子時間を楽しめる「ドリームスイッチ」。ディズニー・おさるのジョージ・アンパンマンといったキャラクターが登場するコンテンツを、ソフトの差し替えで楽しむことができる。2017年の発売以来、60万台以上を販売したヒット商品だ。
今回は、株式会社セガ フェイブ MD・TOY開発生産本部 TOY開発部 部長 土屋貴由さんに、ドリームスイッチの誕生秘話や込められた想い、今後の展望について話を聞いた。
*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
「寝てほしい親」と「寝たくない子ども」、相反するニーズを一つで解決
ドリームスイッチの開発は、ご自身の体験がきっかけになったと土屋さんは当時をこう振り返る。
「私自身が、2人の子どもの寝かしつけに悩んでいたことが開発のきっかけです。子どもが2人になってから、寝かしつけの時間がより大変になり、私1人で2人を同時に相手するのに苦労をしました。世の中にはそういった悩みを持つ人もいるのではないかと、社内のママさんたちに聞いてみたところ『私も大変です』との声が多く、困っている人がいることがわかったんです。これは自分を含め、世の中のためになるのではないかと思い開発をスタートさせました」
ドリームスイッチは、「寝る前の親子時間を充実させること」をコンセプトに作られ、3つの大きな特徴があるという。
「一つ目が『暗くしたままリラックスして使える点』です。例えば、部屋を暗くすると本の字が読めないですし、明るいと子どもの目が覚めてしまいますが、ドリームスイッチは部屋を暗くしながら読み聞かせができます。それから、『目に優しい』という点です。動画視聴の場合、直接ディスプレイを見るため、長時間は避けたいという方もいらっしゃると思います。ドリームスイッチは、プロジェクターで天井に投影するため直接ディスプレイを見る訳ではなく、かつ離れた距離で視聴できます。3つ目は、寝る前専用に開発されたコンテンツが搭載されていること。アニメーションになってしまうと、お子様が興奮してしまって、楽しいけど寝る準備ができないこともあります。優しい声のナレーション、リラックスするようなBGMでコンテンツを展開するところが特徴です」
土屋さんは、親と子どもの異なるニーズを一つで満たす点がドリームスイッチで提供できる価値だと話す。
「お子さんの『寝たくない』『もっと遊びたい』などの気持ちと、親御さんの『子どもの寝る時間を確保したい』『この後にやることがある』という気持ち。このニーズがマッチしないところですが、ドリームスイッチを使うと、お子様にとっては映画を観るかのようなエンターテインメントの時間であり、親御さんにとっては、これを使うことによって自分から部屋に行ってくれる、そしてリラックスできる。親子のバッティングするニーズの違いを一つで解決できます」
第一回より
我が子をモニターに、何度も作り直した。”ちょうどいい”にたどり着くまで
完成に至るまでには数々の試作を作り、細かい部分の調整を行ってきたという。
「私は当時、『Homestar』という家庭用プラネタリウムの担当をしていて、プロジェクターで絵本が投影できたらという発想に至りました。とはいえ、技術的にどうするか、コンテンツはどうするかは手探りでした。試作を作り自分の子どもたちをモニターにして、『この時間だと短いから子どもは満足しないな』『これだと早すぎてダメだな』と何度も作り直しました。そうして『これだったらいけるぞ』というものになり、それを社内の会議にかけていきました」
ドリームスイッチには、子どもが自然と寝る準備に入れるような数々の工夫が施されているという。
「ドリームスイッチには、オープニングとエンディングがあり、スイッチをつけると好きなキャラクターが『今日は何の本にしようか』と誘導してくれます。ストーリーが全部終わった後もキャラクターが登場して『今日はもうたくさん楽しんだね。そろそろ眠くなってきちゃったから、また明日にしようか』といった促しをしてくれます。親から『早く寝なさい』と言われると『寝たくない』となりますが、好きなキャラクターから言われると『そうだよね、僕もそうしよう』という気持ちになれるんですよね。それで徐々にフェードアウトして、オートオフで切れるように設計しています」
第二回より
コロナ後の”家族の多様化”がフルモデルチェンジを後押し
2025年10月にはフルモデルチェンジを行い、音声録音機能などさまざまな新機能も追加された。使用前との変化について、ユーザーからは嬉しい声が届いているという。
「『寝つくまでの負担が減った』『自分で部屋に行くようになった』と喜びの声をいただいています。また、新しいシリーズになって、『好きなソフトを選びやすくなった』という声を聞きます。スロットが2つになり、今までよりもお求めやすい価格になっていますので、そういったところでご満足いただいていると思っています。過去の商品を持っている方で、リピーターとして買っていただいている方もいらっしゃいます。兄弟ごとにご購入されるケースもあれば、おじいちゃん・おばあちゃんのうちに行った時に使えるように追加で購入されるパターンもあるようです」
フルモデルチェンジのきっかけとなったのは「時代の変化」にあると、土屋さんは続ける。
「コロナ禍を経て、2017年当時よりも家族のあり方やライフスタイルが変化していることは、リニューアル時の大きなポイントでした。当時は、お母さんが寝かしつけをしなければいけないという前提がありましたが、お父さんが寝る前の担当の場合もあれば、共働きで兄弟だけで寝る時間を過ごすなど、様々なパターンがあります。モニター調査等の声も踏まえながら、『実際、今ってどうなんだろう』と考えながら、チームの中でどうあるべきかをディスカッションしてきました」
第三回より
子どもが小さくて可愛い時間は短い。親子の寝る前を最高の時間に
土屋さんは、ドリームスイッチがヒットした要因について、「寝る前の時間に最適な商品として、新しい体験ができる設計にしたこと」を挙げる。
「各家庭のライフスタイル、多様性に合わせた機能として、ソフトの差し替えが簡単にできるよう2スロットにしたり、学びの機能を追加したりしたことで、リラックスするだけでなく、見ながら教養を身につけられるコンテンツの強化をしています。価格とコンテンツの信頼感も要因の一つです。少しでも多くの方に手に取ってもらえるよう企業努力をして、過去のシリーズよりも圧倒的にお求めやすい価格で販売しています。クオリティとしては、以前よりも劣ることなく、よりご家庭にフィットできるようなものとして作っています」
土屋さんは「子どもの天使の寝顔はかけがえのないもの」と捉えたうえで、ドリームスイッとを親子の時間を大切にできる存在になりたいと展望を話してくれた。
「子どもが小さくて可愛い時間は短いんですよね。だからこそ、より親子の時間を大切にできるようなサポートができるよう、少しでもよく改善・改良していきたいと思っています。今後もお客様にフィットするソフトを充実していく予定です。今回のリニューアルで様々な新しい機能を追加しているので、お子様の成長を見守れるようなものになるといいなと思っています。例えば、毎日聞いていたらいつの間にか英語を言うようになったり、『あの時、花咲かじいさんはこうやって言ったんだろうね』とストーリーを考えて言葉にしたりといった成長が、各家庭で見られるようになったらいいなと思っています」
最後に、土屋さんはリスナーへ向けてメッセージをもらった。
「忙しい毎日の中でも寝る前の10~15分は、親子にとって貴重な大切な時間。この商品で、最高の親子時間を生み出せるきっかけになってもらえれば嬉しいです。大人の方でも、リラックスできるようなストレッチなどのコンテンツも用意しています。なかなか寝られないという方は、ぜひ寝る前のドリームスイッチでリラックスしてもらえればと思っております。気になった方はお試しください」
第四回より
撮影・文/久我裕紀 構成/DIME編集部







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