裁判所のジャッジ
Xさんの勝訴です。
裁判所はザックリ「求人票どおりの契約が成立している。すなわち、定年制はナシで、無期雇用だ。なので契約は終了しておらず、Xさんはいまだ社員だ」と判断。
▼ 求人票 vs 労働条件通知書
―― 会社さん、何か反論でも?
会社
「最終的に労働条件通知書にサインしたじゃないですか」
「そこには【1年契約、定年制あり】って書いてたので1年契約で合意が成立してます」
―― ノンノン! サイン=同意【とは言い切れない】んですよ。裁判官さん、正確にお願いします!
裁判官
「はい。使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるの は相当ではありません。当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきです」
―― あとは、本当に自分で決めてサインしたのか?それともサインせざるを得ないような状況だったのか?ってところですよね。
裁判官
「はい。最高裁が言ってるように、その同意の有無については、当該行為を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な 理由が客観的に存在するか否かという観点からも 判断されるべきです(山梨県民信用組合事件:最高裁 H28.2.19)」
―― 今回のXさんのケースは、どうでしょうか?
裁判官
「Xさんの自由な意思に基づいてサインしたとはいえないですね」
―― 理由はどういったところでしょう?
裁判官
「重視したポイントは以下のとおりです」
・契約期間のあるなしは、入社しようとする人にとって給料と同じくらい大事なポイント
・定年制のあるなしも同じく重要ポイント
・求人票と異なっていることを社長が詳しく説明しなかった
・サインを求められた時にはXさんはすでに前の職場を辞めていたので、サインを拒否すると仕事が完全になくなってしまう。
裁判官
「なので労働条件通知書にサインしたとしても同意していないと判断しました」
「Xさんと会社の労働契約は今なお継続しています」
今回は勝ちましたけど、社員が負けたケースもあります。
少しでも「この内容おかしいのでは」と感じたなら、サインする前に弁護士などに相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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