日々進化し、私たちの生活に欠かせない「冷凍食品」。その進化は著しく、忙しく働くビジネスパーソンにとって、気軽においしい食事ができる大切な存在だろう。
一方で、その冷凍食品を管理している倉庫を想像してみてほしい。マイナス20度以下の北極圏並みの温度の中、毎日作業し続けるのは過酷だ。そんな大変な労働環境を、最新システムで解決しているのが「霞ヶ関キャピタル」。
冷凍倉庫を自動化することで、マイナスの世界に人が入る必要がなくなったという。さらに、事務所はまるでSF映画の管制塔。働く人のモチベーションを上げ、人材の定着率を高める最新冷凍自動倉庫は、物流業界の未来を変えるかもしれない。
成功を収め、事業を拡大!霞ヶ関キャピタルの冷凍自動倉庫
霞ヶ関キャピタルは不動産コンサルティング事業を核に、物流事業・ホテル事業・ヘルスケア事業などを展開している。物流事業は2020年に参入し、2022年には千葉県に冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD 市川 I」が竣工。自社倉庫ではなく「賃貸」で、投資額が大きいハイリスクな「冷蔵」・「冷凍」にあえて特化しているのが特徴だ。2026年3月時点では東北・関東・関西・九州の10棟が竣工済み。今後は冷凍自動倉庫を中心に10棟以上の倉庫が計画されており、全国に急速に広がっている。
なぜこんなにも拡大しているのか――それは、2024年8月に竣工した「LOGI FLAG TECH 所沢 I」の成功が一つの理由にある。LOGI FLAG TECH 所沢 Iは、霞ヶ関キャピタルが企画・開発した“冷凍自動倉庫”の第1号案件だ。現在は霞ヶ関キャピタルの連結子会社であるX NETWORKが入居し、物流業として冷凍食品等を保管・管理している。冷凍自動倉庫内の約半分の容量をSBSゼンツウから5年間寄託を受け荷物を預かり、残りの半分の容量に関わる庫内の荷役業務をSBSゼンツウに委託し運営を行っている。
「冷凍倉庫で働くことは、過酷と言わざるを得ません。どんなに厚着をしても、手袋をしても、末端から痛みを感じます。寒いというか、痛いのです」。そう話すのは、SBSゼンツウの所沢コールドセンター長を務める宮城衛さん。マイナス20度以下の冷凍倉庫の中に入り、棚へ荷物を入庫したり、棚から目的の荷物をピックアップしたりする作業は、想像を超えるほど大変だ。特に外気温が40度近くになる夏場は冷凍倉庫との温度差が60度前後で、当然、身体の負担は大きい。
冷凍倉庫のオペレーションにおいて、労働環境の改善は永遠のテーマ。全国の冷凍倉庫はまだまだ人の手作業で行う倉庫が主流で、SBSゼンツウとしても自動の冷凍倉庫はLOGI FLAG TECH 所沢 Iが初めてだ。
稼働して1年半以上が経った今、現場で働く人たちの評判は上々。「冷凍庫に長時間入らなくて済むのは、体に負担がないからいいよね」という声もあり、人材の定着率は70%以上で、物流業界では高水準だ。物流業界では入社した翌日に退社、なんて人もザラ。LOGI FLAG TECH 所沢 Iはかなり働きやすい職場と言えるだろう。
「イメージを変えたい」。物流を、かっこいい仕事に
もう一つ、LOGI FLAG TECH 所沢 Iの特徴が、まるでSF映画の管制塔のような近未来なデザイン。ネオンが眩しく、来訪者も、面接に来た人も驚くようなキラキラ事務所だ。
キラキラ事務所にした理由は「物流のイメージを抜本的に変えることが狙い」。そう話すのは、X NETWORKの所沢センター長である轟木和誠さんだ。物流業界はまだまだ「3K」と言われてしまう仕事で、「物流は、もっとかっこいい仕事」ということを伝えたかったという。事務所では倉庫で起きていることが一括で管理でき、まさに管制塔としての役割を果たす。映画のセットのような事務所で働けるのは、モチベーションも高まりそうだ。
キラキラの事務所もそうだが、「きれいで働きやすい」というのも、現場で働く人の声として上がっている。従来の物流倉庫は、老朽化も一つの問題。毎日働く上で大切な「トイレ」は簡易トイレのような倉庫もあり、LOGI FLAG TECH 所沢 Iのように男女別でパウダールームや貴重品ロッカーのあるきれいなトイレはかなり稀だという。
物流業界はその過酷さから男性の割合が圧倒的に多く、かつ中高年層が大半だが、LOGI FLAG TECH 所沢 Iは30~40代の男女が在籍。特に倉庫のオペレーターとして働く一人の女性は宮城さんも轟木さんも「エース」と呼ぶほど、高い能力を持っているという。働く環境を整えることで、性別関係なく、優秀な人材を集めることができているようだ。
宮城さん「物流業界の人手不足は深刻で、人を選べるような状況ではありません。しかし、LOGI FLAG TECH 所沢 Iは何らかの事情で退職者が出た時も、募集をかければ応募してもらえているという状況なので嬉しい限りです。人手に対しては、大きく心配していませんね」
365日、24時間を12人だけで。LOGI FLAG TECH 所沢 Iの省人化の仕組み
労働者にとっての働きやすさも魅力だが、LOGI FLAG TECH 所沢 Iは自動倉庫のため「省人化」を実現させていることも大きな特徴だ。冷凍倉庫のオペレーションの基本的な流れは下記の通り。このうち冷凍倉庫内で作業が必要な入庫~出庫を自動化している。
1.入荷:トラックから倉庫に荷物を入れる
2.入庫:荷物を冷凍倉庫の棚に入れる
3.保管:荷物を冷凍倉庫で保管する
4.出庫:冷凍倉庫棚から荷物を出す
5.出荷:倉庫からトラックに荷物を入れる
入荷・出荷を行う荷捌きエリアの温度は5度前後。防寒をすれば、問題なく働ける環境だ。オペレーターはここでトラックから届いた荷物をパレットに積んでから、フォークリフトで運び、冷凍自動倉庫のステーションに置く。ステーションに置くだけで、操作なく、自動的にパレット&積荷は建物2階にある冷凍倉庫の正しい棚に格納できる。
自動化のポイントとなるのがパレットの「バーコード」。ここに荷物の情報が詰まっていて、このバーコードの情報をステーションで自動的に読み取ることで、正しい棚に格納できる仕組みだ。バーコード管理することでデータ入力など手作業が圧倒的に減り、事務作業を軽減すると同時に人的エラーも防げる。その結果、LOGI FLAG TECH 所沢 Iで働いているSBSゼンツウのスタッフは、現場作業者+事務職含めてたったの12人。4,190パレットを格納する倉庫としては、半分ほどの人数だという。
ただし、冷凍自動倉庫は一長一短で、LOGI FLAG TECH 所沢 Iには課題もある。その一つは、冷凍自動倉庫の棚の高さが固定で決まっているため、ステーションに置く前に積荷の高さを1.5m未満に手作業で調整する必要がある、という点だ。荷台の高さが2m以上の大型トラックで運ばれてくる荷物は天井いっぱいに積まれていることが大半で、荷物の高さは1.5m以上になることが多く、この作業がどうしても発生してしまうという。今後の倉庫には、テナントと調整しながら、こういった課題の解決を目指していくという。
人手不足を背景に、働き方も見直されている物流業界。もし冷凍自動倉庫が主流になれば、過酷な労働環境の改善や、省人化を進めることができる。また、LOGI FLAG TECH 所沢 Iのようなかっこいい職場が増えれば、働き手のモチベーションも上がり、生産効率も高まるだろう。課題は残っているものの、少子化が加速し、人手不足が避けられない今、こういった取り組みは物流業界の未来へのヒントとなりそうだ。
・LOGI FLAG
HP:https://logiflag.com
・COLD X NETWORK
HP:https://x-network.co.jp
取材・文/小浜みゆ
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