忘年会の季節になると「正直、行きたくない…」と感じる人は少なくありません。気遣い疲れや同調圧力、会話への不安、価値観の変化など、理由はさまざまです。大切なのは、自分の本音を理解しつつ、行く・行かないのどちらを選んでも角が立たない振る舞い方を知っておくことです。断り方やストレスを減らす工夫も紹介します。
「正直、もう忘年会とか疲れる…」
年末が近づくと、恒例の社内の忘年会シーズンがやってきます。「正直、行きたくない」と感じる人も、少なくないのではないでしょうか。]
参加しないと「協調性がない」と思われそう。かといって行けば、気を遣ってぐったりしてしまう。こうした気持ちは、心理的な背景や、時代の価値観の変化も関係しています。
今回は、「忘年会に行きたくない」と感じる人の心の中をひもときながら、行く・行かない、どちらを選んでも人間関係を壊さずにいられるヒントをご紹介します。
なぜ「忘年会、行きたくない」と感じるのか?
行きたくない気持ちの裏には、複数の心理的要因があります。代表的な理由を見てみましょう。
(1)気遣い疲れ
職場の飲み会では、ただ話すだけでなく、空気を読んだり、場を白けさせないように配慮したりと、さまざまな気遣いが必要です。
人間関係に気を配ることに慣れている人ほど、忘年会は「リラックスの場」ではなく「もうひとつの仕事」のように感じてしまうことがあります。
(2)時間とお金のコスト意識
年末は忙しく、仕事やプライベートの予定も重なりがちです。そこに会費や二次会の出費が加わると、「限られた時間とお金を使ってまで参加すべきか?」と疑問が生まれます。負担が重なると、気が進まなくなるのも自然なことです。
(3)同調圧力へのストレス
「断りづらい」「空気を悪くしたくない」そんな思いから、本心では行きたくなくても参加してしまう人は少なくありません。「みんな行くから」の空気が、知らぬ間にストレスになります。
(4)会話や人間関係への不安
話が合わない人との会話や、沈黙が続く場面に緊張してしまう人もいます。「何を話せばいいか分からない」「うまくやらなきゃ」と焦ることで、気疲れしやすくなり、参加そのものが不安に感じられるのです。
(5)価値観の変化
「仕事とプライベートは分けたい」「飲み会は義務じゃない」そんな価値観が広がりつつある今、忘年会も“参加するかどうか選べる場”へと変わってきています。
「参加して当然」といった空気に違和感を覚える人が増えているのも、時代の流れといえるでしょう。
忘年会に「行きたくない」と感じる人の心理タイプ
「行きたくない」と感じる人に、よく見られる心理パターンをご紹介します。
(1)評価を気にしやすいタイプ
「周囲からどう見られているか」に敏感な人ほど、忘年会での立ち振る舞いにもプレッシャーを感じやすいものです。
盛り上げなきゃ、失礼がないようにしなきゃ――。そんなふうに気を張りすぎて、「どう思われるか」が気になって、疲れが積み重なります。
(2)断るのが苦手なタイプ
「嫌だと言えない」「断ると申し訳なく感じてしまう」こうした優しさを持つ人は、無理をしてでも出席してしまいがちです。
「今回は休みたい」と思っても、「自分だけ抜けたら悪いかな…」と罪悪感を抱えてしまい、自分の本音を後回しにしてしまうのです。
(3)静かに過ごしたいタイプ
大人数やにぎやかな場が苦手で、少人数での落ち着いた会話を好む人もいます。
決して人付き合いが嫌いなわけではありませんが、刺激が強い場に長時間いると、エネルギーを消耗してしまうため、何度もこうした集まりが続くと大きな負担になります。
(4)合理的に考えるタイプ
プライベートの時間を大切にし、行動の目的や優先順位を重視するタイプです。「強制なら仕方ないけれど、自由参加ならわざわざ行く必要はない」と考える傾向があります。
業務外の飲み会に対しては、「成果に繋がるわけでもないし、行く合理性が見出せない」と判断しやすいのです。
「行く」「行かない」どちらを選んでも、人間関係を悪くしないコツ
「行く」「行かない」。どちらの選択にも、それぞれのメリットとデメリットがあります。
大事なのは、自分の気持ちを無視せずに、納得のいく選び方をすること。そのためのヒントをご紹介します。
(1)まずは自分の本音を確認する
「疲れているな」「ちょっと気が重いな」そんな感覚を覚えたときは、一度立ち止まって自分の気持ちを見つめてみましょう。
「行きたくない」と感じるのは、心のエネルギーが不足しているサインかもしれません。無理して参加するより、今の自分に合った選択をした方が、結果的に人間関係も良好に保てることがあります。
(2)行かないときは「理由」よりも「姿勢」を伝える
「お誘いいただきありがとうございます」「今回は都合がつかず、失礼します」
詳細な説明は必要ありません。丁寧で誠実な姿勢を見せるだけで、印象は十分に保てます。無理に理由づけをしようとすると、自分にプレッシャーがかかってしまうので注意が必要です。
(3)行くときは、自分ルールを決めて消耗を防ぐ
どうしても参加が必要な場合でも、あらかじめ「ここまではOK」という自分なりのルールを設けておくことで、過度なストレスを防ぐことができます。
たとえば、「一次会で帰る」「お酒は無理に飲まない」「盛り上げ役はしない」など。小さなルールがあるだけで、安心感が生まれます。
(4)フォローの一言が、人間関係を整える
翌日、「昨日はお疲れさまでした」と一言伝えるだけでも、印象は大きく変わります。幹事や上司への感謝、同僚へのねぎらいなど、ちょっとした一言が好印象を残すこともあります。
また、部下を持つ立場であれば、「気を遣ってくれてありがとう」「楽しめていた?」など、労いの言葉をかけることで信頼関係が深まるきっかけにもなるでしょう。
(5)誘う側の工夫も、人間関係を変える
今は、昼開催やオンライン忘年会など、多様な形式を採用する企業も増えてきました。「断りにくい空気」ではなく、「選べる場づくり」を意識することで、参加する側の心理的なハードルも下がります。
納得して選べたなら、それがいちばんの答え
忘年会に行くかどうか迷うとき、どちらを選ぶかよりも、「どうやって決めたか」の方が、あなたの心の満足度に直結します。たとえ参加したとしても、「自分の意思で決めた」と感じられれば、無理した感覚や後悔は、ずっと軽くなります。
「行きたくない」と思う気持ちは、心が送ってくれる大事なメッセージ。 その本音を責めずに受け止め、自分軸で選択する。それが、年末を気持ちよく終えるためのコツです。
構成/高見 綾
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