日本の音楽の聖地が、「令和のそばの聖地」と呼ばれる日が来るかもしれない。
2025年8月28日、音楽ユニットDEENのボーカリスト・池森秀一氏がプロデュースする十割そば専門店「SOBA CAFE IKEMORI」の2号店が、東京・北の丸公園にある日本武道館内にオープンした。
1964年の開館以来、武道館でタレントが直営する飲食店がオープンするのは初めて。2階にあったカフェが契約満了となったことから、今回の出店に至ったという。
芸能界きっての蕎麦好きDEEN池森氏自らメニューを考案
同店の主力メニューは、和洋混合の創作蕎麦。
そのほとんどを、15年以上にわたってほぼ毎日そばを食べ続ける芸能界きっての蕎麦好きであり、コロナ禍の食卓を席捲した乾麺蕎麦ブームの立役者、さらにはオリジナル乾麺蕎麦&関連商品を累計400万食以上売り上げるDEEN池森氏自らメニューを考案しているのだからたまらない。
DEEN池森秀一さんが作った乾麺の常識を覆す創作蕎麦レシピ本が話題
90年代のJ-POPシーンを象徴するロックバンドとして知られるDEENのボーカル・池森秀一さんは15年以上、365日ほぼ毎日食べ続けるほど、こよなく蕎麦を愛する…
実際、2022年に東京・赤坂にある所属事務所「グッデイ」1階にオープンした1号店「SOBA IKEMORI 赤坂店」へDEENのファンが殺到。約8時間におよぶ長蛇の列ができたことも今では語り草になっている。
SOBA CAFE IKEMORI BUDOKAN
[住]東京都千代田区北の丸公園2-3 [営]11:00~ *予約不可 [休]不定休
それだけではない。2024年には夏の看板メニュー『冷やし坦々そば』(写真・1600円)が、グルメアプリ『SARAH』が主催するJAPAN MENU AWARD 2024の関東のそば部門で2つ星を獲得。
今や全国各地のそば好きが足を運ぶ実力派のそば専門店として、確かな存在感を発揮しつつあるのだ。
これについてDEEN池森氏は次のように語る。
「2つ星の獲得は本当に驚いたし、それともうひとつ今年は大きな話題があって。安曇野の老舗わさび屋「マルイ」とコラボしたプロデュース商品『幸せののどぐろだし塩わさび』(355円)が、フードアナリスト2万3000人が選ぶ『第89回 ジャパン・フード・セレクション』食品・飲料部門で、何とグランプリに輝いたんだよ」
「僕にとって創作蕎麦のメニューやそば関連商品を考案することは、曲を書いたり、歌ったりするのと同じだからね。これは常々言っているけど、ミュージシャンとしての活動と同じように、そばの事業も本気でやっているから、こういった形で食の専門家の方々からも評価いただけたことは、曲がミリオンヒットした時と同じくらい嬉しいよ」
武道館はミュージシャンである池森氏にとってスペシャルな舞台であるとともに、そば料理研究家としての一歩を踏み出すきっかけを与えた場所でもある。
「デビュー15周年を記念したDEEN初の武道館ライブがきっかけでしたね。当時僕は40歳手前だったから、健康を気遣ってボディーメイクをはじめたんだけど、ストイックに鍛え過ぎちゃって(笑)。DEENのファンはマッチョの池森を望んでない。だから当時流行っていたプチ断食の本を参考にして、そば生活をはじめたんですよ。
それを15年間続けているうちに、そば好きとして再ブレークして、商品をプロデュースすることになったかと思えば、そば専門店を持つことになって、それがまさかの武道館出店だからね! 武道館をきっかけに人生がぐるりと大きく回りはじめたんだから、やっぱり不思議な縁を感じるよね」
2号店だけの店舗限定メニューも用意
「1号店の定番人気メニューに加えて、『酒田船凍いか』を使った山形県・イカ恋食堂とのコラボメニュー(『イカ恋重セット』『ゲソ恋天重セット』ともに1800円)や、カフェ使いして欲しいからミニタルト(『武道館タルト』700円)とか武道館限定メニューはいくつかあるけど、一番の目玉は、屋根のてっぺんにある武道館のシンボル(擬宝珠)にかけてフレンチ出身の2号店の店長と考案した玉ねぎベースの店舗限定つけ麺『オニオンつけそば』(1600円)だね」
「戸隠産と国産そば粉で作った乱切りの十割そばを、何種類ものオニオンから出汁をとったオリジナルのつけ汁に、たっぷり浸して食べる。コレがめちゃくちゃうまいんだよ! 濃厚なオニオングラタンスープのようなつけ汁なんだけど、想像しただけでヨダレが出ちゃうでしょ(笑)」
内装をフルリノベ! 目指すは‶そば屋界のスタバ〟
筆者が1号店開業時にインタビューした際、DEEN池森氏は『SOBA CAFE IKEMORI』をコーヒーショップの『スターバックス』のように、そばをおしゃれに感じさせるポップなお店にしたいと語っていたのが印象的だった。
「スターバックスさんには大変申し訳ないんだけどね。かつてあったシアトルの1号店って、今ではびっくりするくらい小規模なお店だったよね。『SOBA CAFE IKEMORI』の1号店は、自分たちのスタジオのある事務所のラウンジを改装してオープンしたんだけど、人通りの多い商店街に面してもいないしさ。
だから、スタバのようなお店のシンボルが欲しいなと思って、壁画を描いてもらったんだよ。この店づくりのコンセプトは、武道館の2号店でも引き継いでいます」
「僕の頭の中にあるイメージをもとに、長野・長野市にアトリエを構えるペインターのTOMOYAARTSの智也くんに描いてもらったんだけど、江戸と現代の町並みを融合したこの壁画って外観からもばっちりと見えるでしょ?
DEENはこれまで武道館ライブを通算11回やって、ファンのみんなといろいろな思い出を共有してきたけど、今度は武道館に彩りを添えるような景観を『SOBA CAFE IKEMORI』から発信したいなとも思ったんだよね」
「熱海、京都、鎌倉、博多、札幌への出店とかね。これをきっかけに『SOBA CAFE IKEMORI』らしくそば文化を推していきたいという想いはあるけれどね。まずは武道館への恩返し。
窓際のカウンター席に座った時にふと思ったんだけど、アーティストのライブを見るだけが武道館の楽しみ方じゃないんだよね。この場所は皇居内だし、独特な静寂もある。秋は紅葉、春は桜とか、四季折々の景色に包まれて散歩するだけでも気持ちいいから、ぜひカウンター席で東京の非日常をゆっくり楽しんでもらえたら嬉しいな」
「SOBA CAFE IKEMORI」の大定番『革命そば』を自宅で再現できるレシピ本もぜひ!
『分とく山・野﨑洋光監修 DEEN池森の「創作」乾麺蕎麦レシピ』
取材・文/渡辺和博 撮影/坂下丈洋(MSC)







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