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総菜にも〝ドンキ魂〟を!社員の情熱から生まれる「デリカの鉄人」プロジェクトの裏側

2025.11.17

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)が運営するドン・キホーテといえば、名物は商品開発担当者の熱意から生まれる、攻め過ぎた商品たち。

ドン・キホーテ社員が腕を競う料理バトル!「デリカの鉄人」


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素材系から料理系に進化!ドンキのスナック「天ぷら」「揚げ茄子のみそ汁」がお菓子になったおいしい理由

15カ月で108万個も売れた素材系スナック パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が運営するドン・キホーテ(以下、ドンキ)のPBブラ…

だが同じ食品カテゴリーで、総菜もまたぐいぐい攻めていることは意外と知られていない。例えば2023年11月からは、ドン・キホーテオリジナルの弁当&総菜ブランドとして「偏愛めし」を展開。「【R指定?】葉わさびポテトサラダ」「容器の限界ギリギリあんだく溺れ天津飯」「はみだしすぎィな鶏つくねおにぎり」などの、結構好みが分かれそうなオリジナルのお総菜が次々に登場している。

そんなPPIHがさらなる総菜カテゴリー強化の一環として、社内コンテスト「デリカの鉄人X(クロス)」を開催しているという。これまで同社のお総菜の企画は、本社の商品開発チームが担当していたが、同コンテストではあらゆる業種から募集し、料理コンテストを実施して「デリカの鉄人」を選出。そこから生まれた新商品「じゅわっとお出汁の手作り出汁巻」「超!ブロッコリーコロッケ」及び「黒酢チキンのたっぷり玉ねぎタルタル」は、9月29日から、ドン・キホーテ、アピタ、ピアゴの約250店舗で発売されている。いったいどのようなコンテストなのか。同コンテスト責任者で、PPIH フレッシュフードデリカ カテゴリーリーダーの濱村健太氏に話を聞いた。

質問に答えてくれたPPIH フレッシュフードデリカ カテゴリーリーダーの濱村健太氏

「自分の好きな商品を売る」ドンキのカルチャーを、総菜部門にも

――社内コンテスト「デリカの鉄人」を始めたきっかけは?

濱村氏 ドン・キホーテグループでは元々、各担当者が「商店主」として自分の好きな商品を仕入れて販売する文化があり、みんながゲーム性を持って、自分が仕入れたいと思ったものを売る楽しさがモチベーションとなっています。一方で総菜部門、デリカではどうしても本部がレシピをつくり、店内の厨房でレシピ通りに作ることが求められています。そこを、なんとか自分たちのアイデアを形にできるようなしくみができないかな、と考えたのがきっかけです。

それに加え、長期経営計画においてデリカ部門を成長戦略の重要カテゴリーと位置づけており、「安さ」「楽しさ」「美味しさ」をより追求していこうと考えています。その中で「美味しさ」はどうやったら磨けるだろ、と考えた時、社内にいる多様な人材の豊富な経験やスキルを活かせるのでは、と考えました

――コンテストはどのように実施されているのですか?

濱村氏 コンテストは全国12エリアで開催されます。まず東海地方から始まり、その後関東、北海道と続き、11月には関西で開催されています。最初に東海地方から始めたのは、PPIHグループの総菜コーナーの多くを担っているグループ会社で総菜事業会社のカネ美食品の本社が名古屋市内にあり、参加者を多く集められると考えたためです。

東海大会では24名が参加し、会場の都合で1回あたり8名ずつ3日間に分けて実施しました。参加者は職種や役職に関係なく全従業員が対象で、90分以内に全員が同じテーマで料理を作る「規定演技」と自由なメニュー「自由演技」で結果を競います。

「デリカの鉄人」コンテスト中の様子

――「自由」はわかりますが、「規定」で審査する意味は?

濱村氏 例えば、規定演技のテーマとして選ばれているだし巻き卵、チャーハン、から揚げなどは、いわゆるお総菜の売れ筋商品であり、これを進化させたいと考え、次の進化につながるネタ探しをしていくという意味合いもあります。みんなで同じものを作った時に、どういう味付けしてどうアレンジするかを審査します。

規定で審査員が満場一致で絶賛し、現在販売中の「じゅわっとお出汁の手作り出汁巻」(6切れ入り495円※税込み、以下同)。開発者はグループ会社運営の回転割烹「寿司御殿」スタッフ

――慣れないキッチンで慣れない道具を使って料理をするのは大変なのでは?

濱村氏 そうなんです。ですから料理する人に補助の1人を加え、2人1組で参加するという規定にしました。ただ北海道地区ではなぜかそれが徹底されず、「補助はいらない」「一人で大丈夫」と言う方が何名かいらっしゃいまして…(笑)。結果的にやはり時間が足りなくなり、他のチームに手伝ってもらったりしてなんとか時間内に仕上げた、ということもありましたね。

料理する人に補助の1人を加え、2人1組で参加

「ハクを付けるために、有名シェフを審査員にする」道を選ばなかった理由

――北海道らしいおおらかな地方色が感じられますね(笑)。審査は誰がどのように行っているのでしょう?

濱村氏 審査は「味」「見た目」「販売価格」の3項目で評価されます。本部のデリカチームの責任者をはじめ、各地域のスタッフも試食審査員として参加し、評価に偏りが出ないように合計20名の審査員によって行われています。最初は本社役員が何名か加わっていましたし、「有名なシェフに審査してもらったらいいのでは」という声もありました。確かに味だけで審査するのであれば、そういうやり方もあったかと思いますが、でもうちのお総菜を召し上がるのはあくまでも一般のお客様ですよね。ですから審査員は、あくまでもお客様の代弁者として審査しなければならないと考えたのです。ただ単にいい素材を作って美味しい料理を作るという大会ではなく、あくまでもお客様が売り場で見た時に『この価格に見合う以上の価値がある』と感じられるか、そういったことも重視しますから、現場の売価感度が審査に必要なのです。

そのため味だけでなく、価格や利益率も含めた総合評価で競います。利益率に関するルールもありますし、「いくらで売るか」というプレゼンもありまして、その時にこの量をこの価格で売るとしたら味はどうかという総合評価をしています。その結果、70点以上を獲得した参加者が「鉄人」として認定されます。

自由演技で満場一致で絶賛され販売中の「黒酢チキンのたっぷり玉ねぎタルタル」(大粒唐揚げ約5個・646円)開発者は鮮魚スタッフ

デリカの鉄人に選ばれて男泣きをした、元飲食店経営者スタッフも

――参加され方々の所属部署の傾向はありますか?

濱村氏 バラバラです。売り場のPOPを描いているPOPライターの方もいますし、経理の方もいますし、デリカに携わっている方も多いですし、本当に偏りなくいろんな部署の方が応募されています。もちろんプロもいます。外食に携わって20年という方で、高得点を獲得して鉄人になられました。

――特に印象に残っている出場者はいますか?

濱村氏 自分で飲食店を経営されていた経験のある社員が、ご家族に説得されて出場して、鉄人に選ばれて男泣きしていた姿は印象に残っていますね。でも意外に皆さん、楽しまれているという印象が強いです。最初から最後まで楽しそうにやっている方がすごく多いですね。

鉄人に選ばれたスタッフの喜びの表情

――現在、デリカの鉄人は何名らっしゃるんですか?

濱村氏 東海大会では24名が参加し、9名が「鉄人」と認定されました。現在、3エリア(東海、関東、北海道)で合計20名の鉄人が誕生しています。優勝者を決める大会ではなく、あくまでも1つの大会で20人の審査員に認められて、認定する点数を超えた方を、どんどん増やしているという状況ですね。コンテスト後に本部に異動し、商品開発担当者になっている鉄人も、数名います。そういう例以外にも、大会で評価が高かった商品を実際に店頭でも販売し始めていますし、今後は鉄人と一緒に商品を開発していくような取り組みも考えています。今はまだ「デリカの鉄人」という取り組みがまだお客様に浸透していませんので、その料理が生まれたストーリーをもっともっと出して、お客様に共感してもらえるように伝えていきたいですね。

MEGAドン・キホーテ新横浜店の総菜売り場中央には「デリカの鉄人」のPOPが
店舗アシスタントスタッフが考案した「超!ブロッコリーコロッケ」(5個入り・538円)。実際に食べてみたら予想以上にブロッコリーがたっぷりで、香りもしっかり感じられて驚いた。ハムとチーズの塩気もちょうどよく、ブロッコリー好きにはもちろん、苦手な人にも好まれそうと感じた

取材・文/桑原恵美子

取材協力/株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

Author
フリーライター。日経トレンディネット、日経クロストレンドで長く大手チェー ン飲食店や新オープンの商業施設、食品メーカーなどの取材に携わる。ぐるなび が運営するレストランガイド媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材し、 自身の推し飲食店を紹介する「満たされメニュー」をぐるなびPROで連載中。

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