「コンシェルジュ」という言葉を耳にする機会が増えた今、その本来の意味や役割を正しく理解している方は案外少ないかもしれません。単なる「案内係」にとどまらず、多様な現場で利用者に寄り添う存在として進化を遂げています。本記事では、ホテルやマンション、医療機関など、業界ごとに異なるコンシェルジュの業務内容や、求められるスキルについて解説します。
目次
「コンシェルジュ」や「コンシェルジュサービス」という言葉を聞く機会が増えてきました。「インフォメーションサービス」のようなニュアンスで使われることも多いですが、実際にはどのような意味か気になったことはありませんか。
コンシェルジュの意味や業界別の仕事内容をまとめました。ぜひ参考にしてください。
コンシェルジュとは?

コンシェルジュ(仏語:concierge)とは、共同住宅の管理人や、ホテルで宿泊客に地理案内や切符の手配をするスタッフ、デパートや公共施設などで来訪者のために手配や提案をする係の人などを指す言葉です。「コンシェルジェ」と呼んだり、英語読みで「コンシアージュ」と発音することもあります。
コンシェルジュはフランス語に由来しますが、そもそもは召使いや看守といった意味の「conservus」が由来といわれています。その後、門番や管理人の意味でも使われるようになり、現代では、「利用者に対して満足度の高いサービスを提供する専門家」といった意味合いを持つようになりました。
【業界別】コンシェルジュの仕事内容

施設を利用する人々のニーズに応えるコンシェルジュは、次のようなさまざまな場面で活躍します。
- ホテル
- マンション
- 病院
- デパート
- 公共機関
業界によって、コンシェルジュの仕事内容が異なります。主な業務について見ていきましょう。
■ホテルにおけるコンシェルジュの仕事内容
ホテルのコンシェルジュは、宿泊客やレストラン・ロビーなどの利用客のさまざまなニーズに応えます。ホテル内の困りごとだけでなく、ホテル以外での困りごとを相談されることもあるため、コンシェルジュには幅広い知識と経験、そして利用客を安心させる落ち着きが求められます。主な仕事内容は以下をご覧ください。
- 客室の困りごと(エアコンが効かない、お湯が出ないなど)への対応
- ホテル滞在の困りごと(パソコン・ファックスを使用したい、ホテル内のレストランを予約したいなど)への対応
- ホテル外の困りごと(観光名所を紹介してほしい、おいしいレストランを予約してほしいなど)への対応
- その他の困りごと(体調が優れないので薬がほしい・医療機関を紹介してほしい、パートナーにサプライズをしたいのでアイデアを教えてほしいなど)への対応
ホテルにはさまざまな国や宗教、価値観の人々が訪れます。相手のバックグラウンドに配慮を示すのは当然のこと、多様なケースに適切なアイデアを提案することが必要です。コンシェルジュ自身が幅広い知識を身につけ、経験を積んでいることが求められるでしょう。
■マンションにおけるコンシェルジュの仕事内容
マンションのコンシェルジュとは、建物のロビーやフロントで入居者にサービスを提供するスタッフのことです。主な仕事内容は以下をご覧ください。
- 共用設備の利用案内、予約、貸出
- クリーニングや家事代行サービス、タクシーなどの取次
- 近隣施設の案内、粗大ごみ処理券の販売など
コンシェルジュは、マンション内や日常生活での困りごとに対して広く対応します。なお、類似する仕事としては「管理人」が挙げられます。同一人物が管理人とコンシェルジュの両方の業務を担当することもありますが、管理人だけが配置されているマンションも少なくありません。
管理人とは、そもそも管理組合の規約で定められた業務を行う人を指します。共用設備の点検や清掃といった固定業務に従事するのに対し、コンシェルジュは入居者が快適に生活するためのサービス提供をメイン業務としている点が異なります。
■病院におけるコンシェルジュの仕事内容
医療機関によっては、医療コンシェルジュと呼ばれるスタッフが配置されていることがあります。主な仕事内容は以下をご覧ください。
- 医療機関内の案内
- 医療保険や診療報酬などについての相談
- 医療機関への要望・提案の受付
医療コンシェルジュは主に利用者へサービスを提供する役割を担いますが、医療データの入力やスケジュール調整などの事務作業を担当することもあります。
■デパートにおけるコンシェルジュの仕事内容
デパートや大型商業施設では、インフォメーションデスクを設置していることが一般的です。近年は「コンシェルジュデスク」とも呼ばれ、従来の案内業務以外にも次の業務に対応します。
- 施設内の設備・道順の案内
- 近隣施設の案内
- 迷子の呼び出し
- クレームの取次
- 駐車サービス券の発行
- ベビーカーの貸出
商業施設によっては、季節の挨拶や冠婚葬祭などの、専門知識が必要な商品の購入をサポートするサービスも提供していることがあります。
■公共機関におけるコンシェルジュの仕事内容
市役所や市民センターなどの公共機関でも、コンシェルジュが配置されていることがあります。主な仕事内容は以下をご覧ください。
- 施設内の設備・道順の案内
- 困りごとに適した相談窓口の紹介
- クレームの取次
自治体のサービスについてわからないことがあるときは、公共機関内のコンシェルジュに気軽に相談してみましょう。
コンシェルジュに求められるスキル

コンシェルジュには、次のスキルが求められます。
- 臨機応変な対応力
- スケジュール調整力
- 事務的能力
- 問題解決能力
- コミュニケーション能力
働く場所を問わず、上記のスキルは必要です。それぞれのスキルについて見ていきましょう。
■臨機応変な対応力
コンシェルジュは、その施設を利用するすべての人々の満足度向上のために働きます。利用者によってニーズが異なるため、臨機応変な対応が必要です。対応できない事柄を求められたときでも、利用者が満足できるような返答を心掛けなくてはいけません。
■スケジュール調整力
「明日のニューヨーク行きの飛行機を手配してほしい」「17時に夕食を食べられるレストランを予約してほしい」など、日付や時間を指定した仕事を依頼されることもあります。
また、「午後1時にお客さんが来るので、取り次いでほしい」など、個人秘書のような仕事も依頼されるかもしれません。利用者のニーズにきめ細かく応えるためにも、スケジュール調整力が必要です。
■事務的能力
利用者のさまざまなニーズに応えるためには、幅広い情報を収集し、まとめる事務的能力が必要です。また、「聞いた・聞いていない」「言った・言っていない」といったトラブルを回避するためにも、記録をこまめに取るスキルが求められます。
■問題解決能力
コンシェルジュには、利用者からさまざまなトラブルが持ち込まれます。利用者同士のトラブルやクレームなどに対応するには、高度な問題解決能力が必要です。また、直接問題を解決できないときでも、利用者が納得できる解決方法を提案することが求められます。
■コミュニケーション能力
利用者のニーズに応えるためには、丁寧に話を聞き、しっかりと意見や解決方法を伝えるコミュニケーション能力が必要です。
コンシェルジュ自身は理解をしたつもりでも、その理解が利用者に伝わっていなくては意味がありません。利用者の意見をまとめて復唱したり、解決策を提示するだけでなく紙資料を渡したりといった確認作業も求められます。







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