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ビジネスパーソンの約半数がグレーゾーンハラスメントを経験、静かな離職の要因になる可能性

2025.07.02

社内規程DXサービス「KiteRa Biz」と社労士向けサービス「KiteRa Pro」を提供するKiteRaは、全国のビジネスパーソンを対象に、「職場のグレーゾーンハラスメント実態と社内規程の機能性に関する調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。

<「グレーゾーンハラスメント」について>
「グレーゾーンハラスメント」とは、「ハラスメントとまでは言えないが不快感や戸惑いを覚える言動のこと。「昔はこうだった」「君のためを思って」といった言葉を何気なく口にすることや、不機嫌な態度をとること、プライベートへ過度に干渉することなどが該当する。発言や行動をした本人に悪意がなかったとしても、受け取る側にとっては違和感や不快感につながり、結果としてモチベーションの低下や生産性の損失、さらには「静かな離職リスク」を引き起こす可能性が指摘されている。

4割近くが10歳以上歳が離れた人との会話・メールで不快感を持った経験あり

「グレーゾーンハラスメントの実態調査」を18〜65歳のビジネスパーソン1196名に実施したところ、「これまで職場で10歳以上歳が離れた人との会話やメール等で不快に感じたことがありますか(単一回答)」の質問に対し回答は、「いいえ」が61.1%、「はい」が38.9%となった。

■無視・仲間外れにされた経験は1割近く、うち7割が退職を検討

「業務上または日常の職場で、上司や部下、同僚から以下のような言動を受けたことがあるものを全てお選びください(複数回答)」と質問したところ、具体的な項目では「ため息や舌打ち、挨拶を返さないなど、不機嫌な態度で接された」が最多で26.2%、次いで「社内の飲み会や接待への参加を強制された」が16.2%、「過去の慣習や個人的な価値観・先入観に基づいた発言をされた」が14.5%という順になった。

なお、「このような言動は受けたことがない」と回答した人は49.8%にとどまり、回答者の5割以上が何らかの不快な言動を経験している実態が判明した。

さらに「受けた言動が原因で、退職を検討しましたか(単一回答)」と質問すると、「はい」が45.8%と、不快な言動の経験者のうち、4割強は退職を検討したことがあることがわかった。

また、「不快な言動が原因で退職を検討」した人が受けた不快な言動との因果関係を深掘りしていくと、退職検討につながる不快な言動は「無視されたり仲間外れにされた」が70.2%と最多、次いで「社外の飲み会や接待への参加を強制された」が66.4%、「業務時間外のプライベートな付き合いへの参加を強制された」が65.1%という結果が得られた。

■「私が若い頃は」「今の若い子は」発言を受けた経験者が5割近く、うち半数以上が発言に不快感・違和感

「具体的な言動について、あなたは職場で経験した際に、どのように感じましたか(単一回答)」の質問に対し、48.0%が「『私が若い頃は』『今の若い子は』といった発言」を経験ありと回答。37.2%が「『君のためを思って』と一方的にアドバイスされる」を経験ありと回答した。

さらに、経験した言動に対して不快感や違和感を感じたかを聞いたところ、「『君のためを思って』と一方的にアドバイスされる、または評価される」を経験した人の56.8%が不快感・違和感を感じ、「『私の若い頃は』『今の若い子は』といった発言」を経験したことのある人の53.1%が不快感・違和感を感じていることがわかった。

グレーゾーンハラスメントを行った経験がある人が4割近く、うち6割は「相手のために行なった」

「業務上または日常の職場で、上司や部下、同僚に以下のような言動を行ったことがあるものを全てお選びください(複数回答)」と質問したところ、具体的な項目では「プライベートな質問をした」が15.3%、「社内の飲み会や接待に誘った」が11.5%、「ため息や舌打ち、挨拶を返さないなど、不機嫌な態度で接した」が11.4%だった。

なお、「このような言動は行ったことがない」と回答した人は63.8%となった。この結果は、回答者の4割近くが、意図の有無を問わず、相手に不快感を与えかねない「グレーゾーンハラスメント」に該当する言動をとっている可能性を示している。

さらに、「このような言動は行ったことがない」と回答した人を除き、「行った言動は、ご自身としては相手のためを思って行ったものですか(単一回答)」と質問したところ、60.5%が「はい」と回答しました。この結果から、「良かれと思って行った言動」がグレーゾーンハラスメントにつながる可能性について、職場での認識や意識が十分に行き届いていない現状が判明した。

■「私が若い頃は」「今の若い子は」発言を行った経験者は3割近く、うち4割強が意識的に行ったと回答

「私が若い「具体的な言動について、あなたは職場で『行った側』として、どのような意図を持っていましたか(単一回答)」と質問したところ、28.1%が「『私が若い頃は』『今の若い子は』といった発言」を行った経験ありと回答した。

また、自身が不快な言動を行ったと認識している回答者は、その行為を「無意識に」行なった割合が過半数(約53%〜60%)を占めることがわかりった。

一方で、約4割(約40%〜46%)は「意識的に」これらの言動を行なっていたことも明らかに。特に「『私が若い頃は』『今の若い子は』といった発言」は、経験者の44.5%が意識的に行ったと回答。「『君のためを思って』と一方的にアドバイスする、または評価する」の項目では、経験者の約46%が意識的に行なったと回答しており、意図して不快感を与えうる言動を行なってしまう実態も示されている。

グレーゾーンハラスメント規定について6割強が「全く設けられていない」「わからない」

「あなたの会社の規則に、このような言動について抑制する規定は設けられていますか(単一回答)」と質問をしたところ、一部を含め設けられていると回答した人は34.7%にとどまった。

6割以上の人が、規定について「全く設けられていない」「わからない」と回答するなど、グレーゾーンハラスメント規定に対しての認識の低さが明らかになったようだ。

回答者が勤務する企業の社員規模別で見ると、従業員数1,001名以上の企業では5割が何らかの規定を設けているのに対し、100名以下の企業では47.9%が「全く設けられていない」、31.3%が「わからない」と回答するなど、グレーゾーンハラスメント規定の整備は2割程度にとどまっている。このように、不快な言動を抑制する規定の整備状況は、企業規模に比例して高い傾向があることがわかった。

■グレーゾーンハラスメント規定の整備状況は、「プライバシー保護」が最多33.9%、飲食接待に関する規定は16.2%にとどまる

「あなたの会社の規定に設けられている項目を全てお選びください(複数回答)」と質問したところ、「社員のプライバシー保護に関する項目」が33.9%、「年齢や世代を理由に、差別や嫌がらせを行うことを禁止する項目」が32.3%、「立場を利用した言動により心理的負担を生じさせることを禁止する項目」が27.3%という結果が得られた。

一方、最も回答が少なかったのは「社員の飲食を含めた接待に関する項目」が16.2%と、他の規定と比べても整備がされていないことが判明した。

■望む規定は心理的負担・差別禁止の項目

「あなたの会社の規定に設けてほしい項目を全てお選びください(複数回答)」と質問したところ、「立場を利用した言動により心理的負担を生じさせることを禁止する項目」が37.5%と最多となった。

次いで、「年齢や世代を理由に、差別や嫌がらせを行うことを禁止する項目」は37.0%、「社員のプライバシー保護に関する項目」は35.1%であり、差別やプライバシー保護、人格否定の禁止に関するニーズも高い一方、アンガーマネジメントや飲食接待に関する項目は比較的低い割合にとどまっている。

調査結果について

<成蹊大学 法学部 法律学科 原昌登教授のコメント>

誰が見てもパワハラやセクハラに該当するのであれば、企業として対応すべきことは法律上も明らかです。しかし、グレーゾーン事案は対応が難しく、それゆえに注意が必要です。

Q1~Q3を見ると、職場でグレーゾーンハラスメントに悩む人が多いことがわかります。

注目すべきは、不快感にとどまらず、離職を考える人も多い点。人手不足が続く中、離職の防止は企業にとって重要な課題です。

他方、Q6を見ると、社内規程による対応は進んでいません。規程は単なるルールではなく、より良い職場環境作りにも役立ちます。的確でわかりやすい規程を定め、社内の皆が規程に基づき言動に注意するようになれば、お互いに不快感を与えない、世代間のコミュニケーションが可能になるでしょう。それはまさに企業の財産です。今回の調査結果を、社内規程を見直す1つのきっかけとするのはいかがでしょうか。

原 昌登氏
成蹊大学 法学部 教授。労働法、特にハラスメントの法律問題が専門。厚生労働省ハラスメント対策企画委員会、東京都カスタマー・ハラスメント防止対策推進会議等の委員を務める。労働政策審議会労働条件分科会、同一労働同一賃金分科会等の委員として法改正にも関わる。

調査結果に関する考察

今回の「グレーゾーンハラスメント」に関する実態調査により、職場のコミュニケーションにおける潜在的な問題点が浮き彫りになった。

半数以上のビジネスパーソンが何らかの不快な言動を経験しており、特に「不機嫌な態度」や「人間関係の排除・強要」が不快感や退職検討に強く影響していることが判明。これは、明確なハラスメントと認識されにくい日常の言動が、従業員のエンゲージメントや定着に深刻な影響を与えている現状を示唆している。

また、自身が不快な言動を行なったと認識している人の約4割から5割は、その言動を「意識的に」行なっていたと回答。

一方で、残りの過半数は「無意識」に行なっていたと認識しており、意図的な加害と無自覚な配慮不足の両面から、職場における「グレーゾーンハラスメント」の問題が浸透していることが推察できる。

こうした実態に対し、不快な言動等を抑制するグレーゾーンハラスメントに関する規定の整備は、いまだ十分とは言えない。特に、約6割強の企業で規定が未整備または不明であり、企業規模が小さいほどその傾向は顕著だ。

しかし、ビジネスパーソンが企業に求める規定の最上位には、「立場を利用した心理的負担や差別を禁止する項目」が挙げられており、職場の心理的安全性確保への強いニーズが明確に示された。

しかし、多くの企業では規程が用意されているだけで社員に十分に周知・理解されていないという実態があるのも事実だ。特にグレーゾーンハラスメントに関しては未だ明確な解がないため、「規程の穴」となっている。

この穴がコンプライアンスリスクであると同時に、社員の信頼を揺るがしかねない問題となりかねない。

今回調査で得られた知見が、誰もが「安心して働ける世界」を構築するための一助となることを期待する。

調査概要
調査名/職場のグレーゾーンハラスメントに関する実態調査
調査方法/インターネットによるアンケート調査
調査期間/2025年6月13日〜6月17日
有効回答/18〜65歳のビジネスパーソン 1196名
調査企画/株式会社KiteRa

関連情報
https://kitera-cloud.jp/

構成/清水眞希

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