世襲という言葉の意味を、正しく理解していない方も多いのではないでしょうか。世襲とは、特定の地位や職業、財産などを子孫が代々承継することを指します。今回は世襲の意味や種類、世界と日本における歴史、多くみられる業界などについて詳しく解説します。
目次
世襲とは

世襲は「せしゅう」と読み、身分や財産、職業などを子孫が代々受け継いでいくことを意味する言葉で、「せいしゅう」と読むこともあります。
一般的には家の長子が継ぐことが多く、能力ではなく血縁によって後継者が選ばれるため、企業経営や政治の分野においては、世襲に対して否定的な意見が少なくありません。
参考:デジタル大辞泉
世襲の種類

世襲は、一般的には次の3つに分類されます。いずれも歴史や社会の枠組みの中で独自の意味を持ち、継承されてきました。
- 襲名
- 襲位
- 襲爵
それぞれの内容を、具体的にみていきましょう。
■襲名
襲名は「しゅうめい」と読み、特定の名前や称号を代々受け継いでいく行為を指します。伝統芸能の世界で多く用いられ、かつては商人や名家の間でも用いられていました。
とくに歌舞伎や落語の世界では、師匠や血縁者から名前を継承することで、芸や精神を引き継ぐ意味があります。なかでも歌舞伎の襲名披露は、文化的な重みを持ち、メディアでも広く取り上げられるイベントの1つです。
参考:デジタル大辞泉
■襲位
襲位は「しゅうい」と読み、家柄や血縁関係にもとづいて地位や身分を引き継ぐことを意味する言葉です。
たとえば、家督の継承や、かつての貴族社会における位階の受け継ぎなどが該当します。単なる資産の相続とは異なり、社会的な立場や役割までを受け継ぐ点に特徴があります。
参考:デジタル大辞泉
■襲爵
襲爵は「しゅうしゃく」と読み、家系に代々伝わる爵位を継承することを指す言葉です。爵位とは、貴族の階級を示す称号であり、日本には以前、公・侯・伯・子・男の5つの階級がありました。
爵位の継承である襲爵は、家の名誉や地位を子孫に引き継ぐ制度といえるでしょう。
参考:デジタル大辞泉
世襲の歴史

古代から中世にかけての多くの政治体制では、皇帝や王族、貴族といった支配層の地位は、血縁を軸とした世襲によって受け継がれることが一般的でした。
ここでは、世界と日本における世襲の歴史について、それぞれ詳しくみていきましょう。
■世界の歴史における世襲
世界各地の歴史を振り返ると、政治や社会的地位の継承において、世襲が重要な役割を果たしてきたことがわかります。
たとえば、中国の科挙制度では制度上の世襲は存在していなかったものの、一度官僚を輩出した家系が教育や資源を集中させることで、実質的な階層の固定化が起きていました。
また、18世紀後半の産業革命を機に貴族層が拡大・変容したといわれるイギリスの貴族は、「世襲貴族」と「一代貴族」に分けられます。世襲貴族の階級は、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5種類です。
■日本の歴史における世襲
日本においても、古代から現代に至るまで世襲という仕組みが存在しています。
大化の改新以前の氏族社会では、首長である「氏上」の地位が血縁によって受け継がれ、律令制導入後も継嗣令(けいしりょう)により、家の地位や職務が嫡子に引き継がれる仕組みが整備されました。嫡子とは、家の跡継ぎをする子どもを指します。
室町時代末期には、嫡子が家名と家産をあわせて継承する長子単独相続に変化しました。さらに、江戸時代に入ると、身分と職業の固定化が進み、武士・庶民問わず世襲が制度として一般化しました。近代以降も政治や経済の一部にその影響が色濃く残っています。
世襲が多くみられる業界

世襲が多くみられるのは、自営業や専門職のほか、一部の文化・伝統分野です。
たとえば薬局や医院のように、特定の資格や設備が必要な職業では、子どもが親の事業を継ぐケースが多く、長子や親族が跡を継ぐ体制が自然に根付いています。
また、政治家や大学教授、宗教家、芸能人など、人的ネットワークや専門性が重視される職業も世襲傾向が強いといえるでしょう。
とくに、歌舞伎や能、狂言などの伝統芸能や剣術や武道、弓術などの世界では一子相伝の形で、技術や精神性が受け継がれることも多く、家業として機能しています。
同族経営の企業でも、経営権を親族に受け継ぐケースが一般的であり、ビジネスの現場でも世襲は今なお強く存在しています。







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