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アート、福祉、教育、TENGAが切り開く性とウェルビーイングの未来

2025.06.21

かつて「恥ずかしいこと」とされていた、セルフプレジャーを、表舞台に引き上げた背景に『TENGA』の存在がある。権威あるデザインアワードも認めるほど、スタイリッシュなグッズにより、性を受け入れ楽しむことが「当たり前のこと」になった。TENGA社は2005年に創業し、20年目の今、売上高115億円の企業に成長している。販売網も広がり続け、73の国と地域で販売ており、今も拡大を続けている。前編ではTENGA社のものづくりの真髄を中心に詳述した。ここでは、TENGA社の軌跡と、今後の事業戦略について、プロジェクト推進室の橘涼太さんに伺った。

性を肯定することがウェルビーイングを高める、TENGAが挑んだ20年を辿る

自分の性を受け入れ、快楽を得ることはウエルビーイングに繋がる。かつて“後ろめたく恥ずかしいこと”とされていたセルフプレジャーが表舞台に立ったのは、専用グッズを展...

タイムズスクエアにTENGAの広告が出た日

TENGAが発売された2005年当時、それまでのアダルトグッズにあった猥雑なイメージと全く異なる、スタイリッシュなデザインに多くの人が驚いた。

「部屋に置いてあっても違和感がない、生活になじむセルフプレジャーグッズは、それまでの世の中にありませんでした。まず、お笑い芸人の方、サブカルチャーの識者の方などが反応し、積極的に紹介してくださったのです」(橘さん・以下「」同)

一般的な認知が広がったのは、2006年6月、グッドデザイン賞での出来事だ。TENGAは、この年、グッドデザイン賞に内定しており、『TENGA-STANDARD TYPE』を一般公開する予定だった。

しかし、主催者側の意向により当日になってブースを撤去することになった。これに対して、代表・松本光一さんは、主催者側と交渉を続けるも、公開は叶わなかった。この一件は物議となり、松本代表はコメントを発表。

ことの顛末は新聞ほかメディアでも報道され、TENGAがものづくりと真摯に向き合い、創業1年目にしてグッドデザイン賞にノミネートされる企業であることが周知された。

「前編で、世界的に権威があるドイツのレッド・ドット・デザイン賞を過去に17回(うち1回は最高賞)を受賞したことをお話ししました。世の中にないプロダクトをつくり出し、お客様に喜んでもらうことを目指している私たちのプロダクトは、機能と安全性、使用感も最高峰を自負しております」

アートとのコラボレーションにも積極的に行い、人気イラストレーター、デザイナーの作品も多く、コレクターもいる。その嚆矢となったのは米国の現代アート作家、キース・ヘリングのコラボだ。

TENGA社は2012年6月28日発売日当日、ニューヨークのタイムズスクウェアにて、TENGA × Keith Haringコラボレーション製品のプロモーションを展開する。

「最も目立つ、マリタイムホテル壁面に巨大な3Dプロジェクションマッピングを投影しました。この日は、タイムズスクエア周辺をTENGAがジャックしたのです。この日、路上では製品サンプリングも行われました。また、夜にはビヨンセの振付を担当するJonteや、シンガーのWinter Gordonなど各界の著名人を招いたパーティも開きました」

当時のアメリカは、セルフプレジャーに対して「性交渉の相手がいない男性が行うものだ」という否定的な空気が流れていたという。しかし、TENGA社が進出したことにより、そのイメージは徐々に変わり始める。

「今では、日本に次いで、大きなマーケットを持つ国として、多くの方に愛用いただいております。日本同様、プレゼント需要も多く、安心・安全の品質、心地よい使用感、スタイリッシュさもあり、支持されています」

他にもTENGAが売れている市場は、中国、韓国、台湾、ヨーロッパ諸国だという。

「韓国では、2025年、規模も人気も韓国1位のヘルス&ビューティーストア『オリーブヤング』で扱っていただき、認知が拡大しています」

女性がセルフプレジャーを楽しむグッズを、女性目線で作る

セルフプレジャーに対するタブー感が強いのは、女性も同じだ。かつて女性はセルフプレジャーをしないものだとされており、ほとんどの人が隠していた。

それを心理的に解放したのは、アメリカのドラマシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』(1998年~)。作中に「生身の男よりバイブの方がいい」というセリフが出てきてから、性の特集を組む女性誌が続出した。

ただ、当時、女性のためのセルフプレジャーグッズは、男性の使用を想定したグロテスクで暴力的なアイテムばかりで、グッズの紹介をした媒体は少なかった。

TENGA社は、創業当初から女性向けプロダクトの開発構想があり、女性社員が増えてきたタイミングで商品開発に着手。2013年3月3日に『iroha』シリーズを発表すると、大ヒットする。

水原希子さんがアンバサダーを務めるブランド「iroha」のプロダクトたち。

「私たちのものづくりは、“女性にとっての心地よさ”を極限まで考えて、商品に落とし込むので、開発に時間を要します。さらに“この世にないもの”でなければなりません。あらゆる常識を超えて生まれた、irohaシリーズは、多くの人に支持されました」

10年目の2023年には、俳優・モデル・起業家として活躍する水原希子さんがアンバサダーに就任。多くの著名人が愛用していることを公言し、セルフプレジャーグッズとしては初めての百貨店の販売が始まるなど、女性の性へのタブー意識を変えていった。

TENGAの旗艦店『東急プラザ原宿「ハラカド」』で、かつて50代の母親と30代の娘と思しき母娘や、20代の女性同士が、irohaを手に取る様子を見たことがある。

かつてのグロテスクなグッズでは、親子や友人でチェックすることはなかったはずだ。。TENGA社の製品により、性と生活の距離が近くなり、認識が変わったことがわかる風景だった。

その軌跡は、6月20日より開催される、TENGA20周年記念企画 TENGA誕生の足跡、開発者・松本光一の半生を辿る展覧会 『松本光一展』に詳しい。人の心を捉え、生活の中になじむ製品を作るヒントが凝縮されている。

「TENGAのミッションは、“性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく”ことです。この“誰もが”には、障がいの有る・無しも含まれます。手の動きに制限がある方のために、専用のギアも制作・提供をしています」

TENGAの世界観をスタイリッシュに反映しているアパレルラインも展開されている。

また、だれもが“働く喜び”を感じられる世の中を目指し、就労継続支援B型事業所『able!FACTORY』を設立。その他にも、アスリートのスポンサード、10代向けの性教育サイト『セイシル』の運営、年間約15校(中・高・専門・大学)での性教育授業ほか、社会貢献活動も行なっている。

「性の悩みに応えることも重視しており、妊活中に性生活が苦しくなるという声をいただき、『ニニンカツ』というメディアも運営しています。パートナーと楽しむプレジャーグッズ、男女兼用で楽しむグッズなども人気です」

“触れ合うことや、 寄り添うことの大切さ”にフォーカスしたブランドCARESSA。

また、フェムケア、男性更年期障害(LOH症候群)などに寄り添うサプリメントやグッズも売れているという。

つまり、性の最前線にTENGAはいるのだ。人の根源的な欲求である性を尊重し、大切にすることはウェルビーイングにつながっていくのではないだろうか。

TENGA開発者『松本光一展』

2025年6月20日(金)から25日(水)、TENGA創業20周年を記念し、同社の創業者であり、TENGAを生み出した、松本光一の軌跡を辿る展覧会。本邦初公開となる初期のTENGAデザインスケッチをはじめ、松本の思考の痕跡、そしてプロダクトに込められた想いを展示。
■開催期間:2025年6月20日(金)~6月25日(水) 11:00~21:00(※最終日は18:00まで)
■会場:東急プラザ原宿「ハラカド」3F BABY THE COFFEE BREW CLUBギャラリースペース(東京都渋谷区神宮前6丁目31−21 )
■入場料:無料
― 「松本光一展」開催記念 松本光一トークイベント
■開催日時:2025年6月20日(金) 19:00~20:00
■会場:東急プラザ原宿「ハラカド」3F BABY THE COFFEE BREW CLUB
■入場料:先着50名まで無料 / 以降はワンドリンクオーダー制にて入場可能

公式サイト https://tenga-store.com/news/3015/

プロジェクト推進室、橘涼太さん 1993年生まれ、2020年入社。コミュニケーション本部 マネージャーを経て現職。コーポレートプロジェクトやTENGAブランドの広報PR業務に従事。

取材・文/前川亜紀 撮影/杉原賢紀(小学館)

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