
登録者数50万人以上の大人気YouTubeチャンネル「りんの田舎暮らし」のりんが〝移住の裏側〟を紹介する連載企画「りんの移住裏トーク」。北海道の最北東端、日本のすみっこから、田舎暮らしのリアルをお届けします。
連載/りんの移住裏トーク
こんにちは、りんです。
今回は「移住先の古民家にサウナを作った話」をテーマにお送りします。
皆さまはサウナお好きですか?
私は大好き!まではいかないけど普通に好き。好きのグラデーションでいうとうっすら滲んだ水色くらいの好きです。
YouTubeを始める前は美容に関するお仕事を生業にしていくつもりでした。そのため、サウナも美容の勉強の一環として学んでいました。
サウナって、人と人との距離が近いですよね。それを善しとする人、それこそが善しと思う人もいると思います。でも、ひとりが好きな私はあまり得意ではありませんでした。「温泉もひとりじゃない」と言われたらその通りだけど、温泉は空間が広いからOKという謎ルールを自分の中に持っています。
ピーマンはちょっと苦手だけどパプリカは食べられる、みたいな感覚に近いかもしれません。伝わったかな(笑)?
温泉には感じないちょっとした不自由さを解決するために個室サウナという選択肢もあるけれど、個室サウナを趣味にするにはそれなりの財力が必要です。だから、サウナに関しての勉強は、現場よりも座学の割合が多かったのです。
サウナの種類を知っていますか?
サウナって様々な種類があるんです。
ドライサウナ、ロウリュサウナ、ミストサウナ、テントサウナ……。
スーパー銭湯や温泉施設に設置されていて、サウナ好きでない人も目にしたり入ってみたりしたことがあるのはドライサウナです。高温低湿度でアチアチ。一般的だけど、湿度が5%〜10%とかなり低くなっていて髪や身体が乾燥しやすいのが少々ネックかなあ。
いろんな種類がありますが、基本的な流れは一緒です。
「サウナ→水風呂→外気浴(休憩)」の3つで1セット。これを3セットほど繰り返します。
このリズムの中で、いわゆる”ととのう”という感覚にたどり着くのだそうです。
移住先でついに実現したサウナの夢
サウナの仕組みや美容に関する知識を学ぶうちに、「いつか自分で作ってみたい」という夢が生まれました。
サウナの本場はフィンランドなのですが、実はフィンランドのサウナは水風呂が湖で、暑いサウナを我慢したあと湖にダイブできるんです。湖から上がれば大自然に囲まれて外気浴。
自然と一体になるってどんな気分なんだろう?
そして、なんと冬は寒空の下、凍った湖に穴をあけて飛び込むのです。移住前は雪が珍しい存在だった私にとっては衝撃的で、でも強く憧れを抱きました。
その記憶が、北海道に移住して古民家でサウナを作ることに繋がるのです。
私が古民家サウナ計画に選んだのはロウリュサウナです。別名フィンランド式サウナ。
ロウリュとはサウナストーブで熱したサウナストーンに水をかけて、スチームを発生させること。
古民家のリビングには私が「主」と呼ぶ大きなストーブが鎮座していました。リビングにストーブがあるというより、ストーブにリビングがついている、といったほうが正しいくらい存在感のあるストーブは、冬に雪国生活をスタートさせた私を心身ともに支えてくれていました。
静かな夜、橙の灯りを眺めながら飲んだ、ストーブの上であたためたほうじ茶やコーンスープ。
当時、何も食べないで1日を終えることもあった私を明日に繋いでくれた糧の味は忘れることはありません。
いつもは小さな火力で過ごしていたのですが冷える日に火力を強にした時、大きく広がる炎の輪郭を見て「この炎でサウナを作れるかもしれない」と閃きました。
私は興味があることには大きな行動力を発揮します。
前回も少し書いたかもしれませんが、よく「行動力がすごいね」と言われます。
でもそれは「好き」が明確な時だけ。食指が動かないことにはぴくりとも反応しません。
ファインダー越しに美しい自然を切り取るのが好きだから400km走って撮影に行ったり、誰もやったことのない稲わらでの釣りを釣り師さんに無理だと言われても釣り上げるまで諦めなかったり。
好きなことには全力で取り組みます。
サウナもどうやらその対象だったようで、サウナ計画を思いついてから、古民家がサウナに変身するまでそう時間はかかりませんでした。
古民家にサウナ誕生です
冬のフィンランド式サウナの醍醐味、「自然と一体になる」に惹かれた記憶から始まった古民家サウナ計画。
サウナストーンを熱して白樺の葉で作ったヴィヒタを持って、いざお風呂場へ。サウナストーンは熱しても割れないよう、溶岩石や玄武岩を準備することがポイントです。
高温になったサウナストーンに水をかけて熱い蒸気を発生させます。お風呂場の温度がぐんと上がれば体感温度も一気に上昇、身体から汗が滴ります。
身体が慣れてきたら手作りヴィヒタの出番です。
ヴィヒタは白樺の葉を束ねたサウナアイテム。全身を叩いたり撫でたりすることでさらに発汗を促したり血流が良くなったり、サウナの効果を高めてくれます。
それだけじゃなく、サウナ内に森の香りが広がってとっても癒されます。
自分の手で作ったものでととのうという感覚は、どんなエステよりも贅沢かも。手作りヴィヒタ、ぜひ皆さまにも使ってほしいです。
さて、熱気を十分に感じたら水風呂に移行します。ゆっくり浸かっていくと熱った身体がきゅっとなるのがわかります。
仕上げは雪の中で外気浴
真っ白な世界と一体になれる時間がやってきました。
冷たい北海道の冬、雪の中で外気浴。古民家サウナ計画の中で一番楽しみにしていた時間です。
水風呂から上がり玄関からお庭に出て水風呂で締まった身体を休ませます。
憧れたフィンランドの湖へのダイブの代わりに、雪が降り積もったお庭にそっと背中から全身を委ねます。
白い空を見上げて肺いっぱいに空気を吸い込むと、身体の奥まで北海道の冬が染み渡っていくような気がしました。
明日からも北海道での毎日が続いて、段々馴染んでいくのはわかっているけれど、何故か少しでも早く北海道と近づきたくて。雪に身を沈めながら、何度も何度も深呼吸をしていました。
サウナを通して気づいたことがあります。
北海道の冬は、厳しくて冷たくて容赦がありません。だけど、それを「楽しめる季節」にしてくれたサウナ。
外気浴のために外に出る、それだけの行為が私の感覚を研ぎ澄ませてくれて、雪国での暮らしのひとつひとつが、「生きてるなあ」と思わせてくれるようになったような気がします。
このコラムを読んで、サウナに行きたい気持ちになってくれたらうれしいです。機会があれば、いつかはあなたの移住先でも。
文/りんの田舎暮らし
登録者50万人のYouTube「りんの田舎暮らし」で北海道の自然や田舎暮らしの様子を配信中。交通安全運動で一日警察署長に任命されるなど北海道のくるま旅を盛り上げる活動も行なっている。
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