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22歳の崖っぷち女子が日本の最北東端にある田舎に移住した理由

2024.10.20

連載/りんの移住裏トーク

初めまして。北海道の最北東端、日本のすみっこに住んでいるりんと申します。普段はYouTubeチャンネル「りんの田舎暮らし」で北海道の美しい風景や暮らしの様子を配信しています。

私は今、世界遺産知床の大自然に囲まれて暮らしています。

家のお庭にはキツネが遊びにやって来たり、鹿の親子が食事をしに来たりします。冬は荒れ狂うブリザードにより、町と島を結ぶ一本道が閉鎖されて陸の孤島になる知床。

美しいだけでなく時に厳しい顔を見せる自然の中で暮らす前、私は三大都市圏の一つ、名古屋で都会暮らしをしていました。

移住を考えたことってありますか?

パンデミックをきっかけに、以前より働き方が多様化している今。リモートワークが広がり、自宅でも地方でも成立する仕事の形が増えました。田舎への移住を検討している方も多いのではないでしょうか。

「都会の喧騒から離れて静かに暮らしたい」
「子どもに自然の中でのびのびと育ってほしい」
「職場の人間関係に疲れたからフリーランスで仕事を受けて田舎で暮らしたい」

移住を決める理由はさまざまですが、移住先で想像している通りの生活が待っているかわからないことが、一歩踏み出せない理由の一つです。

私自身、パンデミックの煽りに流されて、22歳で北海道に渡った時は、このタイミングで移住するなんて考えてもいませんでした。

移住前、仕事も家も夢も失った私

2020年、30年続いた平成が終わり令和にバトンが渡されて1年が経ったころ。新型コロナウイルスが日本に侵食しつつありました。

私はまだ大学生。

美容のお店で生計を立てるべく在学中から開業準備をこつこつ進めていました。しかし、突然やってきた未知のウイルスは世界中を混乱に巻き込んで小さな夢を崩壊させました。

夢は呆気なく壊れて、美容のお店を開業することだけを考えて生きてきたため、何も手につかず今後を見失いました。家賃を浮かせるためお店に自宅を兼ねていたので、お店を手放せば同時に居場所も失います。

喪失感いっぱいでふらふらと彷徨う日々は、今でも覚えています。

よく眺めていた名古屋港の夜景は、今も目を閉じると暗がりの中に浮かび上がって私の心を掻き乱します。眠れない夜に抵抗する気力もなく時間が過ぎていくことだけを待つような毎日でした。

訪れた転機は「幼い頃に見た上高地の景色」

止まっていた日々に終止符を打つきっかけになったのは幼い頃の記憶です。

長野県にある上高地、皆さまは知っていますか?

北アルプスの谷間、梓川の上流に位置してハイキングや登山、温泉が楽しめる景勝地です。家族で訪れた場所を思い出して足を運んでみることにしました。

晩秋から翌年の春まで閉山する上高地、あと少しで入れなくなるこのタイミングで思い出したことには何か意味があったのかもしれません。

秋めいた上高地の景色は不安な気持ちを癒してくれました。よく晴れた穏やかな日、高い空と心地よい風の中で梓川のほとりを歩いていた時、「自然に囲まれて暮らしてみたい」と思ったんです。

「自然と共に生きられる土地ってどこだろう?」と考えて候補を絞るうちに、リスタートするなら全く知らない遠い場所にしようと北海道を選びました。

名古屋→上高地→北海道という流れをYouTubeで公開したり、人に話したりしたら

「行動力がすごいね」

「え、そんな流れになる?」

と言われてしまいます。

当事者でなかったら私も同じ感想を抱きます。突拍子もなさすぎるよねって。

あの時はもうなんでもいい、どうにでもなれって思っていました。心がもたないから深く考えないようにしていたから、上高地にも行けたし北海道にまで来られた。

今読んでくださっている読者の皆さまが、深く考えすぎてしまって勇気が出ないのなら、「行き当たりばったりでもなんとかなるんだ」って思っていただければ幸いです。

初上陸の北海道で待っていたのは……

運賃が格安の飛行機に乗って、北海道に到着すると辺りは暗くなっていました。釧路空港に近いコテージを予約して一泊しました。

コテージで迎えた朝、空を駆ける鶴を見て驚きました。前日は真っ暗でカラスすら見えない北海道で初めて見た動物が鶴。

それだけでこの場所に住んでみたいと思いました。

夢をなくして真っ暗になっていた心に差した一筋の光。しかし、光の射す方へ向かったはずの私は、新たな闇に襲われることをまだ知りませんでした。

北海道に辿り着いた後、なるようになれ状態だった私は、さっそく取り返しのつかない過ちを犯します。移住先について下調べを一切していませんでした。好きな場所に何度も訪れて、知人もできて、その土地のことをよく知ってから移住したわけではありません。行き当たりばったりだった私は移住先の情報を何も知らないまま決めてしまったのです。

この話は追々するとして……。連載では、移住の光と闇、素晴らしい一面と実際に経験した怖い出来事、つまりは移住の裏側全てを皆さまにお伝えしていきたいと思っています。

移住して3年、良いこと悪いこと、たくさん経験してきました。私のリアルな移住実体験のあれこれを、これから皆さまには楽しんでいただけたら幸いです。

文/りんの田舎暮らし
登録者50万人のYouTube「りんの田舎暮らし」で北海道の自然や田舎暮らしの様子を配信中。交通安全運動で一日警察署長に任命されるなど北海道のくるま旅を盛り上げる活動も行なっている。

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