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36協定は適用される?「裁量労働制」のメリットとデメリットについて考える

2025.05.02

裁量労働制は、企業と労働者の間で決めた時間を働いたものとみなし、賃金を支払う制度。この記事では裁量労働制をわかりやすく解説する。

裁量労働制とは、企業と労働者の間で決めた時間を働いたものとみなし、実際に働いた時間に関わらず、決められた時間分の賃金が支払われる制度のこと。働き方改革が推進される昨今において、注目されている働き方だ。

この記事では、裁量労働制とは何かをわかりやすく解説。残業や休日出勤など、時間外手当が発生するケースにも触れているので、気になっている人はぜひ参考にしてほしい。

裁量労働制とは?

裁量労働制は、みなし労働時間制という働き方のひとつ。ここでは、裁量労働制の働き方を詳しく解説する。

■裁量労働制の働き方

裁量労働制では、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ企業と労働者の間で労使協定に定めた時間に従い賃金が支払われる。例えば、1日のみなし労働時間を8時間と定めた場合、7時間働いても、9時間働いても、8時間分の賃金が支払われる仕組みだ。

ただし、みなし労働時間を9時間と定めた場合、企業は1時間分の残業手当を支払わなければならない。労働基準法の第三十二条で、原則として1日8時間、週40時間を超えて働いてはならないと決められていることが理由だ 。

■裁量労働制の種類

裁量労働制は「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類に分けられ、適用可能な業種が決まっている。

専門業種型裁量労働制は、業務の進行方法を労働者の裁量に委ねる必要があり、具体的な時間配分や業務の手順を指示することが難しい職種が対象となる。記者やシステムコンサルタント、デザイナーなどを含む20種類の業種が該当し、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が配布する資料「専門業務型裁量労働制について」にて確認が可能だ。

一方、企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する企画、立案、調査、分析を行う職種で、業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある職種が対象。専門業種型裁量労働制のように、具体的な職種は挙げられていないが、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が配布する資料「企画業務型裁量労働制について」にて詳細を確認できる。

裁量労働制と似た制度との違い

裁量労働制と似た制度としては、以下3つの働き方がある。

  • 事業場外みなし労働時間制
  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制

これらの違いもチェックしておこう。

■事業場外みなし労働時間制

会社の外で進行する業務で、労働時間の把握が難しいとされる職種を対象としたみなし労働時間制のこと。あらかじめ企業と労働者の間で労使協定に定めた時間に従い賃金が支払われる。

裁量労働制と同様に、みなし労働時間を8時間と定めた場合、7時間働いても、9時間働いても、8時間分の賃金が支払われる仕組みだが、対象となる職種が裁量労働制とは異なる。

■変形労働時間制

1週間、1ヶ月、1年など、一定期間内における労働時間を柔軟に調整できる制度のこと。例えば、繁忙期の労働時間を長く、閑散期の労働時間を短くするなどの働き方が挙げられる。また、裁量労働制とは異なり、職種に制限はない。

変形労働時間制では、一定期間内の平均労働時間が法定労働時間の範囲内であれば、特定の日や週について、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働くことができる。

■フレックスタイム制

企業があらかじめ決定した総労働時間の範囲内で、労働者が始業時刻、終業時刻、労働時間を自由に決められる制度のこと。みなし労働時間ではなく、実労働時間に従って賃金が支払われる点が裁量労働制と大きく異なっている。

また、フレックスタイム制には職種の制限がない。

裁量労働制のメリットとデメリット

裁量労働制には、企業と労働者の双方にメリットとデメリットがある。それぞれ確認しておこう。

■企業側のメリット・デメリット

裁量労働制を導入することで、企業側は労務管理に関わる負担を軽減できる。また、柔軟な働き方を取り入れることにより、社員の満足度が高まり、パフォーマンスの向上が期待できることや、多様な人材を確保できる点もメリットといえるだろう。

一方で、裁量労働制を導入する手続きの負担が大きいことはデメリットといえる。特に企画業務型裁量労働制は、制度導入にあたって労使委員会の設置と、労使委員会での決議が必要だ。制度を導入する際は、人員と時間に余裕をもって対応する必要があるだろう。

■労働者側のメリット・デメリット

自分のペースで働くことができ、業務の進捗によっては労働時間を短縮しつつ、決まった賃金がもらえるのが労働者側の大きなメリットといえる。

一方で、制度の性質上、時間外労働をしても基本的に残業代が出ない点はデメリット。実労働時間の制限がないため、業務が長引けば長時間労働になってしまうこともあるだろう。

また、自己管理が苦手な人は、一度に働きすぎたり、必要なタスクを後回しにして業務を上手く進められなかったりする可能性もある。裁量労働制では、メリハリをつけ、計画的に業務を進める力が重要だ。

裁量労働制に関するQ&A

裁量労働制に関してよくある疑問を、いくつかのQ&A形式にまとめた。気になる疑問があれば参考にしよう。

■残業代や時間外手当が発生するケースは?

以下に該当する場合は、裁量労働制でも時間外手当が発生する。

  • みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合
  • 22時~翌日5時の時間帯に労働した場合
  • 休日に労働した場合

なお、休日に労働した際の代休の有無は、企業の就業規則や労使協定の内容により異なる。

■裁量労働制に36協定は適用される?

裁量労働制にも36協定の労働上限時間は適用される。36協定の対象となる働き方は以下の通り。

  • みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超過する場合
  • 22時~翌日5時の時間帯に労働する場合
  • 休日に労働する場合

これらに当てはまる場合は、あらかじめ企業と労働者の間で36協定(時間外労働協定)を締結し、労働基準監督署へ届出を提出する必要がある。

■裁量労働制を効果的に進める方法は?

裁量労働制には、主に長時間労働となってしまう可能性があるというデメリットが存在する。したがって、裁量労働制を効果的に進めるには、労働者の自己管理の力を企業がサポートすることが重要だ。

具体的には、労働者の健康管理と、積極的な業務効率化が挙げられる。健康管理の面では、例えば労働者の疲労度の定期的なチェックや、産業医による定期的な面談を取り入れるのが良いだろう。

業務効率化においては、不要な作業の排除や、ペーパーレス化、必要に応じたツールの導入など手段がいくつかある。

■裁量労働制を導入するには?

裁量労働制の導入手順は、専門業務型裁量労働制と、企画業務型裁量労働制とで異なる。

専門業務型裁量労働制の導入手順

  1. 企業と労働者の間で労使協定を締結する
  2. 個別の労働契約や就業規則などを整備する
  3. 所轄の労働基準監督署へ届出を提出する
  4. 労働者本人の同意を得る
  5. 制度の実施

企画業務型裁量労働制の導入手順

  1. 労使委員会を設置する
  2. 労使委員会にて、導入のルールに従い11の事項について決議する
  3. 個別の労働契約や就業規則などを整備する
  4. 所轄の労働基準監督署へ届出を提出する
  5. 労働者本人の同意を得る
  6. 制度の実施

■裁量労働制でも残業代ゼロは違法になる?

労働基準監督署へ届け出た内容や労使協定で結ばれた内容と実務の実態がかけ離れている場合、違法になる可能性は十分にある。

厚生労働省では、時間外労働や休日出勤について、明確な指針を発表しているため、企業側、労働者側共に入念に確認し理解を深めておこう。(参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」)

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/編集部

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