「部下への期待」とはレジリエンスを高める働きかけ
ここからは、部下のレジリエンスをつけるために上司の方に実践していただきたいこと、心がけていただきたいことを挙げてみましょう。
1.思考をポジティブな枠組みでとらえ直させる
部下が失敗をして、「もう自信がなくなりました」と言ったとします。その時に、それなら担当を変えようか、というのは優しい言葉ですが、これではレジリエンスは育ちません。
「気持ちはわかるが今回の経験は次に生きてくる。自分の糧になったと考えてはどうか」と部下の現在の思考の枠を、ポジティブな枠で見えるような言葉かけをしてください。
ただし、明らかなメンタル不調に陥っている場合は追い込むことになりますのでそこは注意が必要です。
2.自分の体験談を伝える
部下にとって上司は強い存在です。そんな上司から、自分が部下だった時代に失敗したことやそこからどうやって回復したのか、というリアルな体験を聴けることは、どんなマニュアル本よりも心に伝わるものです。自分だから伝えられること、を伝えてください。
3.ゴーレム効果はNG
前述したように、部下に期待をしないとその感情は部下に伝わります。なぜなら無意識に「声かけをしない」「フォローをしない」「他の人への対応に比べて冷たい」といった言動をしてしまっているものだからです。
それは部下の士気をますます下げてしまいます。ゴーレム効果はNG行為です。
4.研修制度を利用する
レジリエンス力の重要性が認識されてきて、今では多くの企業が専門の講師をそろえてレジリエンス力をつけるための講習会やセミナーを行っています。
レジリエンスは個人個人が意識づけをし、行動することによって高めることができます。適切に専門家の力をかりることもおすすめです。
まとめ
「部下に期待をした方がよいか、期待すべきではないか」という視点だけで考えてしまうと、多様性社会の現代では、期待しない方が楽だという思考になりがちです。
しかし、自分が部下に感情を押し付けるのではなく、部下のレジリエンスをどう引き上げるか、という視点で考えると、部下に対して上司としてできることはまだまだあるのではないでしょうか。
文/小日向るり子
フィールマインド代表。カウンセリング件数約6000件(2024.4月現在)。カウンセリングのほか人間心理や恋愛コラムの執筆も行っている。
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