上司は部下が泣く理由を理解し、正しい対処法を取ることが重要です。みんなの前で注意せず、部下の意見をすぐに求めず、話を最後まで聞くことがポイントです。
上司であるならば、部下がミスや間違ったことをしていた場合には注意する人がほとんどでしょう。しかし、その場面で部下が泣いてしまったら、あなたはどうしますか?
理由もわからず謝ってしまったり、注意をやめてしまったりはしていないでしょうか。
実は、この対応、間違いなのです。
では、どのように対応すればいいのか、今回は注意するとすぐ泣いてしまう、めんどくさい部下への対処法を解説していきます。
なぜ部下はすぐ泣くのか
泣くという行為だけを見れば、決して悪いことではありません。“仕事中に”泣くという行為が一般的には良くないこととされているのです。仕事中に泣いてしまう人を見ると、打たれ弱い、精神年齢が低いなどのマイナスのイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。
しかし、仕事中に泣いてしまうことは、一生懸命仕事に向き合っている証でもあります。マイナスなイメージを先行させることなくフラットな気持ちになり、なぜ部下はすぐ泣いてしまう理由を見ていきましょう。
1.否定された気持ちから
ミスを指摘されたとき、そのミスをした仕事の内容を上司は注意しているのにもかかわらず、本人は怒られたイコール自分自身を否定された、ということにつなげてしまう人がいます。自分を否定されたという思い込みから動揺してしまい、その悔しさから感情をコントロールできなくなり、予期しない涙が出てしまっているのかもしれません。
2.自分に対しての情けない気持ちから
ミスをしてしまったときに、他人のせいにはしてはいけないという価値観を持つ人が多くいます。これは一見正しいことのように見えますが、その自己責任から必要以上に自分を責めてしまう場合があります。
自分を過度に責めてしまう行為は、精神的なストレスの原因となり、心身に影響を及ぼします。うまく感情のコントロールができなくなることから涙もろくなってしまっている可能性も考えられます。
また、今までは泣かなかったような些細なことでも自然と涙が出てしまうときには、何かしらの精神疾患のサインの可能性もあるので、注意が必要です。
3.自分の気持ちを理解してほしいから
相手に自分の気持ちを理解してほしいという心理は、誰もが持っているものです。しかし、自分のことを理解してもらうことは難しいもの。職場での上司と部下という関係性であれば、すべてを理解することなどより難しくなるのにもかかわらず、理解してもらいたいという気持ちを涙で訴える人がいます。
職場などで自分の気持ちをすべて理解してほしいと考えることは精神面が幼く、大人になりきれていない人に多い傾向です。
謝る、優しくするのは逆効果!すぐ泣く部下への対処法
泣かれてしまうのは困るものの、部下がミスや間違ったことをした場合、上司として指摘しないわけにはいきません。泣いてしまった相手を見て、咄嗟に謝ってしまったり、優しく接してしまったり、さらには注意をやめてしまう人もいますが、これではいつまで経っても部下が泣くことを止められず、部下との関係もうまくいきません。
ここでは、そうならないための、正しい対処法をお伝えします。
1.みんなの前での注意は避ける
みんなの前でミスを注意することは避けるべきです。たとえそこまで厳しい指摘でなくても、部下の自尊心を傷つけてしまう場合があるからです。傷つけられた部下は精神的ストレスから感情がコントロールできずに涙を流している可能性もあります。
さらには、みんなの前で注意をするという行為は部下の反発心にもつながり、パワハラを受けたと訴えられる恐れもあります。すぐ泣く部下だけでなく、すべての部下にも避けたほうがいい行為と言えるでしょう。
2.部下の意見をすぐに求めない
一方的にミスを指摘するだけでなく、部下の意見を聞こうとする姿勢を持つことは管理職に求められるスキルの1つです。
しかし、すぐ泣くなど感情がうまくコントロールできない部下に対しては、すぐに意見を求めてはいけません。感情がコントロールできるまで、待つ必要があるのです。
ミスを指摘した後には、「自分の意見が整理できたら声をかけて」というふうに伝えることで部下は感情を落ち着かせ、自分の気持ちを伝えやすくなります。
3.部下の話に耳を傾ける
職場で泣いてしまうことを、部下自身もいいことだと認識している人は少ないはずです。なぜ泣いてしまうのか、どうして自分で涙をコントロールできないのかと落ち込んでいる人も多いでしょう。そんな気持ちを抱える部下への正しい対応は、泣いていることを指摘せず、落ち着いてから話をじっくり聞くことです。
話は、どんなに自分の言い分とは異なったとしても、遮ることなく最後まで聞きましょう。話を遮られると、人は圧迫感や不快さを感じます。それが上司と部下という関係性であれば、圧迫感はより強くなり、話を遮ったことが部下が本音を言えないきっかけにもなってしまいます。普段から話は最後まで聞くことを意識して部下と接することが大切です。
文・構成/藤野綾子
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