ALL DIFFERENTが運営するラーニングイノベーション総合研究所は、社会人1年目から4年目の若手社員1,200人を対象に、精神支援の実態を調査し、その結果を公開した。
4人に1人の新人が、上司や先輩から精神面の支援を「全くしてもらっていない」と回答!
日本で深刻化する少子高齢化に伴う労働力不足を背景に、企業が成長していくためには、組織の要でもある労働者一人ひとりの能力を最大限に発揮していくことが必要不可欠だ。しかし、厚生労働省の調査結果によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は、半数を超えるといわれている。
組織力を最大化するためには、このようなストレスを軽減し、仕事の意欲増進につながる精神支援のサポートが重要。そこで、若手社員が精神面においてどれだけ支援をしてもらっているか、精神支援の実態を調査し、その結果を公表した。
●4人に1人の新人が、上司や先輩から精神面の支援を「全くしてもらっていない」と回答
まず初めに、社会人1年目~4年目の若手社員に対して、上司や先輩からの精神面における支援が十分と感じているかを質問したところ、「十分にしてもらっている」「してもらっている」と回答した割合は、社会人1年目は57.0%、社会人2年目は54.0%、社会人3年目は59.7%、社会人4年目は56.4%となり、各年次共通して半数以上が精神支援をしてもらっていると回答する結果となった。そのなかで、「十分にしてもらっている」と感じる割合は、社会人1年目が最大で22.7%となった。
一方、「全くしてもらえていない」と回答する割合は、社会人1年目が25.3%と最大となり、4人に1人が全く精神支援されていないと感じている実態が明らかとなった。(図1)
●精神支援をしてくれる相手は「同じグループ・チームの先輩」がトップに
次に、社会人1年目~4年目の若手社員に、誰から支援を受けているか質問。社会人1年目では、30.7%が「同じグループ・チームの先輩」と回答し、次に「役職が1つ上の上司」(28.3%)、「同期」(24.7%)と続いた。社会人2年目も同様に「同じグループ・チームの先輩」と回答する人が29.3%と最も多くなり、続いて「役職が1つ上の上司」(25.3%)、「同期」(24.7%)という結果となった。
社会人3年目も「同じグループ・チームの先輩」と回答する人が32.3%と最も多く、この割合は、他年次と比較し最大の割合となりました。次いで、「役職が1つ上の上司」(26.0%)、「同期」(22.7%)と続いた。また、社会人4年目も「同じグループ・チームの先輩」が30.7%と最大となり、次に「同期」(28.3%)、「役職が1つ上の上司」(28.0%)という結果となった。
これらの結果より、全年次共通して「同じグループ・チームの先輩」「役職が1つ上の上司」からの支援が多いことが判明。また、社会人4年目では「同期」の存在が高いこともわかった。(図2)
●精神支援の内容、社会人1年目には「励まし・応援」「期待」、2年目には「成長の伝達」が多い
具体的な支援内容を年次別に見てみると、社会人1年目では、「励ましや応援をしてくれた」と回答した割合が32.1%と最大の割合となった。この割合は、他年次と比較して6.9ポイント以上高くなり、突出した結果となった。次に「安心させてくれた」(31.3%)、「成長していることを伝えてくれた」(23.2%)が続いた。また、社会人1年目では、「期待してくれた」(21.0%)の回答も、他年次よりも高くなった点も見逃せないポイントだ。
社会人2年目では、「安心させてくれた」が34.0%と最大の割合となり、続いて「成長していることを伝えてくれた」(24.7%)、「不安・不満を聞いてくれた」(21.7%)という結果に。さらに、社会人3年目では、「安心させてくれた」が30.8%と最大の割合となり、次に「成長していることを伝えてくれた」(21.9%)、「雑談をして気を紛らせてくれた」(19.8%)と続き、社会人4年目では、「安心させてくれた」(33.2%)、「励ましや応援をしてくれた」(25.2%)、「成長していることを伝えてくれた」(18.9%)という結果となった。(図3)
●支援に対する気持ち、「嬉しい」「感謝」が多く、成長していることを伝えると「成長のために頑張ろう」の受け止め高まる
支援内容として回答の割合が高かった「安心させてくれた」「励ましや応援をしてくれた」「成長していることを伝えてくれた」の3つの項目に関する支援内容への捉え方について見てみると、「安心させてくれた」という精神支援内容では、半数以上が「安心した」(56.7%)と捉える傾向にあった。次に、「嬉しいと思った」(37.0%)、「感謝の気持ちを抱いた」(32.8%)が続いた。(図4)
また、「励ましや応援をしてくれた」という精神支援内容では6割の若手社員が「安心した」(60.9%)と回答する結果とった。次に、「嬉しいと思った」(37.7%)、「感謝の気持ちを抱いた」(37.3%)が続いた。(図5)
さらに、「成長していることを伝えてくれた」という精神支援内容では、「安心した」が44.0%と最大の割合となった。ほかの項目と比較した際、「感謝の気持ちを抱いた」(41.6%)や、「成長のために頑張ろうと思った」が(32.1%)が突出する結果となったのが特徴といえる。(図6)
【調査概要】
調査対象者:社会人1年目~4年目の就労者
調査時期:2024年10月12日~10月15日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:1,200名(社会人1年目300名、社会人2年目300名、社会人3年目300名、社会人4年目300名)
属性:(1)業種 農業,林業 19人(1.6%)、漁業 7人(0.6%)、鉱業,採石業,砂利採取業 9人(0.8%)、建設業 52人(4.3%)製造業 171人(14.3%)、電気,ガス,熱供給,水道業 20人(1.7%)、情報通信業 80人(6.7%)、運輸業,郵便業 32人(2.7%)、卸売業,小売業 76人(6.3%)、金融業,保険業 53人(4.4%)、不動産業,物品賃貸業 23人(1.9%)、学術研究,専門・技術サービス業 27人(2.3%)、宿泊業,飲食サービス業 28人(2.3%)、生活関連サービス業,娯楽業 15人(1.3%)、教育,学習支援業 66人(5.5%)、医療,福祉 221人(18.4%)、複合サービス事業 23人(1.9%)、サービス業,他に分類されないもの 91人(7.6%)、公務 47人(3.9%)、その他 61人(5.1%)、わからない 79人(6.6%)
(2)企業規模 1-50名 221人(18.4%)、51-100名 182人(15.2%)、101-300名 219人(18.3%)、301-1,000名 168人(14.0%)、1,001-5,000名 153人(12.8%)、5,001名以上 117人(9.8%)、わからない 140人(11.7%)
関連情報
https://www.all-different.co.jp/topics/20250107
構成/立原尚子