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投資信託を手がける会社が金融教育事業を始める理由

2025.01.13

投資信託の「ひふみ」シリーズを手掛けるSBIレオスひふみが、金融教育事業に乗り出す。オンライン教育プラットフォームを手掛けるスコラ社との合弁会社「フィナップ」を設立し、2025年春ごろのサービス提供開始を目指している。

なぜこのタイミングで金融教育事業を始めるのか。同社の意図や背景について本記事でまとめた。

■フィナップの会社概要

出典:2024年12月17日付のプレスリリースより

投資の重要性も、投資詐欺被害も急増している

“投資に対する関心が高まるにつれて、SNS型投資詐欺などを中心に投資詐欺の被害が急増しているという実態がある。金融リテラシーの不足に加えて、正当性のある発信者が持続可能な事業として情報発信を行っていない”と、同社はリリース内で発表している。

そのリリースにさきがけて行われた記者発表会では、SBIレオスひふみ代表・藤野英人氏は以下のように述べた。

「投資について知りたい気持ちを逆手にとり、有名人の名前を騙ってSNSにおびき寄せ、粗悪な投資商品を売りつけたり投資金を持ち逃げしたりする投資詐欺が広がっている一方、正当な組織である金融機関が、体系化された学びを提供する必要性を感じまたその資格があると認識しています」

増加する投資詐欺に対しての予防には、日本人の金融リテラシー向上が必要だ。現に、同藤野氏の名前やSBIレオスひふみを騙る詐欺アカウントも数十アカウント出現している。

一方、個人のお金に目を向ければ、投資の重要性が増しているものの、知識不足や不安から投資に踏み出せない人も多い。金利が上昇し始め、物価高(インフレ)が定着しつつある日本では、「資産を守る」ための行動が必要だが、適切な金融知識を学ぶ機会が限られている。

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■SNS型投資詐欺が急増している。2024年は前年比約4倍の被害が発生

SNS型投資詐欺とは、Facebook、Instagram、LINE、マッチングアプリなどのSNSで知り合った人に対し、巧みな話術で信用させ、投資を持ちかけてお金をだまし取る詐欺である。

手口は、「元本は保証するので投資してみないか」と甘い言葉で勧誘し、少額の投資で儲けさせて信用を得た後、高額の投資を促す。投資金を出金しようとすると手数料や税金がかかるなどと言い、お金を要求する。最終的には連絡が途絶え出金できなくなるというものだ。

2024年は2023年に対し投資詐欺被害額も詐欺認知件数も4倍近く増えている。被害を防止するために知識や判断力の教育が急務である。

フィナップの教育プログラムは「オンラインで学べる総合学校」

2025年春に開講予定の同社の金融教育講座は、オンラインでの学びが前提となり基本的な考え方を受講者全員が学ぶ「ベーシックスクール」と、受講者の需要に合わせたコース別のスクールの2つに分かれている。年代や資産額に合わせたコースを用意しているとのことだが、具体的なカリキュラムや価格設定は本記事掲出時点で詳細は不明である。また“将来的には、学習の結果として具体的な行動をサポートをする仕組み”を作ることも考えているという。

■無料動画媒体との差別化ポイントは「体系化された学び」

オンラインでの金融知識を得る場として、SBIレオスひふみ社はすでにYouTubeでの動画配信を行い、初心者向けの投資の仕方の解説や著名人を招いての資産形成に関する学びコンテンツを多数提供している。記者発表会の場では有料で学べる“フィナップのコンテンツは体系化された深い学び。YouTubeは単体の知識”というすみわけの説明がされていた。

が、やはり具体的なカリキュラムが不明なため早く内容を見てみたい。

出典:レオス・キャピタルワークスYouTubeチャンネル

『金融知識は欲しいけど、お金は払いたくない』と言う人は、金融機関や関連する企業や団体が提供している無料のYouTube動画を見るだけでも様々な学びが得られるわけだが、そこからさらなる知識欲をどう引き出すのか。それとも全く違う手段でアプローチするのか。ビジネス的には、有料講座への勧誘方法も気になる。

■金融知識の体系標準はJ-FLECのマップを見るとよい

出典:金融リテラシー・マップ(金融経済教育推進機構)

金融庁の認可法人で、2024年4月に設立した金融経済教育推進機構(通称:J-FLEC)では、官民一体の金融教育を推進している。国民のライフステージ別に様々な学びコンテンツが提供されている。その中にある「金融リテラシー・マップ」に体系化された知識分野・分類の定義が、『何を学ぶべきか』の判断材料に使える。

フィナップは、『お金の悩みを無くしたい』社会課題に的確に応えられるのか

金融庁とボストンコンサルティンググループが2024年3月に公表した調査レポートでは、18歳~59歳の現役世代の約半数がお金に関する悩みを最低でも1年に数回は考えているという。(下図(1))

それに対し、金融機関が行なう金融経済教育は、お金を持っている人向けが主なターゲットであり“空白地帯がある”と述べられている。(下図(2))

 

(1) お金の悩みに関して考える頻度

(2) 金融機関の金融経済教育の主なターゲットは富裕層・中間層

出典:金融庁

これらの空白地帯を埋めなければお金の悩みは無くならず、我々の金融リテラシーが向上したとは言い難い。フィナップはどう埋めるのか。埋めることは出来るのだろうか。動向は引き続き注視したい。

文/久我吉史

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