
周知という言葉を耳にすることはあっても、実は意味がよくわからないという方もいるのではないでしょうか。周知は、世間一般に知られていることや広めることを意味する言葉です。周知の意味や使い方のほか、周知を効果的に行う方法についてまとめました。
目次
周知とは
「周知」は「しゅうち」と読み、広く世に知れ渡っていること、広く知らせることの意味があります。テレビなどで、「周知の事実」という言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。周知の事実は、「皆に知られている事実」という意味で使われています。
周知の由来や、混同しやすい言葉である「衆知」や「承知」との違いを解説します。
参考:デジタル大辞泉
■周知の由来
周知という言葉は、古典にも登場するほど、古くから使われている言葉です。古くは、中国の古典「周礼(しゅらい)」にも登場しました。「周礼」は、周王朝の政治などを記述した儒教の経典として知られています。
参考:デジタル大辞泉
■周知と間違いやすい「衆知」と「承知」
周知と間違えやすい言葉には、「衆知」や「承知」があります。
衆知とは、多くの人々の知恵を意味する言葉です。「衆知を集める」などと使います。また、承知は事情などを知ることや、知っていることを意味する言葉です。「無理を承知でお願いする」「その内容については百も承知だ」といったように使います。
いずれも、周知が持つ「広く知れ渡っている」や「広く知らせる」という意味はありません。ただし、漢字や読み方が似ているため、間違えないように注意しましょう。
周知の使い方と例文
ここからは、周知の使い方と例文をご紹介します。実際に使う際の参考にしてください。
■周知する
「周知する」は、広く知らせるという意味で使われます。たとえば、社内で何かの情報やルールなどを伝える際に用いられます。
【例文】
- 新しい勤務時間のルールを全社員に周知する必要がある
- 商品リコールの情報を、すべての購入者に迅速に周知することが求められる
- 認識の違いによるトラブルを防ぐためにも、事前に周知いたします
■周知のとおり
「周知のとおり」は、基本的に、聞き手がすでに知っていると考えられる情報を、あらためて知らせる際に使う表現です。
【例文】
- 周知のとおり、新プロジェクトは来月から始まります。担当者は、それぞれ準備を進めておいてください
- 周知のとおり、来月から新しい価格体系が適用されますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします
- 周知のとおり、今年度の売上目標を達成するために、新たな施策を導入する予定です
■周知の事実
「周知の事実」とは、多くの人が知っている事実や情報を指します。
「知っていて当然ですが」というニュアンスを含むため、その内容を知らない人がいる場合は安易に使用しないほうがよいでしょう。「ご周知かと思いますが」など、失礼のないような別の表現に言い換えることをおすすめします。
【例文】
- DXが業務効率を向上させる取り組みであることは周知の事実だが、すべての企業が導入しているわけではない
- 当社の商品が市場で高い評価を得ていることは、業界内では周知の事実だ
- 優れたリーダーシップがチームを成功に導くことは、周知の事実だ
■ご周知ください
「ご周知ください」は、特定の情報を関係者や他の人々に広く伝えてほしい場合に使用される、敬語表現です。
目上の方に使っても失礼にあたらないため、ビジネスシーンでよく使われる表現の1つといえるでしょう。
【例文】
- 資料をご送付しましたので、会議にご出席予定の方にご周知ください
- 次回の会議日程が変更になりましたので、ご周知ください
- 来月の業績目標を決定しました。各事業部にご周知ください
周知の類似表現
周知には、いくつかの似た表現があります。ここでは、周知の類似表現として、以下の5つをご紹介します。
- 通知
- 告知
- 伝達
- 共有
- 案内
それぞれの意味と使い方をみていきましょう。
■通知
「通知」には、告げて知らせるという意味があります。
「通知」は、告げ知らせることや、その知らせ自体を意味する言葉です。情報を伝えるという意味では、「周知」と似たようなニュアンスを含みます。
ただし、通知は一方通行かつ特定の情報を知らせる意味が強いといえるでしょう。
【例文】
- 内定通知が届いたので、ひとまず安堵した
- 電車やメールでの通知は受け付けておりません
- 仕事に集中するために、スマホのアプリ通知をオフにした
参考:デジタル大辞泉
■告知
「告知」とは、告げ知らせることや通知することを意味する言葉です。周知や通知に近い意味合いですが、告知のほうが対象者は狭く、より重要度が高い情報を知らせる傾向にあります。
【例文】
- 顧客に対し、SNSで新商品の告知を行う
- 以下の期間中、一部サービスがご利用いただけなくなりますので、事前に告知させていただきます
- このたび、弊社主催のセミナーを以下の日程で開催いたしますので、告知申し上げます
参考:デジタル大辞泉
■伝達
「伝達」には、情報や命令などを口頭や文書で伝えるという意味があります。ビジネスシーンでは、ビジネスの現場で「伝達」という場合は、連絡事項を伝える意味で使われることがほとんどです。
【例文】
- 重要な変更事項については、スタッフ全員へ速やかに伝達しなければならない
- 休職に入る前に、必要な情報を伝達する
- プロジェクトの詳細について、プロジェクトメンバーに伝達した
参考:デジタル大辞泉
■共有
「共有」は、「1つのものを2人以上の共同で所有する」という意味です。「情報共有」や「共有財産」などと使います。
【例文】
- プロジェクトの進捗状況をチーム全員で共有することが重要だ
- 情報共有の徹底が、トラブルの防止につながる
- 会議の内容をメールで共有しましたので、ご確認ください
参考:デジタル大辞泉
■案内
「案内」は、道や場所を知らない人を、そこに導くことという意味のほか、物事の事情や内容を明らかにするという意味も持つ言葉です。
【例文】
- 年末年始の営業時間については、公式サイトでご案内しております
- 新規顧客向けに、サービスの利用方法を案内するガイドを用意した
- 自社主催のパーティーに関する案内を送付した
参考:デジタル大辞泉
社内での周知が重要な理由
社内での周知は、以下のような点から重要とされます。
- 業務効率向上につながる
- スムーズな意思決定が実現する
社内周知ができていない場合、情報共有不足からさまざまなところで行き違いが起き、ミスや業務の遅延につながりかねません。社内周知が徹底されると、業務の抜け漏れが軽減されるため、業務効率が向上するでしょう。
また、何か物事を決めなければならないとき、事前に関係者全員に情報共有がされていなければなりません。社内周知が徹底されていると、それぞれが持つ前提認識にズレが生じていないため、再度確認する手間が省けます。それにより、スムーズな意思決定が実現します。