うたた寝する時間や起床時間が日々異なっているなど睡眠習慣が不規則であると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる可能性があるようだ。新たな研究で、睡眠習慣が不規則な人では、規則的な人に比べて主要心血管イベント(MACE)の発生リスクが26%高いことが示された。東オンタリオ小児病院研究所(カナダ)のJean-Philippe Chaput氏らによるこの研究結果は、「Journal of Epidemiology & Community Health」に11月27日掲載された。
不規則な睡眠習慣は主要心血管イベントリスクを高める
この研究では、40~79歳のUKバイオバンク参加者7万2,269人の8年間の追跡データを用いて、活動量計で測定した睡眠の規則性とMACEリスクとの関連が検討された。UKバイオバンク参加者は、7日間にわたって手首に装着する活動量計で睡眠を記録していた。Chaput氏らはその情報に基づき、参加者の睡眠規則性指数(Sleep Regularity Index;SRI)を算出し、参加者を不規則(SRI<71.6、1万7,749人)、中程度に不規則(SRIが71.6~87.3、3万6,602人)、規則的(SRI>87.3、1万7,918人)の3群に分類した。
解析の結果、SRIが不規則または中程度に不規則だった人では規則的だった人に比べて、MACEリスクがそれぞれ26%(ハザード比1.26、95%信頼区間1.16~1.37)と8%(同1.08、1.01~1.70)高いことが明らかになった。SRIを連続変数とした用量反応解析では、SRIが高いほど(つまり、睡眠習慣が規則的)、MACEリスクがほぼ直線的に減少する傾向が認められ、特に高いSRIを持つ人でリスク低下がより顕著になることが示された。さらに、SRIと睡眠時間を組み合わせた解析では、年齢別の推奨睡眠時間を満たすことにより、SRIが中程度に不規則な人のMACEリスクはほぼ相殺されるが(同1.07、0.96~1.18)、SRIが不規則な人では、推奨睡眠時間を満たしていてもリスクは依然として有意に高いことが示された(同1.19、1.06~1.35)。
Chaput氏は、「われわれの研究結果は、MACEリスクの調整には、十分な睡眠時間よりも睡眠の規則性の方が重要である可能性を示唆するものだ」と話している。研究グループは、不規則な睡眠パターンにより、体内の血糖値やコレステロール値が上昇し、炎症が亢進し、免疫機能が乱れ、それが心臓の健康に悪影響を及ぼす可能性があると推測している。研究グループは、「これらの障害は、ストレスホルモンの放出増加、血圧の上昇、内皮機能障害、心血管疾患や代謝障害の発症リスク増大などの原因となる」と述べている。
研究グループはさらに、「米国心臓協会(AHA)が提唱する心血管の健康に関する概念である『Life’s Essential 8』の要素に睡眠時間が追加されたことは注目に値する。この追加は間違いなく朗報であり、心血管の健康における睡眠の重要性が認識されたことを意味する」と述べている。(HealthDay News 2024年11月27日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jech.bmj.com/content/early/2024/10/30/jech-2024-222795
Press Release
https://bmjgroup.com/irregular-sleep-wake-cycle-linked-to-heightened-risk-of-major-cardiovascular-events/
構成/DIME編集部
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