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「24時間戦えますか?」働き方改革を阻む〝昭和の呪い〟の存在

2024.12.06

令和の未だに、現在の企業文化において、「遅くまで働く社員が会社に貢献している」、「残業を厭わないことが美徳」といった考え方が根強く残り、労働時間が成果や生産性の基準とされることが多いのがまだまだ実状である昨今。このような価値観は、効率的な働き方やイノベーションの推進を軽視し、古い固定観念に基づく無意識の偏見が新しい時代の進展を妨げていると言われている。

そんな時代を生きづらくしている原因として、そういった無意識の偏見や固定観念に着目したのが『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』の著者である婚活コンサルタント松尾知枝氏。彼女は、これまで3万人にも及ぶ婚活に悩むクライアントさんと対峙し、恋愛や結婚に関する悩みが単なるスキルや条件の問題を超え、家庭や社会によって植え付けられてきた価値観に起因しているということにたどり着いたという。

“昭和な呪い”という名のアンコンシャスバイアス!?3万人の結婚迷い人を導いた婚活コンサルタントが指南する解呪術

3万人の婚活迷い人をサポートしてきた婚活コンサルタント松尾知枝氏の新刊、令和なマインドエクササイズ本『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』が発売された...

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世界最悪レベル!日本のジェンダー格差は「昭和な呪い」のせいだった!?

令和という新しい時代に突入したにもかかわらず、昭和時代に培われた価値観や固定観念が、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)として私たちの日常に影響を与え続けて...

『あなたの生きづらさ “昭和な呪い” のせいでした
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婚活コンサルから見えてきた無意識の偏見“昭和的呪い”とは

「婚活支援のお客さまの悩みの原因になっているのは異性との駆け引きのテクニックではなく、偏見という名の“昭和な呪い”にあるということに気づきました。昭和的な考えを背景とする、これらの呪いは、多様性を尊重する現代社会において改善が求められています。それには、まず無意識のバイアスに気づき、それを意識的に取り除く努力が必要です」

と語る松尾氏。

では、どうしたらこのような“昭和な呪い”の呪縛から脱することができるのだろうか?

「まず、どんな呪い(アンコンシャス・バイアス)があるのかを知ることが大切です。少しでも知識があれば、呪いにかからずに済みますし、既にかかっている呪いに対しても落ち着いて対応できます」

松尾氏は、日常的に交わされる言葉の中に、今なお無意識に受け入れられ続けている“昭和的な”フレーズを見出した。特に、社会で頻繁に取り上げられるテーマに関して、これらのフレーズを“呪い”という形で以下の7つに分類している。

・集団の調和を最優先し、個人を抑圧する「空気を読めの呪い」
・性別に基づく役割を固定する「ジェンダーの呪い」
・過度な働き方を美徳とする「24時間戦えますか?の呪い」
・年齢によるステレオタイプ化を促進する「年齢の呪い」
・母親の家事過多を生む「ママなんだからの呪い」
・他者との優劣を競わせる「マウンティングの呪い」
・親子間で過干渉を生む「アットホームの呪い」

今回、この七つの呪いのうち、「24時間戦えますか?の呪い」について松尾氏にうかがった。


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24時間戦えますか? の呪い

「疲れた身体に鞭打ってでも、働いて成果を出すことが当たり前とされていた昭和の時代。『24時間戦えますか?』はそんな企業戦士たちを奮い立たせる呪文として、瞬く間に広がり、流行語になりました。

 家庭より仕事優先で働くことが「立派な企業戦士」とされていました。「頑張ればなんとかなる!」という根性論が支配し、長時間労働も当たり前。長く働けば働くほど「よくやった!」と見なされる風潮がありました。 今ならブラック企業のスローガンと揶揄されてしまう呪いですね」

「その当時の日本を支えたのは「モーレツ社員」、もしくは「企業戦士」と言われる人たち。

 そこには、私生活をなげうって、猛烈に仕事に打ち込み、企業利益のために粉骨砕身で働くサラリーマンの活躍がありました。よく似た言葉に「社畜」がありますが、どこか自虐的で嫌々働かされていることへの諦観と物憂げなニュアンスが漂います。それに対してモーレツ社員や企業戦士には『我々が日本を支えているんだ!』という誇りや闘志みたいなものもあり、そんな働き方がカッコいいと思われていた部分もあるのでしょう。だから当時の日本で違和感なく受け入れられ共感されたのだと思います。

 そんな戦士たちのマストアイテムとして登場した栄養ドリンクのCMキャッチコピー『24時間戦えますか?』は、発売当時ものすごく話題になりました。日本人の勤勉な気質にもピッタリで、大勢の人に共感され受け入れられました。

 しかしそれはやがて『疲れてても気合いを入れればまだ戦えるじゃないか』という無茶を奨励するものに変わります。日本人の長時間労働の温床とも言える、24時間ずっと戦い続けなきゃいけない強迫的な呪いと化しました。

 では、『24時間戦えますか?』の呪いを紹介していきますね!」

「死ぬ気でやれ! 根性を見せろ!」

「『気合いでやれ』とか『死ぬ気でやれ』なんていまどき、こんな強烈なフレーズ言う人いる? とお思いになるでしょう。それがですね、古い体質の会社だとまだまだ現役なんです! 私の周りの友人にもリサーチしました。ま、いわゆるブラック企業というヤツですけれど。

 時代が変わっても、根底に流れている昭和的な滅私奉公マインドは、意外としぶとく残っています。「やればできる」なんていう根性論もその名な ごり 残でしょう」

○類似する呪いのフレーズ
「気合いでやれ」「死ぬ気でやれ」「やればできる」「ノルマを達成しろ」
「人に甘えちゃいけない」「みんな我慢しているんだからお前も我慢しろ」
「もっとつらいやつはいる。自分なんてまだマシ」
「みんなが残ってるのにお前だけ先に帰るのか?」
「俺の若い頃は、休むなんて考えられなかった」

過重労働を美徳化するアンコンシャス・バイアスは、長時間働くことが「貢献度」や「やる気」の証とされる風潮を作り出している。例えば、定時で帰ることが「やる気がない」と見なされ、遅くまで残業することが評価されるケースが典型。この考え方は、昭和な呪いの「24時間戦えますか?」などのフレーズにも表れている。

しかし、このような過重労働を美徳化する考え方には、社員の健康に悪影響を与え、過労やうつ病などのリスクが増すという弊害がある。さらに、長時間労働は生産性を低下させ、逆に成果が上がらないという調査結果も散見する。家庭生活や人間関係にも悪影響を及ぼし、特に育児や家事を担う女性にとっては大きな負担となるだろう。

こういった偏見を乗り越えるためには、まずそれらの存在に気づき認識し、意識的に思考の枠組みを再構築することが重要であると松尾氏は指摘する。

「昭和な呪い」として列挙された言葉を改めて目にすることで、私たちが無意識に抱えていた偏見や固定観念に改めて気づかされることだろう。その気づきは驚きと共に、自分がどれほど深くその“昭和な呪い”の枠に縛られていたかを実感させる。しかし、この認識こそが大切だ。偏見や思い込みに無自覚に支配されてきたことに気づくことで、心の中に隠れた「免疫」を育て、本来の自分らしい、もっと自由で楽な生き方を取り戻す第一歩となる。松尾氏は、「この本が、正にそのための道しるべとなれば」と語る。

次回は、七つの“昭和な呪い”の中でも、近年「エイジズム」という問題として注目される「年齢の呪い」に焦点を当て、取り上げていく。

●著者プロフィール

松尾 知枝(まつおちえ)
婚活コンサルタント、株式会社インプレシャス 代表取締
10歳から8年間、児童養護施設で暮らす。 つらい幼少期を経て、 自身で考案したメンタルエクササイズにより呪いを解き、 目標達成する面白さに目覚める。 新卒で日本航空に入社。CAとして国内線、国際線に乗務。 2011年より自身の経験と心理学をベースにした婚活支援を行う。 自己肯定感を高め、心から望むライフデザインを描きたい女性から 大きな支持を受ける。情報番組出演や東京都の婚活支援事業、 ゼクシィ縁結びのコラムに監修として携わるなど、活躍の場を広げている。 著書に『3ヶ月でベストパートナーと結婚する方法』(かんき出版)、 『3年以内に成功する男、消える男』(フォレスト出版)、 『1日5分で夢が叶う 日記の魔法』(中経出版)

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構成/DIME編集部

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