2028年度に登場予定の「新Suica」
同時に、Suicaも大きく変化する。
2027年度までに指定券予約サービス『えきねっと』やモバイルSuicaなどのID統合が実施され、翌2028年度には列車予約、定期券、施設予約、モバイルオーダー、物品購入などをひとつにまとめた「Suicaアプリ(仮称)」が登場する予定だ。
「それってモバイルSuicaじゃ?」と言われてしまいそうだが、現状のSuicaアプリはえきねっとやエクスプレス予約などとは一体化されていない。それぞれ別のプラットフォームなのだ。それが今後、ひとつのアプリになる。いくつかのメディアでは、早速ながらこの2028年度以降のSuicaアプリを「新Suica」と呼称する動きが出てきた。
この新Suicaは、今後10年の間に移動と一体のチケットサービス、金融・決済、生体認証、マイナンバーカード連携、タイミングマーケティング、健康、学び、物流、行政・地域サービスとの連携も計画している。
マイナンバーカードとの連携も予定
これが実現すると、具体的にどのような新サービスが誕生するのだろうか?
今の時点でJR東日本が公言しているのは、「Suicaを改札機にタッチした直後に、この先の予定をクーボンとして受け取れる」機能である。その人がこれから向かうであろう場所にまつわる情報やデジタルクーポンを発行してくれる、という仕組みだ。
また、以下はあくまでも筆者の想像であるが、到着駅付近からレンタカーを借りて鉄道ではいけないところへ遠出……というサービスが実現するのではないか。レンタカーの予約及び決済は、Suicaアプリひとつで完結できるという仕組みである。
Suicaとマイナンバーカードの連携、そしてマイナンバーカードと運転免許証の一体化を考慮すれば、このような新しいレンタカーサービスも計画できるはずだ。
Suicaの持つデータは「金のインゴット」
今年、交通系ICカードは熊本県内の交通事業者が取り扱い中止を発表・実施するなど、大きな試練に見舞われている。
しかし、これを根拠に「交通系ICカードの斜陽」と結論づけるのはあまりに早計過ぎる。交通系ICカードには交通系ICカードしかできないこと、他のキャッシュレス決済を凌駕する特徴が備わっている。そのひとつが「抱えている情報量」であり、これは都市インフラの再構築に活用することもできる「金のインゴット」である。
我々現代日本人は、実に膨大な情報資源を有しているのだ。
【参考】
JR東日本グループ 中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」
中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」の策定~ Suicaを進化させ、Suicaアプリ(仮称)の創出によるSuica経済圏の拡大~-PR TIMES
文/澤田真一
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