コミュニケーションの目的は「相手に伝わる」ことです。送信しても閲覧されなければメッセージは伝わりません。相手の立場に立ち、重要な点をコンパクトにまとめることが大切です。16社7000名のクライアントにおいて送受信された、7486通のメールと顧客向けのプロモーション用メール2864通を分析した結果、閲覧率の高いメールにいくつかの共通点が見つかりました。
読まれるメールには共通点があった!
1つ目は、タイトルの文字数が35文字以内であること。これは一見、少し長めに感じるかもしれませんが、興味を引くキーワードが含まれていれば、受信者は本文を読みたいと感じるようです。しかし、タイトル作成の時間を節約し、短時間で成果を上げるためには、端的で伝わりやすい短いタイトルが推奨されます。
2つ目の特徴は、タイトルにカタカナと数字(特に奇数)が含まれていることでした。我々がメールの利用者に話を聞くと、数字が入っていると具体的で、奇数は端的なイメージを抱くようです。例えば「3つの特徴」「5分で説明する」「成功する7要件」など具体性を示す表現が好まれます。平仮名よりも漢字を使用したほうが読みやすく、カタカナが含まれているとアクセントになり、目立ちやすくなることも覚えておきましょう。「明日の打ち合わせ議題について」よりも「明日の打ち合わせアジェンダ」のほうが目に留まりやすく、画数の多い漢字の羅列よりもカタカナが入ったほうが見やすくて、視覚に残りやすいです。
すぐに返信が来るメールにはPRDが含まれていた
メールの受信数が増えると中身を確認するだけでも大変です。多くのメールを受信している人にタスクを依頼してもすぐに対応してもらえず、自分の「待ち時間」が増えてしまうことがあります。その解決策のひとつとして、メール本文にPRD(Point=要点、Reason=理由、Deadline=期限)を入れるのが効果的です。PRDを活用することで相手が情報を素早く理解し、迅速な対応を行なえるようになります。効率的なコミュニケーションが実現されて待ち時間が減り、仕事の時短につながるのです。
【1/Point=要点】
メールの目的や要求を明確に示します。具体的なアクションや結果を求める場合、それを明記することが重要です。相手がひと目で目的を理解できるようにすることで無駄なやりとりが減り、時短につなげることができます。例えば、「新商品のデザイン提案をお願いします」という具体的な要求を示すことで、相手にどのようなアクションを求めているのかを明確に伝えることができます。
【2/Reason=理由】
相手に納得してもらいやすくするためには、具体的な情報や数字を示すことが重要です。例えば「昨年度の売り上げが10%増加したため、新商品のデザイン提案をお願いします」という具体的な理由を示せば、相手に自身の意図を明確に伝えることができます。
【3/Deadline=期限】
対応が必要な期限を明確に示します。期限を示すことで、相手が優先順位を付けて対応できるようになり、スムーズな進捗が期待できるでしょう。また、期限が近い場合や緊急性がある場合は、件名にも期限を記載することで、相手の注意を引きやすくなります。
PRDはメール以外での仕事にも活用できる
PRDは、ほかの様々なコミュニケーションにも応用できます。会議やプレゼンテーションでは、PRDを念頭にポイントを明確に伝え、理由や期限を具体的に示すことで、相手に情報を理解しやすく伝えられるのです。これにより、時間効率のいい効果的な会議やプレゼンテーションが実現できるでしょう。
また、部下への指示や上司への報告といった日常の業務でもPRDを活用できます。部下への指示では「今週末までに新商品の販売計画を作成してください(Point)。昨年度の売り上げが10%増加したため、新商品の投入が必要です(Reason)。提出期限は来週の月曜日です(Deadline)」という具合に、PRDを使って明確に指示を出すことができます。部下に何をどのように行なうべきなのか、なぜそれが必要なのか、いつまでに完了するべきかを、明確に理解してもらいやすくなるはずです。
メールのやりとりで特に問題視されているのが、メールの件名に自分の名前を入れたり、同じ内容のメールであるにもかかわらず件名を頻繁に変更したりする行為です。メールのやりとりをスムーズに進めるためには、一定のエチケットが求められます。特に、メールのタイトルについては一貫性を保つことが重要です。同じ話題のスレッドには同一の件名を用い続けることで受信者の時間を節約し、情報を追跡しやすくしましょう。
文/越川慎司
クロスリバー代表取締役。複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革を提供。
800社17万3000人のAI行動分析でわかった「仕事の無駄」を絶つ超タイパ仕事術
「時短を意識して仕事を進めるためには、一日を通して計画的に準備することが大切です。仕事時間だけに意識を傾けるのではなく、働く前後の時間を有効に活用することも心がけましょう。精神を落ち着かせることや、リフレッシュのための時間を確保することで、仕事時間中の効率が高まり、結果的には時短につながります」と話すのは、ビジネスコンサルタントの越川慎司さん。
複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革のノウハウを提供し、24冊以上のビジネス書を執筆している、まさに仕事の達人だ。同氏がこれまでに働き方改革を支援してきたのは800社以上にのぼる。クライアント企業の優秀なビジネスパーソンに見られる行動を分析して導き出した、業務の無駄を徹底的に省き、仕事のタイパ(タイムパフォーマンス)を高める方法を著書「最速で結果を出す超タイパ仕事術」で詳しく解説している。