人に与えられた時間は皆平等に、1日24時間。その中でオンとオフのバランスをうまく保つには仕事の効率化が急務。その究極の時間創出術こそ、無駄な仕事を「捨てる」技術だ。
仕事を減らせないのはこんな人!
100%完璧主義
IQが高く処理能力に優れた人に多い。ひとりで抱え込みがちな傾向もある。考え方に余白を持つと気持ちがラクに。
人に仕事を任せられない
チーム力第一の現代の企業では浮いた存在に。同僚の強みを発見する努力をすれば安心して仕事を任せやすくなる。
仕事のスピードが遅い
見方を変えれば慎重に仕事を進められる人。週1の内省を習慣化して無駄な仕事を捨てるのがスピードアップのコツ。
NOが言えない
上司や同僚に対し抱えている仕事の〝見せる化〟が大事。頼むことにリスクを感じさせれば降り注ぐ仕事のガードに。
コミュニケーション下手
Excelでもパワポでも、自分の強い分野はアピールを。コミュ力不足でも得意な仕事が回ってくるのでWin-Win!
人を巻き込むことで仕事は減らせる
仕事においては、本来やらなくてはならないことを漏らさず実行し、結果を出すことが最重要。そのために大切なのが時間の使い方だ。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮するには、時にタスクの取捨選択や力加減、いい意味での割り切りや〝仕事捨て〟も必要。だが、それは、日々仕事に真摯に向き合う企業人にとって勇気がいるもの。これに対しデキるビジネスパーソンはどう対応しているのか。ビジネス効率化の達人・越川慎司さんいわく、その分岐点は「重要度」にあるそう。
「複数の仕事を抱えた時、緊急の仕事や、気持ちよくできる自分の得意な仕事から片づける人が多いと思います。ただ、ここから手をつけると本当にやらなければいけない仕事がおざなりになりがちです。各企業のトップ5%社員は、緊急度は低くても、自分の評価につながる重要度の高い仕事に時間を費やすことができるからこそ、成果を出し続けられる。仕事順を重要度から並び替えると、無駄が省かれ、やらなくていいタスクが見えてくるんです。そしてその無用なタスクは、放棄、延期、委託の3パターンで対処。ただし、社員の場合、放棄は困難で、延期は時間稼ぎにすぎず、残された捨て方は周りの誰かに仕事を委託=任せる、しかない。その際ポイントとなるのが〝巻き込み〟力です」
コツは、まずチームメンバーの強みと弱みを理解すること。相手の弱みをカバーすればその後に仕事を振りやすく、強みを知れば仕事を振る際の理由づけに使える。
その証拠に、仕事を依頼する時、意義や目的を伝えると引き受けてくれる確率が1.5倍アップするというデータもあるという。
また、気軽に相談できるチャットツールなどを活用し、日頃から互いの仕事内容をオープンにしておくなど、チーム内コミュニケーションを高めておくのも有効だ。
「進捗状況などを自ら共有しておくんです。すると意見やアイデアをもらえて無駄に悩む時間が減らせたり、手伝ってくれる人が出てくることも。必要以上に仕事を振られない予防線にもなります」
実はこれもトップ5%社員のノウハウ。取捨術を参考に結果を出せるビジネスパーソンを目指そう。
800社17万3000人のAI行動分析でわかった「仕事の無駄」を絶つ超タイパ仕事術
「時短を意識して仕事を進めるためには、一日を通して計画的に準備することが大切です。仕事時間だけに意識を傾けるのではなく、働く前後の時間を有効に活用することも心がけましょう。精神を落ち着かせることや、リフレッシュのための時間を確保することで、仕事時間中の効率が高まり、結果的には時短につながります」と話すのは、ビジネスコンサルタントの越川慎司さん。複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革のノウハウを提供し、24冊以上のビジネス書を執筆している、まさに仕事の達人だ。同氏がこれまでに働き方改革を支援してきたのは800社以上にのぼる。クライアント企業の優秀なビジネスパーソンに見られる行動を分析して導き出した、業務の無駄を徹底的に省き、仕事のタイパ(タイムパフォーマンス)を高める方法を著書「最速で結果を出す超タイパ仕事術」で詳しく解説している。
〝仕事を捨てる〟の3STEP
【STEP 01】週1回15分の〝内省〟でタスクを見直す
週に15分だけ、1週間の仕事を振り返る時間をつくる。こうして仕事を洗い出すだけで、無駄なタスクが11%も削減されるという。新たに時間を創出したなら、タスクの優先順位を短期的な〝緊急度〟ではなく、中長期的な〝重要度〟で並び替えることがコツだ。生み出された時間を何にどう使うか、先に決めておくと、ダラダラせず時間の有効活用にもつながっていく。
【STEP 02】「放棄」「延期」「委託」でアクション
有能な人ほど、会社の評価軸に合わせたアクセルとブレーキの使い分けが絶妙。裁量権につながる提案書作りにはアクセル全開でエネルギーを爆発、評価に結びつかないチーム会議や報告書作成ではブレーキを踏んで労力を抑える。重要でない案件は「放棄」、今やらなくてもいいなら「延期」、人に任せられるものは「委託」といい意味での〝ずるい〟仕事術で効率化を図ろう。
【STEP 03】自己裁量権を獲得し、幸福度がUP
ビジネスパーソンの理想のゴールは、社内で自己裁量権を持ち、好きな仕事を、好きなやり方、好きな場所で行なうことだ。〝Work in Life〟を目指し、時には仕事が終わった自分へご褒美を用意してモチベーションを上げる。この位置に立てれば、企業にいながら仕事の取捨を自分でコントロールできる。
心理学者マズローの提唱する欲求5段階説。レベル4の尊厳欲求は承認欲求のことで、レベル5の自己実現欲求が自己裁量権となる。