ビジネスシーンで進む脱ハンコの流れ
近年、実際の印鑑による捺印から、電子印鑑・電子署名に移行する企業が増えています。脱ハンコがもたらす利点や課題、そして企業がなぜ捺印の電子化を推進しているのかを詳しく見ていきましょう。
電子印鑑・電子署名を実際に導入する際の方法と、注意点についても解説します。
■電子による捺印と従来の捺印との違い
電子による捺印とは、従来の物理的な印鑑を使用せず、電子印鑑を用いて文書に印影を付与する方法です。電子印鑑とは、単に画像化した印影を指すだけでなく、識別情報やデータ化された文書にサインする『電子署名』のことも含める場合があります。
電子印鑑を用いると、データ化された文書にそのまま捺印できるほか、書類のやりとりをメールでできるため、時間・距離などを問わずに捺印できるのが利点です。業務フローを効率化し、ペーパーレスの推進によるコスト削減にもつながります。
■捺印の電子化が進んでいる理由
捺印の電子化が進んでいる背景の一つには、政府主導のデジタル化推進があるといわれています。2020年12月には、国民や事業主に押印を求めていた手続きに対し、押印などを不要とする改正が公布されました。
以降、各自治体でも行政手続きでの押印廃止の動きが進んでいます。また、多様な働き方の推進によるテレワークの普及も、理由の一つといえるでしょう。
とはいえ、いまだに印鑑の電子化が進んでいないことから、捺印のために出社しなければならない企業も多いのが実情のようです。
■電子印鑑を導入する方法と注意点
電子印鑑には、印影を単純に画像化したものと、識別情報が含まれているものの2種類があります。印影を画像化するだけのタイプは、フリーソフトなどを使用すれば作成が可能です。
しかし、信頼性やセキュリティー面に不安が残り、本人を証明する効力も低いというデメリットがあります。契約書などの重要な文書にも使用することを考慮すると、識別情報が組み込まれた電子印鑑を導入する方が望ましいでしょう。
識別情報を組み込んだ電子印鑑を作成するには、有料のサービスを活用する方法があります。ただし、契約書に使用する場合は、取引先が電子印鑑を認めているか事前に確認しておくことが必要です。
捺印や印鑑の種類や目的を知っておこう
捺印と押印は、どちらも印鑑を押す行為ですが、自筆の署名の有無など厳密には違いがあります。また、使用する印鑑にもさまざまな種類があるため、目的に合ったものを使いましょう。
ハンコ文化は、日本に長く根付いている習慣ですが、近年ではDX推進により捺印の電子化が進んでいます。業務の効率化というメリットがある一方で、信頼性やセキュリティー面を考慮する必要があるため、捺印の電子化を導入する際は注意しましょう。
構成/編集部