日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務は、全国の総務担当者を対象に「総務の評価についての調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
7割以上の総務が「評価制度が総務の仕事を適切に評価できる仕組みになっていない」
自社の評価制度が、総務部門の仕事を適切に評価できる仕組みになっていると感じるか聞いたところ、「はい」と回答したのは29.7%で、3割未満となった(n=138)。評価をする立場の人に比べて、評価をされる立場の人の方が仕組みについての納得感が低いことがわかる。
■総務の仕事が適正に評価されていると思っているのは約4割
総務の仕事は適正に評価されていると思うか聞いたところ、「とても適正に評価されている」と答えたのはわずか5.8%、次いで「やや適正に評価されている」が35.5%で、適正に評価されている実感のある総務は約4割であることが判明した(n=138)。
■8割以上が「総務部門の目標管理が難しい」と回答
総務部門の目標管理が難しいと感じるか聞いたところ、「とても感じる」と「やや感じる」が合わせて85.5%と、8割以上が目標管理の難しさを感じていることがわかった(n=138)。
目標管理が難しい理由は「定量的な指標が設定しにくい」
総務部門における目標管理が難しい理由については、「定量的な指標が設定しにくい」が80.5%と最も多く、次いで「業務内容が多岐に渡るから」が66.9%、「目標の達成基準が設定しにくいから」が65.3%と続いた(n=118)。目標設定において、業務の多様さと指標の設定難易度が大きな要因となっているようだ。
<定量化が難しいと感じる業務TOP10>
社内問い合わせ対応:56.5%
文書管理:40.6%
健康管理:39.1%
施設管理:38.4%
入退社・勤怠管理:31.9%
備品管理・発注:31.2%
給与・経費計算:28.3%
採用・研修:28.3%
電話・受付:26.1%
請求書・契約書:22.5%
■役職が低い人の方が自己評価が低い傾向
自己評価と他己評価の高低について尋ねたところ、役職が高い人の方が自己評価も他己評価も高い傾向があることがわかった。役職がない人の6割近くが、自己評価が低いと回答した(n=138)。
組織目標を個人目標に落とし込む際の工夫は「目標を具体的なタスクに分解」が最多が52.9%で最多となった(n=138)。
目標を具体的なタスクに分解する:52.9%
定期的に目標達成状況をフィードバックする:33.3%
個人の強みを活かした目標設定を行う:33.3%
その他:1.4%
工夫していることはない/評価制度の設計に関わっていない:15.9%
■エンゲージメント向上のために重視する点は「定期的な面談」が最多
総務部門でエンゲージメントを高め、成長を実感できる評価を行うために重視している点について聞いたところ、「定期的な面談」が63.1%で最も多く、次いで「チーム全体での目標共有」が55.4%、「具体的なフィードバックの実施」が49.2%と続いた(n=65)。
■キャリアパスや目標が明確な総務は半数以下
自身のキャリアパスや目標が明確になっているか聞いたところ、「はい」と回答したのは48.6%で、「いいえ」と答えた51.4%をわずかに下回った(n=138)。また、役職が低い人の方が、キャリアパスが明確になっていないこともわかった。
■すべての業務が明文化されている総務は1割未満
総務部門の業務内容が明文化されているか聞いたところ、「すべての業務が明文化されている」と答えたのは8.7%、「全く明文化されていない」が23.2%だった(n=138)。
調査結果総評
株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長 豊田 健一氏
今回の調査結果から、総務部門の評価において、適正な評価や目標管理の難しさが大きな課題となっていることが明らかになりました。
多くの総務担当者が、自身の業務が現行の評価制度に十分に反映されていないと感じており、特に定量的な指標設定の難しさが評価の納得感を得にくい要因となっています。
また、目標を具体的なタスクに分解する工夫や定期的なフィードバックの実施といった取り組みが行われているものの、課題解決にはより一層の工夫が求められています。
さらに、キャリアパスや業務内容の明確化も進んでいない状況が示されており、総務担当者が自身の成長を実感しながら働ける環境づくりが今後の重要なテーマとなるでしょう。
総務部門の価値が企業全体に正しく理解され、適切に評価されるためには、役割や目標の明確化、評価制度の整備が欠かせません。
総務部門の評価とキャリア形成の改善を通じて、組織全体の生産性とエンゲージメント向上を目指す取り組みを推進することが期待されます。
調査概要】
調査名称/総務の評価についての調査
調査機関/自社調査
調査対象/『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法/Webアンケート
調査期間/2024年9月10日〜2024年9月17日
有効回答数/138件
構成/清水眞希