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音質の良さで話題のフランス発音楽配信サービス「Qobuz」とレコードの音質を比べてみた

2024.11.08

日本では開始が遅れていたフランス発の音楽配信サービスQobuz(コバズ)が、10月24日に正式オープンした。Qobuzとは、簡単に言えばアップルやAmazonよりも音質がいい、ハイレゾ音質も配信するサブスクリプション(全てがハイレゾではない)だ。料金は月額1480円(1年分1回払いなら15360円)。今なら1ヶ月無料トライアル期間なので、早速申し込んだ。

LINN/SELEKT。デザインが斬新だ。

サブスクもハイレゾならレコードに遜色ない?

僕は今年5月、ネットワークプレイヤーをLINNの旧型KLIMAXから最新型のLINN/SELEKTに買い替えた(この記事を参照)。 LINNはイギリスの名門オーディオ・メーカーだ。ネットワークプレイヤーがあれば、サブスクアプリを入れたアイフォンを使って自在に音楽配信を楽しめる。ところが買い替え以前は、無線ルーターに繋いだ旧型では音がブチブチ途切れて使えなかった。LINNとルーターが別の部屋に設置されているので電波環境が悪いからだと考え、買い替えを機にPLCによる有線LANに変更する。PLCとは有線のLANケーブルの代わりに、家庭内の電力線を使ってLANを構築するシステム。無線よりも接続は強力とされる。だがある程度は改善されたものの、時々途切れて音楽に耳を傾けて聴くには辛い。なぜかインターネットラジオなら途切れないので、本を読みながらの“ながら聞き”だけに使ってきた。

だがハイレゾ音質のQobuzが始まったとなると、話が違う。1980年代『FMレコパル』編集部在籍時から40年以上にわたる僕のオーディオとロックの師匠、オーディオ/音楽ライターの岩田由記夫さんからも、「斎藤君はレコード派でも、歳をとるとレコードをかけるのが面倒になるよ。サブスクもハイレゾならレコードに遜色ないから、拘って聴きたい音楽以外はサブスクで十分」と再三、言われてきた。

バッファロー/WSR-6000AX8P。

なんとかしてQobuz を導入したいと考え、PLCでもダメなら無線ルーターをアップ・グレードすればと思いつく。調べてみると、我が家のルーターの規格はWi-Fi5。現在の主流はWi-Fi6で、Wi-Fi5では役不足だとわかる。さらに調べると最新のWi-Fi7なる規格があるが、値段は高いし僕程度のユーザーにはトゥー・マッチと思える。そこまでは高くないWi-Fi6Eも検討したが、アンテナが4本ある点を決め手に(とはいえ2本に比べてどのくらい優位かは僕には不明)、バッファローのWSR-6000AX8Pを購入した。インターネットの速度テストを行うと、Wi-Fi5機より遥かに速い。これでQobuzへの備えは整った。

PLC。

まずはアップルでジェフ・ベックの『ワイアード』から「レッド・ブーツ」を聴くと、音質以前に愕然とする。PLCよりは改善されているが、時折ブチっと途切れたり無音になる。“ながら聞き”なら問題ないが、耳を傾ける気にはなれない。岩田さんに相談すると「変だなあ。そもそも無線より有線の方が絶対にいいはずなのに、そこからしておかしい」。こう言われてPLCの設定に問題があるのでは思い、取説を丹念に読む。これか!? “PLCはタップにではなく、壁のコンセントに直接刺すべし“とある。LINN側のPLCはコンセント直接だが、ルーター側はタコ足タップに刺さっていた。刺し直すと、曇り空があっという間に晴れて青空となる。解決!!

キャプ4 『レッド・ツェッリンⅠ』/レッド・ツェッペリン。

大きな音で聴きたいなら絶対にハイレゾ音質

では、本腰を入れて聴き比べをしよう。曲はレッド・ツェッペリンの『Ⅰ』から「グッド・タイムス・バッド・タイムス」、2014年のジミー・ペイジによるリマスター音源だ。Amazonは“ULTRA HD”と表示されるCD音質。途切れなく再生されるのは快適だが、音がどのくらいいいかというと、可もなく不可もなしのような……。僕はCDを聴かず、音楽は主として最も音がいいとされるマト1のレコード(マト1についてはこちらを参照)で聴くので、そもそものCDの音質レベルがわかっていない。ここでは、この音を5段階評価で3の音としよう。

アップルは“ハイレゾ ロスレス”という表示で、やはりCD音質だ。これはAmazonとの音の差がわからず、やはり評価は3。そしていよいよQobuz(後述するがLINNのアプリKazooで操作)、ハイレゾ音質だ。明らかにこっちがいいが、劇的にいいかというとそこまでではない。5段階評価の4といったところか。

さてレコードとの違いはどうか。2014年リマスターのレコードを聴く。Qobuzに比べて音圧が高い。そして音がいいというより、音が左右上下(特に左右)に広がる。評価は5としたいが、岩田さんの言うようにこの両者の比較では使い勝手を考えるとどちらが上とは言い難い。ついでに僕が一番音がいいと信じるPR工場生産USマトC/C(=マト1)を聴くと、これは居場所が違う。フレッシュで鮮烈、音源が異なる別物と言えよう。

キャプ5 『バッド・カンパニー』/バッド・カンパニー。

アナログ時代のツェッペリンは録音がいいのでデジタルでは不利なのかと思い、今度は録音が良くないことでは定評がある(と書くとファンに怒られてしまいそうだが、僕も大学受験一次試験当日、受かれば数日後には二次試験という日に、唯一の日本公演に足を運んだ程の大ファンだ)、バッド・カンパニーの同名アルバムから「キャント・ゲット・イナフ」を聴く。UKマト1でも音はパッとせず日本盤の方がいいとする人もいるほどだが、この比較でもQobuzよりもレコードの方が評価1段階分くらいは上だ。

とここまで書いて、あまりにも当たり前のことに気づいた。今時、オーディオに拘っている音楽好きはそうそういない。イヤフォンで聴く人の方が圧倒的に多数だろう。僕もジョギング中は、イヤフォンで音楽を聴いている。幸い(?)僕のイヤフォンはソニーの最上位ノイズキャンセリング機WF-1000XM5なので(詳しくはこちらを参照)、音の違いもわかりやすいはずだ。ツェッペリンを比べてみる。

QobuzはアップルやAmazonよりも音圧が高くメリハリが効いている。その差は明らかながら、街の騒音に囲まれながらのジョギング中ではどちらでもいい。だが音楽を主にヘッドフォンやイヤフォンで聴く人で、老後の耳への影響はさておき(僕はウォークマン第一世代なので、耳に大音量後遺症がある同好の士は少なからずいる)、大きな音で聴きたいなら絶対にハイレゾ音質がいい。CD音質vsハイレゾ音質、小音量なら3対4、大音量なら3対5でその差は歴然だ。

アップル、Amazon、Qobuzの曲数、アーチスト、付帯サービスの違い等は横に置くが、ひと月の利用料金は同様のプランでQobuzが400円高い。この程度の差なら、音楽好きにはQobuzを勧めたいがいかがだろうか。

それにしてもネットワークミュージックの奥は深い。岩田さんからはより音を良くするためにQobuzと音質をアップするソフトRoonの併用、ネットワーク機器の追加、機器の電源の交換等、総額100万円以上の投資を勧められている。だが残念ながらその予算も、妻の理解もない。

LINNでのQobuzアプリ表示。

LINNでのKazooアプリ表示。

そして僕の持つLINNのネットワークプレーヤーにも謎がある。大半の人には関係ないことなので詳しくは書かないが、アイフォンのQobuzアプリから「グッド・タイムス・バッド・タイムス」を再生すると、アイフォンの画面では“24-Bit 96.0kHz-ステレオ”と表示されるが、ネットワークプレーヤーでは“44kHz/16bit PCM”と表示される。これってCD音質では? LINNのアプリKazooのアイフォン画面の表示は”HD”、再生するとネットワークプレーヤーには“96kHz/24bit FLAC”と表示されてハイレゾだ。肝心の音だが、圧倒的とは言えないがKazooからの再生の方がいい。Qobuz アプリからはCD音質で、Kazooからだとハイレゾ音質ということか?

左上がLINNアプリ、中央下がKazooアプリ、右下がQobuz アプリ。

その後、詳しい人に聞いてある程度わかった。アイフォンのQobuz アプリからの再生はイヤフォンではハイレゾ音源ならハイレゾ音質で再生されるが、LINNのネットワークプレーヤーではAir Playでの 再生となりCD音質だ。Kazooアプリからならハイレゾ再生に間違いないが、LINNはKazooのアップ・デートは終了しているので、LINNアプリからのQobuz 再生を推奨している。とここまではわかってもLINNアプリ操作の仕方はまだ習得できず、四苦八苦の再生だ。 

と、こんなことをあれこれやっていると、時間があっという間に過ぎてしまい忙しい。時々思うことがある。現役時代、どうして会社に行って働く時間があったんだろう? 毎日が日曜日の68歳リタイア人生、お陰様で決して暇ではない。

文/斎藤好一

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