800社以上の働き方改革を支援するクロスリバー代表取締役の越川慎司さん。クライアント企業で成果を上げている優秀な社員の行動分析をもとに、仕事のタイパを上げる秘訣を1冊にまとめた「最速で結果を出す超タイパ仕事術」が話題となっている。コミュニケーションやキャリアアップまで幅広いテーマを取り上げる本書の中から会議を見直すポイントについて、ピックアップして紹介したい。
会議の後に依頼されることの多い議事録の作成。越川さんの調査からもわかるように必要以上に時間を費やしがちだ。そこで役立つのはビデオ会議ツールと生成AI。活用すれば短時間で済ませられるようになる。以下の方法を実践し、会議後の時間も有効に使えるようにしよう。
議事録を実際に閲覧するのは会議招集者の5%未満
6年以上にわたって会議の無駄を省く研究を続けた中で、越川さんが発見したのは「議事録の無駄」だ。現在、1時間の会議につき平均2.1時間をかけて議事録を作成しているという。しかし、実際に閲覧されるのは会議招集者の5%未満。見ない議事録を作成するのは時間の無駄であり、189社で「議事録ダイエット」を試みたという。そもそも「議事録」が本当に必要であるのかは疑問であり、例えば、オンライン会議の録画を確認するルールにすることで、議事録自体を作らなくてよくなる。
また「リアルタイム議事録」に取り組んだ企業は、議事録の作成時間を30%以下に減少させることができた。会議中に「OneNote」や「Slack」などで議事録を作成し、そのURLを参加者に共有するのがポイント。会議の進行とともに議事録が作成され、途中で参加した人でも会議の流れを理解できるようになるのだ。そして会議終了の5分前に、全員でURLをクリックし、作成された議事録を確認。修正や訂正があれば、その場で共同編集することで、あとで回覧する必要がなくなるわけだ。
すでに「Zoom」や「Microsoft Teams」などには、発言者の話を文字起こし(字幕作成)できる機能が備わっている。その精度は7割程度であり、生成AI「ChatGPT」に読み込ませるといいだろう。以下のようなプロンプト(指示内容)を活用すれば、瞬時に要点をまとめてくれる。間違いを訂正するだけで時間が奪われることはないのだ。
ビデオ会議の録音機能を使う際には、あらかじめ設定画面でオンにしておく、もしくはビデオ会議が始まったらオンにしよう。録音先をクラウドに設定することで、会議後に参加メンバーへ共有するのもラクだ。
上記のプロンプトを活用することで、ChatGPTが会議の要点を瞬時にまとめてくれる。最終的に人間がチェックする必要はあるが、文字起こしの修正をするよりも圧倒的にタイパが高い。
優秀な社員の行動分析から導き出した業務の無駄について、データをもとに解説。仕事の無駄を省くための考え方から、タイパを高めるための実践方法まで紹介している。個人だけでなく組織の業務効率を上げる秘訣も満載。
「最速で結果を出す超タイパ仕事術」
著:越川慎司