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中小企業の2社に1社は人手不足、うち9割が「人手不足で事業に影響」

2024.10.27

今回の人手不足についての調査では、半数以上の中小企業が人手不足を感じており、そのうちの約9割が事業にマイナスの影響を受けていることがわかった。

GreenとDigitalを活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業の経営者851人に「中小企業経営に関する実態調査 」を実施。結果をグラフと図表にまとめて発表した。

中小企業の2社に1社は人手不足と回答

Q1. 貴社では現在人手は十分に足りていますか。(N=851)

現在の人手不足の状況に関して、「とても不足している」と回答した企業は10.2%、「やや不足している」と回答した企業は44.1%となり、約半数以上の中小企業が人手不足を感じていることがわかった。

一方、「あまり不足していない」と回答した企業は28.8%、「全く不足していない」と回答した企業は16.9%という結果に。全体の54.3%が何らかの形で人手不足を感じており、特に「とても不足している」と回答した企業も10.2%に達している。

Q2. 前問で人手が不足していると回答した方に伺います。いつから不足していると感じますか。(N=462)

いつから人手が不足しているかについての設問では、「コロナ以前から恒常的に不足している」と回答した企業は60.4%で最も多く、次いで「コロナ後から不足を感じている」と回答した企業が31.6%、そして「コロナ禍から不足している」と回答した企業は8.0%だった。

人手不足を感じている企業のうち、過半数以上が「コロナ以前から恒常的に不足している」と回答しており、人手不足は新型コロナウイルスの影響だけでなく、長期的な課題であることが推察できる。

一方で、コロナ後に不足を感じ始めた企業も一定数存在しており、パンデミック後の労働環境の変化も人手不足に影響を与えていることが示唆されている。

Q3. Q1.で人手が不足していると回答した方に伺います。特に人手が不足している職種を教えてください(N=462)

人手が不足している職種について、「現場作業員」が最も多く、42.4%が不足していると回答した。次いで「技術職(SE・エンジニア)」が18.8%、「営業」が16.2%となった。

「バックオフィス・事務・アシスタント」は9.6%、「販売・サービス職」が6.8%と続き、「経営層」の不足を感じている企業はわずか0.7%だった。最も多く回答された「現場作業員」が不足している企業は、「建設業」が中心。人手不足が最も深刻な職種は「現場作業員」で、企業の現場作業に大きな影響を与えていることがわかる。

また、技術職や営業職においても人手不足が生じていることから、専門職や顧客対応における業務も影響を受けていることが考えられる。

Q4. Q1.で人手が不足していると回答した方に伺います。人手不足による貴社の事業への影響はありますか(N=462)

人手不足による事業への影響に関して、「とても影響がある」と回答した企業は30.7%、「やや影響がある」と回答した企業は57.1%となり、約9割の企業が人手不足により何らかの影響を受けていることが判明。

一方で、「あまり影響はない」と回答した企業は11.5%、「全く影響はない」と回答した企業は0.6%に留まっている。 「影響がある」と答えた人の割合が合わせて約9割にのぼる結果から、人手不足は多くの中小企業にとって深刻な問題となっており、 企業運営に重大な影響を与えていることがわかる。

人手不足でマイナスの影響を受けている中小企業の約9割が対策を検討、または実施中

Q5. 貴社では人手不足への具体的な対策を実施していますか。(N=851)

人手不足への対策に関して、「実施している」と回答した企業は34.2%、「実施していないが検討している」と回答した企業は29.1%だった。

さらに、人手不足でマイナスの影響がある企業のみに限ると、 「実施している」が52.2%、「実施していないが検討している」が37.9%となり、合わせて90.1%が具体的な対策を実施または検討しているという結果が得られた。

このことから、人手不足による事業への影響は中小企業にとっては重大な課題であり、マイナスの影響を感じている企業のほとんどが対策に向けた動きを取っていることが明らかになった。

Q6. 人手不足の解消に必要だと思う取り組みと、貴社で既に実施している取り組みをそれぞれ教えてください。(N=851、複数回答可)

人手不足の解消に必要だと思う取り組みについて、「求人・採用の強化」と回答した企業が41.7%で最も多い結果となった。次いで「給与水準や福利厚生の見直し」が38.7%、「労働環境の見直し」が33.6%、「DXによる業務効率化・少人化」が28.8%となっている。

また、人手不足の解消のために既に実施している取り組みについて、「給与水準や福利厚生の見直し」を実施している企業が28.2% で最も多く、次に「求人・採用の強化」が28.0%、 「労働環境の見直し」が26.8%。上位3つに関しては、必要だと思う取り組みとすでに実施している取り組みで概ね同様の傾向となった。

一方、「国や自治体の支援の活用」に関しては、必要だと思っている企業が16.6%に対して、既に実施している企業が4.0%と極端に少なく、対策したいものの、現状は取り組むことができていないようだ。

Q7. 人手不足への対策による貴社での効果を教えてください。(N=291)

人手不足への対策の効果についての設問では、 「十分に効果を感じている」と回答した企業は9.6% 、「やや効果を感じている」と回答した企業は40.2%で、合わせると49.8%の企業が効果を感じていることがわかった。

「あまり効果を感じていない」と回答した企業は39.5%、「全く効果を感じていない」と回答した企業は10.7%だった。

人手不足に対する対策を実施している企業の2社に1社は効果を感じているものの、「やや効果を感じている」や「あまり効果を感じていない」がそれぞれ4割近い結果となっている。この結果から、対策を実施すれば効果が必ず出るとは言えず、対策の方法は自社で見極め、検討して取り組む必要がある。

Q8. 貴社で求人・採用の強化にあたり、自社の魅力付けのために行っていることはありますか。 (N=851)

求人・採用の強化にあたり自社の魅力付けのために行っていることについては、「福利厚生の充実」を行なっている企業が30.7%で最も多く、次いで「SNS運用」が22.2%、「第三者認証(DXマーク、健康経営優良法人、くるみんマークなど)の取得」が13.5%という結果が得られた。

2024年問題は5割の企業が「影響なし」と回答

Q9. 貴社での「2024年問題」による事業への影響はありましたか。

人手不足に関連して、2024年問題の影響を受ける「運輸業、郵便業」、「建設業」の企業に、2024年問題による事業への影響を聞いたところ、「特に影響はない」と回答した企業が53.8%で最も多く、「人手不足がより深刻化した」と回答した企業は26.3%、「売上・利益が減少した」と回答した企業は22.4%となった。

「その他」は5.8%、そして「離職率が高くなった」と回答した企業はわずか1.3%だった。

2024年問題による影響を受けている企業は一部に留まり、大半の企業(53.8%)は「特に影響はない」と回答している。しかし、「人手不足がより深刻化した」や「売上・利益が減少した」といった事業運営への具体的な影響を感じている企業も一定数存在し、働き方改革の影響を受けている業界もあることが示された。

今後、この問題に対する対策がさらに重要になる可能性がある。

Q10. 「2024年問題」への対応について、貴社で既に取り組んでいるものと、これから取り組む予定のものをそれぞれ教えてください。

「2024年問題」への対応に関して、既に取り組んでいる対応としては、「労働時間の管理」が最も多く、46.8%が回答した。次いで「給与や保険など労務環境の見直し」が31.4%、「経費削減などの資金繰り改善」が30.1%、「人材採用の強化」が28.8%となった。また、「適切な工期の見直し」は28.2%、 「IT活用・DX推進による業務効率化」は25.6%の企業が既に実施していることがわかった。

これから取り組む予定の対応としては、「人材採用の強化」が最も多く、32.7%が計画している。次いで「労働時間の管理」が28.2%、「給与や保険など労務環境の見直し」が26.3%だ。「経費削減などの資金繰り改善」は21.2%、「IT活用・DX推進による業務効率化」は19.2%が回答。「当てはまるものはない」と回答した企業は28.8%という結果となった。

「労働時間の管理」に既に取り組んでいる企業が他の対応と比較して突出して多いことは、2024年4月から適用される時間外労働の上限規制への対応ということが推察できる。

また、「人材採用の強化」や「労務環境の見直し」などにより従業員の定着を図る中小企業が多いことが見受けられ、2024年問題対応のポイントとなることが考えられる。

一方、約3割の企業は今後特に新たな取り組みを予定していないことも示されており、今後2024年問題の影響が深刻化する場合にはさらなる推進が求められる。

社会全体として「人手不足」が進む中、Q1やQ4の設問では、約半数の企業が人手不足であり、またほとんどの企業が人手不足が事業に影響があると回答するなど、多くの中小企業にとって深刻な問題となっており、企業運営に重大な影響を与えていることがわかった。

また、Q5では、人手不足でマイナスの影響を受けている中小企業の約9割が対策を検討・実施中など、前向きに動いていることも判明。その一方、対策の実施による効果を感じていない企業が約半数であることもQ7でわかっており、対策の方法は自社で見極め、検討して取り組む必要があるといえる。

Q9,Q10では「2024年問題」について取り上げたところ、実態として影響がないという中小企業が6割を占めたが、今後の深刻化に備えて従業員定着に向けた対策や、対応実施への推進は今後も行なう必要がある。

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