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変化が激しく、先行きが不透明な現代社会は『ブーカの時代(VUCA時代)』と呼ばれることがあります。
ビジネスシーンでは特に重要な概念なので、言葉の定義や使い方とともに、企業がすべき取り組みや、個人に求められるスキルについて知っておきましょう。
ブーカの時代(VUCA時代)とは?
VUCA(ブーカ)とは、変化が激しく予測困難な時代を指す概念で、とりわけビジネスシーンで大きな意味を持つ言葉として広まっています。まずは『VUCA』の意味を正しく理解しましょう。
■VUCA(ブーカ)の定義
VUCA(ブーカ)とは、『Volatility(変動性)』『Uncertainty(不確実性)』『Complexity(複雑性)』『Ambiguity(曖昧性)』の頭文字を取った造語です。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を指します。これは、従来の常識や経験則が通用しにくい状況を表現する言葉です。
具体例として、IT技術の進化に伴う営業スタイルの変化があります。さらに、コロナ禍によりテレワークが急速に普及したことも、私たちの生活や仕事環境が一変する例として挙げられます。このように、VUCAの要素が複雑に絡み合う現代社会では、企業や個人には柔軟な対応力と迅速な意思決定が求められています。
■Volatility(変動性)
Volatility(変動性)は社会や経済の急激な変化を指し、従来の予測モデルが通用しなくなる状況を意味します。変動の激しい環境では、企業は他社に先駆けた迅速な意思決定と、俊敏な行動が必要です。
一方で変動性は脅威でもありますが、新たな機会も生み出します。例えば、コロナ禍でのテレワーク需要の急増は、Zoomをはじめとした企業に大きなチャンスをもたらしました。変化を恐れず、柔軟に対応する姿勢が、ブーカの時代を生き抜く鍵の一つです。
■Uncertainty(不確実性)
Uncertainty(不確実性)は、将来の予測が困難な状況を指し、企業や個人に大きな影響を与えるものです。例えば、AI(人工知能)の急速な発展により、多くの職業がAIに取って代わられると指摘されているのは、多くの人が知っているでしょう。
このような不確実性の高い環境下では、従来の経験則や常識が通用しなくなります。不確実性に対応するには、多様なシナリオを想定し、リスクを分散させる戦略が効果的です。
■Complexity(複雑性)
Complexity(複雑性)は、社会を構成する要素が複雑に絡み合うことを意味します。グローバル化が進む現代では、国家間の経済政策が相互に影響を及ぼし、予測が難しい事態が発生することがあります。
また、環境問題や食糧問題など、国際的に協力しなければ解決できない課題も増加しています。複雑性に対応するには、情報収集・分析能力の強化が必要です。加えて、フラットで柔軟な組織体制が求められます。
■Ambiguity(曖昧性)
Ambiguity(曖昧性)は状況の解釈が多様で、明確な答えが存在しない状態を指します。ビジネスシーンで直面する課題は、明確な答えが決まっていないケースが多くありますが、近年はさらに曖昧性が増している状況です。
曖昧な環境下では、固定観念に囚われない柔軟な発想が求められます。多様な視点を重視するとともに、不確実な状況を恐れず積極的に挑戦する姿勢が必要です。状況の変化に素早く対応し、試行錯誤を繰り返すことで、市場における競争優位の確立につながります。
ブーカの時代の特徴とは?
ブーカの時代は以下のように、想定が難しい出来事が多く発生したり、革新的な製品・サービスが登場したりなど、多くの特徴があります。
どのような事態が起こり得るか知っておき、組織としてだけではなく、個人としても対策を立てられるようにしましょう。
■想定が困難な事態が頻発する可能性がある
ブーカの時代には、想定外の出来事が頻繁に起こる可能性があります。企業にとってチャンスといえる状況が訪れる可能性もありますが、マイナスの出来事が多発する場合もあるでしょう。
地政学的リスクや気候変動による自然災害の増加など、従来の常識では対応しきれない事態が発生する可能性もあります。
こういった予測困難な環境下では、柔軟な対応力と迅速な意思決定が求められます。過去の成功体験に固執せず、常に新しい情報を収集し、変化に適応する姿勢が重要です。
■革新的な製品・サービスが登場しやすい
革新的な製品やサービスが次々と登場しやすいのも、ブーカの時代の特徴です。
例えば、メルカリは従来の中古品売買の枠を超え、スマートフォンひとつで簡単に個人間取引ができるサービスを提供しています。また、スマートフォン決済アプリのPayPayは、日本のキャッシュレス決済市場を急速に拡大させました。
これらは既存の業界の枠を超えた、新たな価値の創造が可能であることを示した事例です。ブーカの時代では、従来の常識に囚われない柔軟な発想と、急速に変化する市場ニーズへの迅速な対応が、多くの企業に求められています。
■従来の考え方が時代遅れになる可能性も
ブーカの時代には、これまでの常識や価値観が通用しなくなる可能性があります。事実、これまで人間の手で担ってきた単純作業が、AIや機械に取って代わられているのが現状です。従来のビジネスモデルの中にも、限界を迎えつつあるものが少なくありません。
予測困難な事態が頻発する状況において、柔軟性に欠ける従来型の経営手法では、対応が難しくなってきています。積極的に新しい考え方や技術を取り入れ、変化に対応できる組織作りが必要です。
ブーカの時代の企業に求められる取り組み
ブーカの時代を生き抜くためには、組織全体の変革が不可欠です。急速に変化する環境に適応し、競争力を維持するためには、以下の取り組みが求められます。
■DXの推進と効果的な活用
ブーカの時代において、DXの推進は企業の生存戦略としても不可欠な要素です。
DXは単なる技術の導入ではなく、組織全体の変革を意味します。デジタル技術をうまく活用し、経営に必要な情報を効率的に収集するとともに、精度の高い意思決定を積み重ねることが大事です。
一方で、DXの推進にはサイバーセキュリティ対策も欠かせません。外部からのサイバー攻撃や内部からの情報漏洩を防ぎつつ、効率的にデータを収集・運用できる環境の構築が求められます。
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■アジャイル経営の推進
アジャイル経営とは、環境の変化に柔軟に対応できる組織づくりを指します。例えば、大手自動車メーカーが、従来の年間計画から四半期ごとの戦略見直しに移行し、市場ニーズに迅速に対応した事例が有名です。
ブーカの時代には、変化に素早く対応できる経営基盤を整える必要があります。さらに部門間の壁を取り払い、情報共有や連携を強化することで、組織全体のシナジー効果を高めることも重要です。
ソフトウエア開発の分野において、『アジャイル』という言葉はよく聞かれます。エンジニアにとってはなじみの深い言葉ですが、IT分野に詳しくなければ意味が分からない人...