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出戻り転職とは、「以前辞めた会社に再度入社すること」を指す言葉です。退職したものの、「やはり前職に戻りたいが難しいだろうか」などと悩んでしまうこともあるでしょう。
この記事では、出戻り転職の基礎知識やメリット・デメリット、歓迎される人・会社の特徴などを解説します。さらに実際転職活動する場合のポイントも解説するため、あわせて確認しておきましょう。
転職における出戻りとは?簡単に基礎知識を解説
出戻りという単語は、転職時にも用いられます。はじめに、転職における出戻りとは何を意味するのかなど、基礎知識から簡単に確認しておきましょう。
出戻り転職を検討する際は「戻りたいけれど難しいだろうか」と不安になりがちです。しかし、近年は出戻り転職が増えているといわれています。なぜ増加傾向にあるのか、また出戻りたいと後悔しやすいのはどのようなケースか、退職後の期間による違いなども解説します。
■意味は以前辞めた会社に再度入社すること
転職における出戻りとは、「以前辞めた会社に再度入社し直すこと」です。
転職や独立などを目的として勤めていた会社を辞め、新しい仕事場にいったものの、「前の職場のほうが働きやすかった」と感じてしまうことがあります。このような場合に、あらためて以前の職場に再入社して働くことを出戻り転職と呼びます。また、育児や介護のために仕事が続けられないなどの事情で退社し、ある程度落ち着いてから同じ職場に戻ってくる場合も、出戻り転職の一種です。
出戻り転職は、「カムバック採用」「アルムナイ採用」「ジョブリターン」などとも呼ばれています。なお、「アルムナイ(alumni)」とは「学校の同窓生」「卒業生」のことです。
■出戻り転職が増えている理由
近年では出戻り転職が増えているといわれています。出戻り転職を歓迎する企業が増えた理由は、以下のとおりです。
・即戦力として活躍してもらえる可能性が高いこと
・入社後のミスマッチが起きにくいこと
・求職者の人となりを知っていること
・労働人口減少にともない、採用活動が難しくなったこと
・採用コストを抑えられること
また、働く人自身の意識変化も、出戻り転職が増えている理由のひとつです。雇用に対する意識が変化したことで、以前よりも転職自体が身近なものになりました。
■出戻りたいと後悔しやすいケース
退社後、出戻りたいと後悔しやすいのは以下のようなケースです。
・働いていた会社の良いところが見えていなかった
・辞めること自体が転職の目的になっていた
・転職先の情報収集が甘かった
・転職先にまだ慣れていないため、不安になっている
働いているときは悪い点ばかりに目がいってしまって、良いところが見えていないまま転職するケースがあります。不満に思う理由を整理できておらず、辞めること自体が転職の目的になると、次の職場でも不満を解消できないままになってしまう可能性が高まってしまうでしょう。
■すぐ・半年・2年など退職後の期間による違い
出戻り転職は、退職してから出戻りするまでどれほどの期間があくかによっても違いがあります。
退職してからあまりにもすぐに出戻りを希望するのは「早すぎる」と感じられる場合もあるかもしれません。焦りすぎるよりも、ある程度じっくりと自分がどのような職場を求めているのかを検討してみてもいいでしょう。
一方で、2年・5年など離職してから時間が経てば経つほど、従業員の顔ぶれや仕事の進め方が大きく変化している可能性があります。
基本的に、退職してからそれほど時間が経たないほうが社風や仕事の進め方がそれほど変わらず、仕事の感覚は掴みやすいです。従業員の顔ぶれが大きく変化しにくいため、人間関係も再構築しやすいと考えられます。
出戻りするまでの期間が半年・1年以内であれば比較的受け入れられやすく、入社後のギャップも少ないでしょう。
出戻り転職のメリット・デメリット
出戻り転職には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<メリット>
・即戦力として成果を出しやすい
・入社後のミスマッチが起きにくい
・職場に溶け込みやすい
・他社で得た経験やスキルをいかせる
・選考を短縮できる可能性がある
<デメリット>
・前回と同じ不満を感じる可能性がある
・前回と雇用条件が異なる可能性がある
・二度目の退職がしにくくなる
・歓迎しない人がいるかもしれない
どのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ詳しく確認していきましょう。
■出戻り転職のメリット
出戻り転職のメリットは以下のとおりです。
もともと働いていた経験があるため、入社後にスキルやノウハウをいかして即戦力として成果を出しやすいです。また、事前にどのような会社なのかを理解できており、「こんなはずではなかった」と感じるような入社後のミスマッチが起きにくいといえます。
企業文化や社風への理解があり、顔なじみの社員がいるような状態で入社するため、職場に溶け込みやすいのもメリットです。転職によって得た経験やスキル、気付きをいかせる可能性もあるでしょう。
また、会社によって対応が異なるものの、選考プロセスを短縮できるケースもあります。
■出戻り転職のデメリット
一方で、デメリットもあります。
一度は辞めたということは、その職場になんらかの不満があったなどの理由があるでしょう。その原因が改善されていない場合には、前回と同じ不満を感じて退職したくなる可能性があります。
退職前とは雇用条件や労働環境が異なる可能性があることにも注意が必要です。会社として出戻り転職者を歓迎していても、従業員のなかに出戻り転職者を歓迎しない人がいる可能性もあります。
また、これらのデメリットによって働きにくく感じても、一度戻ってきた以上は二度目の退職がしにくくなるかもしれません。
出戻り転職で歓迎されるには?人と会社の特徴
出戻り転職をする際、歓迎されやすい人と失敗しやすい人がいます。さらに、会社によっても歓迎されやすいところと、そうでないところがあるものです。
出戻り転職をする際に歓迎されやすいのがどのような人・会社なのか、また出戻り転職で失敗しやすいのはどのような人なのか、それぞれの特徴をご紹介します。
■出戻り転職が歓迎されやすい人の特徴
歓迎されやすい人の特徴は、以下のとおりです。
・在籍時に成果を出していた
・在籍時の人間関係が良好
・離職後も在籍時に関係があった人と交流が続いている
・円満退社だった
・転職理由の根拠が明確だった
在籍時に周りからの評価が高かった人は、出戻り転職の際に歓迎されやすいです。周りとの関係が良好で退職後も友好的な関係が続いている人も、出戻り転職を成功させる可能性を上げられます。出戻り転職をする前に組織の現状を確認できるうえ、採用担当者が出戻り転職者に関する印象を周りの人にヒアリングした際、ポジティブな反応をしてもらいやすいためです。
退職時にトラブルがなかったことも、歓迎されやすい人の特徴です。出産や子育てなど明確な転職理由があった場合も、周りから受け入れてもらいやすくなるでしょう。
■出戻り転職で失敗しやすい人の特徴
一方で、出戻り転職で失敗しやすい人の特徴は以下のとおりです。
・在籍時に周りからの人望が薄かった
・在籍時に一定以上の成果を出せなかった
・在籍時にトラブルがあった
・円満退社ではなかった
・在職時、短期間で辞めた
在籍時に周りとの人間関係が良好ではなかった人は、書類選考や面接の際に落とされてしまいやすいです。在籍時に成果を出せなかったり、勤務態度が極端に悪かったなどのトラブルがあったりした人も、出戻り転職で失敗しやすいでしょう。在職時に短期間で辞めていた場合には、即戦力になりにくいこと、またすぐに辞めてしまうかもしれないと思われるなどの理由で採用を見送られる可能性があります。
■出戻り転職がしやすい会社の特徴
出戻りやすい会社の特徴は、以下のとおりです。
・慢性的に人手不足である
・すでに出戻り社員を受け入れた前例がある
・退職後に出戻り転職のオファーを受けた
・戦略的にアルムナイ採用を実施している
いつも人手が足りていない会社は、出戻り転職を歓迎しやすいです。すでに出戻り社員を受け入れた前例があったり、退職者に対して出戻り転職のオファーがあったり、退職者にコンタクトを取り続けていたりするような会社も、出戻りしやすいといえるでしょう。