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俳優、経営者、抗老化学の研究者、いとうまい子さんに聞く学び続ける「心のあり方」

2024.09.20

1983年にアイドルデビュー以降、タレント、俳優としてキャリアを重ねてきた、いとうまい子さん。彼女は45歳のときに早稲田大学人間科学部eスクールへ入学し、4年で卒業。「気がつけば、入学から15年間、学問と研究の道を歩いています」と言ういとうさんのインタビュー後編です。前編では大学入学から博士課程進学の経緯について紹介しました。ここでは、現在の研究と、勉強を続ける「心のあり方」を伺います。

前編はこちら

いとうまい子
俳優、研究者、経営者。1983年にデビュー後、ドラマや映画、バラエティ番組に出演中。2010年 早稲田大学入学、2014年卒業。修士課程では「ロコモティブシンドローム」予防のための高齢者に役立つ医療・福祉ロボットの研究・開発を行う。博士課程に進み、基礎老化学を研究。「食品成分におけるカロリー制限模倣物質の探索」で東大との共同研究を経て、現在は早稲田大学大学院に研究生として所属し、抗老化学を研究中。2021年内閣府の教育未来創造会議の構成員に選任され、子供の教育の未来について提言する。2025年4月からiU 情報経営イノベーション専門職大学の正教授に就任。

学べば学ぶほど知識が深まり、楽しくてたまらない毎日

――「世の中全体への恩返しをしたい」と予防医学を学ぶために大学に入学してからの歩みを改めて振り返ります。いとうさんは、49歳で大学を卒業し、早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程でロボットを研究。51歳で進学した博士課程では基礎老化学を専攻します。修士から博士で専門を変える研究者は少数派です。

いとうまい子さん(以下・いとう):私が研究分野を変えたのは、ロボットを研究できる博士課程の研究室がなかったからなのです。ですから、博士への進学は悩みましたが、「老いや病気への対策方法を研究したい」という軸は変わらず私の中心にありました。

それなら、修士課程の2年間で学んだ基礎老化学を、博士課程で学べないかな、と担当教授に相談すると、「いいですよ」と返事をいただきました。

ただ、専門分野を変えるには、審査の場である教授会をパスしなくてはなりません。それまで、ロボットを研究していた学生が、今度は細胞を使って研究をするのですから、当然、懐疑的な目で見られます。教授会には私も出席するのですが、そこで他の教授から「知識も経験もないのだから、できるはずがない」と追及されました。

でも、私は修士の2年間で、基礎老化学をしっかりと学んでいたので、教授たちの質問に答えることができました。結果、専門分野の変更を認めてもらえて、博士課程へと進んだのです。

大学院修士課程を卒業。大隈重信像前で晴れやかな顔のいとうさん

それができたのは、大学に入ってから、学べば学ぶほど知識が深まっていき、楽しくてたまらない毎日を過ごしていたからだと思います。学ぶというのは、「何も知らない自分」に直面し続けることでもあります。「わかった気になっていること」と、物事の本質を探究し続けることは全く違います。

学ぶうちに、考え方が変わり、見える景色も変わります。多くの扉が開き、出会う人も変わってくるのです。そうすると、ますます学びたくなる。経験を積めば、周りからいただいたきっかけに、柔軟に乗ることもできますしね。

「好きなこと」よりも「得意なこと」を

現在は、博士課程に在籍中で、老化学の研究をしています。仕事をしながら、週に3~4日は研究室に行き、培養中の細胞の様子を見ています。これがとても楽しく、夢中になります。前編で、私は「好きなことよりも、得意なことを深める」ことが、今の私につながっているというお話をしました。それを感じたのは、仕事で出会う人に私の研究内容を話すと、驚かれることが多かったから。

私の研究は「老化予防や肥満防止につながる食品に含まれる化合物を探すこと」です。それを探り当てるためには、細胞を培養して、試薬を添加し、その中の数値を測って記録するという実験を何千回も繰り返します。そのことをお話しすると、みなさんびっくりする。でも、私も周囲の研究者も、この実験が苦にならない。得意だから集中して続けてしまうのです。

研究室で細胞培養を実験中のいとうさん 

10年近く、研究を続けてきて「得意なことは裏切らない」としみじみと思います。「得意」だったり「苦にならない」という視点から、ご自身の学びの対象、仕事の領域を考えてみると、きっといいヒントがあるはずです。

「憧れのあの人のようになりたい」と努力するよりも、得意なことを追求したほうが、結果が早いです。絵、音楽、手芸、ボランティア、人を集めること、事務作業……たくさんの〝得意〟があるはず。幼い頃や学生時代の自分を思い出して、何が得意だったかを考え、そこに特化をしてみてください。

そこまで言うのは、私がかつて大竹しのぶさんに憧れ、大竹さんのような俳優になろうとしていたから(笑)。でも、すぐに諦め「いとうまい子」として仕事を続けたから今があります。得意なことを強みにすると、未来は変わっていくと思います。

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