将来性:キャタピラーとコマツ、未来への展望
両社ともに、将来性において明るい展望が広がっています。
実際、2022年の世界の建設機械市場規模は約1,423億9千万ドルと評価されました。そして、2023年には1,516億ドルに達し、2030年までには約2,376億6千万ドルに成長すると予測されています。この成長率(CAGR: 年平均成長率)は、2023年から2030年の間で6.6%と見込まれています。つまり、今後7年間で建設機械の市場は年平均6.6%のペースで拡大していくと予想されているということです。
【キャタピラーの将来性】
キャタピラーは、特に北米市場での強力なシェアとグローバル展開力を活かし、今後も成長を続ける見込みです。自動化技術やAIによる効率化が進む中で、業界全体のリーダーとしての地位をさらに強固にするでしょう。特に、アフターサービス事業の成長は、長期的な収益基盤の強化に繋がるため、顧客との関係を深め、安定したビジネスモデルを構築しています。また、環境への早期対応により、持続可能なエネルギー市場でも有利な立場を築くと考えられます。
【コマツの将来性】
コマツは、アジア市場での軸足を変化させています。
近年は中央アジアでの鉱山機械事業を強化し、地域内の顧客に製品供給を円滑に行うため、カザフスタンに新たな在庫拠点を設立しました。中央アジアには、電気自動車(EV)のバッテリーに必要とされるニッケルやリチウムの鉱山が多く存在しており、中国が生産をリードしているレアメタル(希少金属)の新しい採掘地として注目されています。コマツは、ロシアでの事業規模を縮小する一方で、脱中国の動きに伴い需要が高まる中央アジアへ事業の軸足を移し、戦略的な展開を進めています。
おわりに 異なる強みを活かす2社の未来
キャタピラーとコマツは、異なる強みと戦略を持ちながら、建設機械業界でのリーダーシップを維持しています。将来性に関しても、キャタピラーは北米市場を中心としたグローバル展開と環境対応のリーダーシップを発揮し、コマツはアジア市場での技術力とDXを活用した成長戦略で競争力を高めるでしょう。
両社ともに、持続可能な未来に向けて、さらに革新的な技術と戦略を展開し、次世代の建設機械業界をリードしていくことが考えられます。
【参考記事】
https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/業界-レポート/建設機械市場-100521#
https://www.komatsu.jp/ja
https://www.caterpillar.com/ja/company.html
文/鈴木林太郎