3位 医療業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.78件
美容外科や医療脱毛、歯科矯正など、自由診療の美容医療に関するネット上での悪評・クレーム数が多くなっていた。
悪評・クレームの内容は、予約に関するものが一番多く、予約したにもかかわらず診療を待たされたことや、医療脱毛の予約が取れないことに不満が多いようだ。
また、近年は競合他社との競争が激しく価格競争も厳しいことから、突然営業停止になり料金が返金されないことや、契約時に受けた説明と同じ施術を受けられないといったトラブルから悪評が発生していた。
これらの業態は、長期間通うことも多く保険適用外であれば費用も高額となるため、事前にネット上の評判や信用情報をチェックしてから契約をすることがリスク回避のためには必要そうだ。
〈医療業の悪評・クレーム頻出単語〉
4位 各種商品小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.4件
百貨店や総合スーパーの接客サービスについて悪評が書き込まれていた。贈答品や高価な嗜好品を求めて来店している傾向があり、通常の店舗よりも店員の対応力や品ぞろえを求めている口コミが多くなっている。
昨今は、これらの企業もネットを通じた非対面での販売に力を入れているが、商品の発送の遅さや梱包状態に対してのクレームも多い。
また、地方の地域密着型の企業においては、テナントの空きや店員の活気の無い態度、雇用調整助成金の不正受給について不満に思う投稿が散見されており、地元企業に対して活力や信頼性を求める人が多いと考えられる。
〈各種商品小売業の悪評・クレーム頻出単語〉
5位 鉄道業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.14件
電車やバスの遅延に関する不満の他に、駅員の態度やオンラインサービスの利便性の悪さにクレームが発生していた。クレームの特徴としては、不満を述べるだけでなくサービスについて改善を求める声が多い。
公共交通機関として、社会を支えるインフラの側面もあるため、クレームをネットに書き込む人も、継続的に利用することを踏まえて改善を求めていると考えられる。
また、昨今はインバウンドが増加していることから外国人からの不満投稿も見受けられた。これらは発達した翻訳技術により世界中の人が見ることができ、企業の評判を下げることに繋がるため、今後鉄道業は適切な外国人対応も求められそうだ。
〈鉄道業の悪評・クレーム頻出単語〉
考察
まず今回の調査でわかったことは、小売業を営む企業に対し発送に関する不満が多く上がっていること。2024年の上限が960時間に制限されたが、これによるドライバー不足の発生、いわゆる「2024年問題」が発生している可能性がある。
また、これまでの調査と比べ、対面でサービスを提供する店舗販売やホテル、飲食店に対してのクレームが増加していた。
このことから、対面サービスを提供する業界がコロナ禍以前の状態に戻っていることがわかるが、顧客はコロナ禍で普及したオンラインサービスと比較して、対面サービスへの価値を改めて意識するようになり、接客態度や商品知識、施設の清潔感など、従来以上に期待値が高くなっている可能性がある。
対面サービスを提供する業界では、需要の増加に対して人手不足の問題等で多様化する顧客ニーズに対応しきれていないことから、不満が蓄積した顧客からの多くの悪評・クレームが発生していると考えられる。
その他の悪評・クレームの内容を詳しくみると、老朽化したまま放置された施設への不満や、契約内容を改悪されたことへの不満など、企業の設備投資余力や業績が悪化を示唆するものが見受けられた。
こういった悪評・クレームは、現状の企業の様子をリアルタイムで把握できるため、自社の改善に活用できる。
また、自社のレピュテーションマネジメントのためだけでなく、取引先の経営状況をタイムリーに把握することにも活用できるため、取引先が絡んだ自社への損失リスクを未然に防ぐことが可能となる。
今後企業は、これまで以上にインターネット上の悪評・クレームを活用した経営の舵取りが必要になりそうだ。
調査概要
調査期間:2024年1月1日~2024年6月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしており業種登録がされていた10,750社
対象データ:インターネット上に投稿された口コミのうち、アラームボックスが「悪評・クレーム」と分類したもの
関連情報
https://alarmbox.jp/
構成/Ara