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お月見の風習は中秋の名月だけでなく、『十三夜』の日にも行う地域があります。日本独自の風習である十三夜について、意味や由来を紹介します。時期やお供え物についても知り、風習に倣って季節の行事を堪能してみませんか?
十三夜とは
中秋の名月と呼ばれる十五夜は、中国の行事が由来となっています。それに対して、十三夜は日本独自の風習です。どのような由来や意味が込められた風習なのでしょうか?
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意味や由来
十三夜の始まりについては諸説あり、明確ではありません。主流になっている説は、後醍醐天皇のお月見です。平安時代に書かれた『躬恒集(みつねしゅう)』には、後醍醐天皇が十三夜に当たる日に、月見をするための宴を開催したとあります。
また、平安時代後期に書かれた『中右記(ちゅううき)』には、宇多天皇が十三夜に当たる日に月見の宴を開催したという記述もあります。
十三夜の意味も十五夜と同様に、先祖や親しかった故人をしのび供養をして、五穀豊穣を祝い収穫に感謝することです。
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別名で呼ばれることも
地域により、十三夜の呼び方が異なる場合があります。定番のお供え物が、サツマイモなどの芋類であることから、『芋名月』と呼ばれることも多いです。また、秋が旬の栗や豆の収穫を祝ったり供えたりすることから、『栗名月』や『豆名月』とも呼ばれています。
十五夜の後にあるため、『後の月』と呼ぶこともあります。十三夜の日に小麦の豊作を占う習慣がある地域では、『小麦の名月』と呼んでいるそうです。
さまざまな呼び名で親しまれていたことから、かつては地域になじんだ行事であったことがうかがえます。
片見月は縁起が悪い?
十五夜と十三夜のどちらかしか月見をしないことを『片見月』もしくは『方月見』といい、縁起が悪いとされていました。
十五夜と十三夜を合わせて『二夜の月(ふたよのつき)』と呼ばれており、十五夜の月見をしたら、十五夜の次に美しいとされる十三夜の月見もするのがよいとされていたのです。
旧暦の10月には『十日夜(とおかんや)』と呼ばれる収穫祭があります。この日にも月見をして、十五夜と十三夜と合わせて3日間月見をすると、縁起がよいとされていました。
十五夜のころは、秋の長雨という言葉がある通り、雨が降りやすい季節です。秋が深まり、十三夜のころになると、晴れる日が多くなります。天候が悪く十五夜の月を眺められなかったとしても、十三夜の月見を待つ楽しみがあったのではないでしょうか。
十三夜は何月何日?
2020年から2025年までの十三夜の日程を紹介します。『二夜の月』の風習に倣って、十五夜だけでなく十三夜のお月見も楽しみましょう。
旧暦の9月13日に当たる日
十三夜は、旧暦の9月13日に当たる日です。新暦でいうと10月13日に当たると思われがちですが、実際には年により異なります。
旧暦と新暦では、基準としている対象が違います。旧暦では月の満ち欠け、新暦では太陽の動きが基準のため、1年の長さが異なるのです。そのためズレが生じ、毎年、十三夜の日付が変わるというわけです。
具体的に十三夜が巡ってくる時期は、10月初旬~11月初旬と幅があります。
出典:暦Wiki/中秋の名月とは/十三夜 – 国立天文台暦計算室
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2020年から2025年までの日程
2020年から2025年までの十三夜に日程は、以下の通りです。
- 2020年10月29日(金)
- 2021年10月18日(木)
- 2022年10月8日(土)
- 2023年10月27日(金)
- 2024年10月15日(火)
- 2025年11月2日(日)
1年のうちで2番目に美しい月が眺められる十三夜は、満月の日だと思っている人もいますが、満月に当たることはありません。
新月をゼロとして数えていく月齢では、新月から満月にかかる日数は13.9~15.6日です。満月になり得るのは14~16日目ということになり、13日目に当たる十三夜が満月になることはないのです。
十三夜は満月になる前のため、少し欠けた月になりますが、昔の人は満月にはない風情や美しさがあると感じていたのかもしれません。
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お供え物や食べ物
十三夜にお月見を行う趣旨は十五夜と同じため、お供えや食べ物も共通しています。風習に倣ってお供えや食べ物を準備し、満月とはまた違った美しい月を楽しみましょう。
お月見団子
十三夜の定番のお供え物は、『月見団子』です。月見団子は月をイメージした丸い形をした団子ですが、死者の枕元に供える団子と区別するために、少しつぶれているのが特徴です。
丸い団子を十三夜にちなんで、13個並べて供えます。まず1段目に、縦と横に3個ずつになるように9個並べます。2段目は、縦と横に2個ずつになるように4個並べましょう。
本来は、神事で使用される『三方(さんぽう)』に月見団子を飾りますが、普通の家庭にはないので、皿やお盆で代用するのがおすすめです。天ぷら用の敷紙などを敷いて月見団子を飾れば、お供え物らしくなります。
飾る場所は床の間ですが、昔とは異なり床の間がない家が多いのが現状です。月が見える方角の窓辺などに供えるとよいでしょう。
旬の収穫物
十三夜は『収穫に感謝すること』が目的の一つのため、旬の食べ物を供えます。芋名月・栗名月・豆名月と呼ばれている通り、サツマイモや里芋などの芋類や、栗・豆は代表的なお供え物です。
その他にも、カボチャ・大根・キノコ類・銀杏・ブドウ・柿など旬の野菜や果物を飾るとよいでしょう。
お供え物として飾るだけでなく、旬の食べ物を使った料理を味わうのもおすすめです。栗やキノコの炊き込みご飯やサツマイモ、またはカボチャの煮物など、秋らしい食事を味わいながら月を眺め、収穫に感謝するのもよいでしょう。
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構成/編集部