大豆をおいしく摂取できるコラボカフェや昆布生産者のための“生昆布”開発
(24年3月にヴィーガンカフェ・PQ’sとコラボした桜のカレーとラッシー)
D:食という点では、フジッコさまの『まるごとSOYカスピ海ヨーグルト』では、東京・台東区にあるヴィーガンカフェのPQ’s様ともコラボされていました。大豆を使ったヨーグルトを作ろうと思ったきっかけは。
(『まるごとSOYカスピ海ヨーグルト』を使ったピンク色の美しいカレー)
青木さん(以下:青木):フジッコは 40 年以上『おまめさん』を販売しており、昔から大豆は“畑の肉”としてお客様の健康に役立つものとして、商品を提供してきました。
ただ、近年日本人の食スタイルなどが西洋化してきたことにより、煮豆などが食卓に上がる頻度が減ってきました。そこで、同じく 20 年前ほどから扱ってきた『カスピ海ヨーグルト』を、“大豆”を原料にして作ることで、現代の食スタイルの中で“ヨーグルト”として大豆を手軽に食べていただけないかと思い、『まるごとSOYカスピ海ヨーグルト』の開発を始めました。
D:コラボカフェの反応なども教えてください。
青木:PQ’sさんのカフェメニューの見た目の美しさも相まって、10件以上のメディアに取り上げていただきました。カレーにのせていただいた『まるごとSOYカスピ海ヨーグルトのクリチ(水切りしてスパイスを加えクリームチーズ風にしたもの)』がとてもおいしいと好評でした。来店したお客様からも「家でマネしたい」とのお声をたくさんいただいたと、お店の方からもお伺いしています。
D:コラボカフェを通じて、摂取量が減っている大豆を消費者に届けることができたのですね。
青木:SNSでもたくさんの方に投稿いただき、みなさまよりご好評いただきました。
D:フジッコは『ふじっ子煮MIRAI』シリーズで、乾燥工程を軽減する「生昆布」の生産に取り組まれています。
青木:近年の海洋環境の変化による生育不良や、生産者の高齢化、重労働への敬遠などによる後継者不足もあって、昆布の生産量は減少の一途を辿っています。当社は、生産者に寄り添う中で、「水揚げ後の昆布を手作業で乾燥させる工程」が大変な重労働であることに着目しました。そのために開発されたのが『ふじっ子煮MIRAI』シリーズです。
D:生昆布にすることで生産者の負担が減らせるのですか。
青木:長い昆布を引き上げて干したり、浜に並べたりする乾燥作業は、足腰にも重い負担がかかります。それによって昆布業から離れていく人も増えています。フジッコは生産者から話を聞いて、この乾燥工程をカットできるように“生昆布”を使った商品開発に取り組みました。水揚げ後は乾燥させずにすぐに洗浄し、工場で切断します。それを冷凍貯蔵して加工します。これにより、生産者さんの乾燥工程を省くことができます。
D:生産者に寄り添った取り組みですね。
社員食堂改革やコラボカフェ、生昆布の開発など、食を通じて、従業員や消費者、昆布生産者の“ウェルビーイング”を実現しているフジッコ。記事後編では、同社が取り組む職場の働きやすさや、労働環境改革について紹介する。
取材・文/コティマム