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看板アナからフローリストへ、前田有紀さんが「好きなことを仕事にする」ために手放して得たこと

2024.07.10

留学エージェントをネットで検索、イギリスでガーデナーのインターン経験

――前田さんは退職後すぐに、英国に半年間留学します。前半はロンドンで語学スクールとフラワースクールに通い、後半は中世の風景が残る古都・コッツウォルズの古城でインターンのガーデナーとして働きます。

花を仕事にするなら、本場・英国に行ってみたいという思いがあり、ネットで検索して留学エージェントを見つけました。

英国で私が出会った人々は、老若男女問わず、テーブルや棚の上に花を飾り、庭やベランダで花を育てたりするライフスタイルを送っていたのです。日本では花を好むのは女性であり、よそ行きのものというイメージがありますが、英国では日常に花が溶け込んでいました。

コッツウォルズの古城でガーデナーのインターンとして働いたことはいい経験になりました。広大な庭園にホースで水をまいたり、巨大な芝刈り機と格闘して芝生を整えたりと、毎日、汗と泥まみれ。それまでの10年間、自然にかかわるシーンは限られており、自然を感じない生活をしていたのに、花と緑に囲まれて、風を感じつつ、へとへとになるまで体力勝負の仕事をしているのですから。

ガーデナーの同僚に「休みの日は何しているの?」と聞いたら、「家で庭仕事するのが楽しみなんだよ」って(笑)。平日は朝から夕方まで仕事としての庭仕事をして、休みの日も庭仕事……本当に自然が好きなんだなと。

英国・コッツウォルズでガーデナーのインターンを体験

私はこのとき、植栽や樹木など多くのことを学び、どれも興味がありましたが、改めて「花が好きだ」と感じました。そして、ここで体験した「人と自然の距離が近い暮らしを、都会の中でも」実現したいと強く思ったのです。

それは、今の事業の全てにつながっています。花はそこにあるだけで、毎日に彩りが生まれ、季節が感じられ、疲れて帰ってきても背中を押してもらえるような気持ちになります。都会に住む人が、自然を感じるために遠出することはハードルが高いですが、花は飾るだけでそこに自然が生まれます。

30代半ばで、全く世の中のことを知らなかった自分に直面

――帰国後は3年間、都内の生花店『ブリキのジョーロ』でさらに修業を積みます。好きなことを仕事にし、お金を稼いだのです。

10年間も社会人をしていたのだから、自分にはある程度のことができると思い込んでいたのですが、何もできないところからのスタートでした。

請求書や領収書の書き方がわからない、お花もうまく束ねられない、発送商品の梱包もできない、配達に行かなければならないのに運転も満足にできない。

このとき、すでに30代半ばだったのですが、全く世界のことを知らなかった自分に直面しました。違う角度から世の中を見渡すことができたことが、大きな経験となりました。

昨日より、今日、明日どんどん自分が生まれ変わっていくことがわかるんです。毎日が楽しくて、お店の最寄りの駅に着くと、早く仕事がしたくて、走って職場まで行っていました。

生花店で修業中の前田さん。3年間で仕入れ、帳簿、店舗運営など多くを学んだ。

当時の生活は、3時半頃に起きて車を取りに行き、花市場に行って仕入れ、お店に搬入して開店準備をする。そして、接客やフラワーアレンジメントを作って、 目まぐるしく1日が過ぎていきました。

多くの仕事を任せていただき、自ら挑戦もするので、たくさんの失敗もありました。それが仕事を続けていく上の糧になっていると思います。やはり、目の前の仕事と誠実に向き合い続けることしか正解はない。それは人に対しても同じだと思っています。

2013~2016年の3年間勤務後、前田さんはフリーランスとして独立します。それには、結婚と妊娠という大きな転機もありました。

「フリーランスなら、公私の境界なく働けると思って」(前田さん)。

退職からすぐに税務署に開業届を提出し、フリーランスのフローリストとして活動を開始。出産後は育児と並行して活動を続け、2年後に会社を設立します。

後編では「好きなことで起業する」経緯とその後について詳しく紹介していきます。

取材・文/前川亜紀 インタビュー撮影/小倉雄一郎(小学館)

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