まず行なうのは東京都内のリバランス
石丸さんが都知事を目指すきっかけとなったのが、人口戦略会議が公表した「国の4割の自治体で、2050年までに20代から30代の女性が半減する」という分析結果だ。
「20年後に東京都と同じくらいの人口が日本から消えるというデータもあります。そうなったら今の経済も社会も持つわけがない。だから今のうちに手を打つべきだと考えました」
それを解決する手段として、なぜ地方でも国政でもなく、都知事を選んだのだろうか。
「やっぱり東京が日本の中心で、一番力を持ってるからですね。地方で地方が持つ課題の解決に取り組んで、その難しさを痛感したというのもあります。地方も東京も日本全体も、抱える課題の根っこって一緒なんですよ。だったら一番元気なところから解決するのが効率的だし効果的です。
東京は都市としてのレベルがとても高い。それでも狭い部屋なのに家賃が高かったり、満員電車を我慢しないといけなかったりする。これらの原因は東京への一極集中が大部分を占めています。これをうまく分散させることで、日本全体が上手く活性化できるのではないでしょうか」
東京から日本全体の多極分散を目指すにあたり、石丸さんが最初に着手したいのが東京都内のリバランスだ。
「多摩地域から23区に人が吸われ続けている構造はずっと解決していないままです。じゃあなんで人が東側に寄ってきているかというと、住みやすさを犠牲にしてでも何かを優先しているからなんですよね。例えば子育て支援の施策が豊富であるとか。同じように多摩地域でも拡充すればいいんですが、自治体間の財政力には大きな格差がある。すでに給食費無償化を実施している地域は力のあるところです。だからこそ、都として音頭を取りパワーバランスの調整を図りたい」
行政の役割について、石丸さんは「市場の失敗を補う」ことにあると語る。
「市場原理に任せたら東京都が、港区や新宿区が強いに決まってます。その結果地方が廃れても構わないのであればそれでいいんですが、東京で生まれる生産力は全国各地の地方によって支えられています。つまり、地方が潰れたら東京もいずれそうなる。だからこそ、市場原理で生まれたゆがみを行政がうまくカバーすることが必要ではないでしょうか」