「調剤明細書」の用語、チェックしている人でも半数は用語を理解していない
調剤明細書をチェックすると答えた人に、調剤明細書に書かれている「調剤技術料(調剤基本料)」「薬学管理料」「薬剤料」といった各項目の意味を理解しているかを聞いた。「理解している」と答えた人は8.7%と少なく、半数以上の52.9%(あまり理解していない41.0%+理解していない11.9%)がそこに書かれている内容をあまり理解できていないことがわかった[図9]。
利用している人はまだ少ない薬局の各種サービス。活用することで、さらに利便性の高い使い方に
最後に、薬局が行っているサービスを提示し、知っているものと利用しているものを聞いた。知っているサービスは「マイナンバーカードの健康保険証利用」(48.0%)が最も高く、次いで「スマホで管理できるお薬手帳アプリ」(35.2%)、「処方薬の宅配サービス」(21.0%)の順となっている。
これらのサービスの中で実際に利用しているものは、認知率が高い「マイナンバーカードの健康保険証利用」が17.8%、「スマホで管理できるお薬手帳アプリ」が10.3%と低く、「処方薬の宅配サービス」を利用しているのは2.8%となった[図10]。サービスがあることを知ってはいるものの、利用している人はまだ少ないのが実態だ。
節約アドバイザー和田由貴さんに聞く、薬局の賢い選び方・使い方
節約意識が高まる中においても、処方薬費(医薬品費)の軽減はできておらず、したくても方法がわからないという実態が見えてきた。そこで、節約アドバイザーの和田由貴さんが提案する「薬局の賢い選び方・使い方」を紹介していく。
■生活全般節約したいのに、「処方薬費はスリム化できない」と思っていませんか?
今回の調査結果によると、9割以上の人が節約を意識しており、ここ数年の物価の上昇で節約したいと考える人がとても増えていると感じます。ただ、医療費やお薬代になると、「節約したくてもできない」「お金がかかってしまうのはしょうがない」と思う人は多いですね。健康やカラダに関わることは「減らすのはよくない」と思うのも当然だと思います。
■薬局によって支払う金額が違うなんて!「調剤明細書」を理解して医薬品費を賢く節約!
医師から発行された処方箋を薬局に出して、お薬を受け取るとき、「調剤明細書」も一緒に受け取ります。この明細書を毎回読む人は17.2%、その中でも書かれている内容を理解している人は8.7%しかいませんでしたが、これを見ないのは、実はとてももったいない!
明細書には点数(1点=10円)が書かれていますが、お薬自体の価格である「薬剤料」だけでなく、薬局に支払う手数料のようなもの(「調剤基本料」「薬剤調製料」など)もあり、私たちはそれらも合わせてお薬代として支払っています。
このうち、「調剤基本料」は、薬局の立地や形態・規模によって違います。「門前薬局」「敷地内薬局」などの違いを認知している人は約半数と少ないのですが、点数の低い薬局を利用すると、同じお薬でも薬局で支払う金額が異なり、節約することができます。ほかにも、お薬手帳を持参することで薬剤料以外の点数を抑えられることもあります。「調剤明細書」を見る習慣をつけて、どの項目を節約できるのか考えてみましょう。
■オンラインも上手に使って無駄なく薬局を利用しましょう
タイパやコスパを重視するのであれば、オンライン服薬指導の利用も便利です。自宅にいながらスマホやタブレットで薬剤師の服薬指導が受けられて、決済もでき自宅にお薬が届きます。医療機関もオンラインで受診できるので、デバイスの使い方に慣れている方には向いているのかも。
お薬手帳もアプリを使えば忘れたりしないので、入れておくと便利ですよ。何かと値上がりが続く今、薬局を賢く選んで、活用していきましょう。
節約アドバイザー和田由貴(わだ・ゆうき)さん
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、暮らしや家事の専門家として活動。環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもあり、環境問題にも精通。私生活では2人の子を持つ母で現役の節約主婦でもあり、日常生活に密着したアドバイスが得意。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱。
<「20代〜70代男女に聞く、医薬品とお金に関する意識調査」調査概要>
調査期間:2024年4月26日(金)〜4月30日(火)
調査方法:インターネット調査
調査対象:1年以内に薬局を利用した全国の20代〜70代の男女600人(男女各300人ずつ)
調査委託先:マクロミル
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。
構成/こじへい