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会社や上司からの管理が過剰だと従業員の適応感や主体性は低く、疲弊感や離職意向が高い傾向

2024.06.04

会社管理過剰感は、ルールの形骸化や閉塞感がある会社だと高い(図表3)

・会社の特徴によって会社管理過剰感が異なるかを確認した。会社からの管理に対する意識に関係しそうな会社の特徴について回答を求め、項目ごとに、「高群」(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)、「中群」(「どちらともいえない」)、「低群」(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)の3群ごとの会社管理過剰感を集計した。図表3は、高・低群間に統計的に有意な差が確認された11項目である。得点差(高群-低群)をプラス・マイナスに分け、差が大きい順に並べている。グラフの右側には、各項目の高群・低群の選択率を示した。

・ルールに関しては、「2.一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」というように形骸化していると会社管理過剰感は高く、そうでなければ低い。

・一方、「5.社内のルールや制度について、従業員が意見を言える」「9.新しくルールや制度ができたときには、背景や意図について説明がある」といった決まりだから従うようにということでないコミュニケーションがあると、会社管理過剰感は低い。

・閉塞感に関しては、「1.内向きで現場や顧客の声が通らない」「3.部門の縦割り意識が強く、組織間の対立が起こりやすい」「4.意思決定に際し、稟議や根回しが煩雑である」という状態にあると会社管理過剰感は高い。

・反対に、「7.たとえ失敗してもチャレンジすることを奨励している」「10.意思決定スピードが速い」「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」という状態にあると会社管理過剰感は低い。

・「6.従業員や関係者の健康や安全を重視している」「8.従業員にとって、成長できる機会が多くある」という認識のもとでは、会社管理過剰感が低い。

⇒同じようなルールや制度であったとしても、従業員側が自分たちの健康や安全、成長を考慮した管理だと受け止めていると、管理過剰感は生じにくいのかもしれない。そのことからも、ルールや制度の意図を伝えることの重要性がうかがえる。

上司管理過剰感は、細かな報連相を求め、適切な支援がない上司だと高い(図表4)

・図表3と同様に、上司の特徴によって上司管理過剰感は異なるかを確認した。

・「1.なぜこんな指摘や指導をするのかと思うことがある」という懐疑心や「2.あなたに細かく報告・連絡・相談を求める」というマイクロマネジメントの要素があると上司管理過剰感は高い。

・逆に、「4.あなたが自律的に働けるよう任せてくれる」「5.あなたの考えや意見を尊重してくれる」という自律・尊重の態度があると認識していると上司管理過剰感は低い。

・意外なことに「3.放任であり、適切な業務上の支援がない」場合の上司管理過剰感は高い。

⇒図表2のエピソードから類推すると、普段は放任で業務上必要な支援がないにもかかわらず、急に口出ししてきたり、勤怠や工数などの管理には細かかったりする可能性がある。「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる」「7.あなたが望むタイミングで支援してくれる」と認識していると管理過剰感は低いことからも、放任かどうかより適切な支援があるかどうかがポイントとなるようだ。

⇒「8.担当する仕事について、社会や自組織にとっての意義や意味を言葉にしている」「9.仕事の成果やあなた自身の成長のために支援してくれる」という認識のもとで上司管理過剰感が低いのは、図表4の会社からの管理の受け止め方によって会社管理過剰感が低くなるのと同様に、上司の管理行動の意図を理解できる、理不尽さを感じないようなコミュニケーションがとれていると、上司管理過剰感は低くなる可能性が示唆された。

ルールが形骸化している場合、情報開示されていても会社管理過剰感は高い(図表5)

・会社の特徴(図表3)の「2.一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」(図表中、ルール形骸化)と「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」(同、情報開示)について、それぞれの高群(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)と低群(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)をかけ合わせた4群ごとの会社管理過剰感の平均値を示したのが図表5である。

・会社管理過剰感は、ルールが形骸化していない場合(AとB)、情報開示・高のBの方が低く、4群においても最も低い。これは、図表3で見た項目ごとの傾向どおりである。

・一方、ルールが形骸化している場合(CとD)、情報開示の程度にかかわらず会社管理過剰感は高い。

⇒ルールが形骸化していれば、情報開示されていても会社管理過剰感は高い。情報がオープンだからこそ、ルール形骸化の状態も見えやすいともいえ、ルールの運用について何をどう伝えるかが重要であることがうかがえる。

法律やコンプライアンスなど自社都合だけでは決められないルールもあり、一度作ったルールを変えることも簡単ではない。それでも、決まりだからということだけで従わせるのではなく、ルールの意図や必要性について継続的にコミュニケーションして、時には従業員の声にも耳を傾けながら必要な改変を行っていける可能性を従業員が感じることができれば、会社管理過剰感は低くなるのではないだろうか。

報連相を細かく求められる場合の上司管理過剰感は、放任だと高く、支援要請可能だと低い(図表6)

・上司の特徴(図表4)の「2.あなたに細かく報告・連絡・相談を求める」(図表中、報連相要求)と「3.放任であり、適切な業務上の支援がない」(同、放任で業務支援なし)、「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる」(同、支援要請可能)について、それぞれの高群(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)と低群(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)をかけ合わせた4群ごとの上司管理過剰感の平均値を示したのが図表6である。

・上司管理過剰感は、報連相を細かく求められている状態において(CとD)、放任で業務支援がないと高く(左側のD)、上司に支援要請できると低い(右側のD)。

・細かく報連相を求められていない状態では(AとB)、放任の程度にかかわらず低く(左側のAとB)、支援要請できると低い(右側のB)。

⇒細かな報連相を求められるマイクロマネジメントともとれる状況下にあったとしても、上司から適切な業務上の支援がある、上司へ支援を求めたり相談したりできると感じていれば、上司管理過剰感は抑制される可能性が示唆される結果である。

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